第三章 2話 お出まし
着いたのは孤城
(やはりここが最終決戦場。ごめんガリント。ここちょっと壊すね。)
『マーガレット君。聞いてますか?』
「あなたの言葉なんて聞く価値なんてないわ。黒幕の話を聞いているほど私は暇じゃないの。」
『残念ですね。』
「それよりそに忌々しいフードを散ったらどうかしら?私もあなたの正体を知りたいもの。」
「良いでしょう。この姿、冥土の土産にすると良いですよ。」
宰相はフードを外した。
「学園長、デメール・w・アリジオ。」
「いやはや、やっと気づきましたか。随分と時間がかかりましたね。」
「忙しいかった、と言うのはやめておきましょう。もとよりあなたが黒幕であると目星はついていました。」
「ほほぉ。」
「ディアーニのことを王に進言し聖なる選別の題にした人間を以前調べたら、出てきたんですよ。あなたの名前が。」
「そうですか。でも、残念ですね。あれを進言したのは私だけではありません。」
「.……ヤンドールさんも連名で進言したことですか?知っていますよ。そんなこと。ヤンドールさんがあなたに何かしたんですか?」
「何もしていませんね。それより、自分の村を焼き討ちにしたのが自分の恩師であるのに、悲しまないのですか?」
「あなたが勝手に連名にしたのは知っています。ヤンドールさんは焼き討ちにするつもりがなかったことくらい調べはついているんですよ。」
「でも事実です。」
デメールはガレットを揺さぶっていた。
「あなたは何も知らない。あの人の真意を。」
「真意、ですか。そんなもの知ったところで何の意味もありません。さぁ、決着をつけましょうか。」
「そうですね。」
二人は邂逅した。
〜旧王城にて〜
「兄貴!ガリントがいた孤城でデメールとガレットが戦っている!」
「来てしまったか、この時が、」
「早く、早く行かなければ、」
「すまないがアルス、お前一人で言ってくれないか?」
「は、何で、」
アルスは自分に兄がついてくると思っていた。
「今の僕はただの足手纏いだ。それに、アルスがいればあの子は真の力を発揮できるだろう。」
「真の、力?」
「とにかく、早くあの子のところに行ってあげなさい。」
「分かった。こっちのことは頼んだぞ!」
アルスは旧王城を飛び出した。
「影の守護者。どうかアルスを守りたまえ。」
「喰らえ 暗黒星雲」
黒い霧から光に粒がガレットを狙った。一見無害に見える光の粒は攻撃性を持ったものだった。
「雷神の禊!」
かつての英雄が使った雷属性最高峰の技。だがこれも虚しくデメールに弾かれた。
「昔よりは強くなったんですね。マーガレット君。」
「黙れ。」
一足踏み込んだガレットはデメールに斬りかかった。
「黙れとは何ですか。つれないですねえ。」
「貪欲が、なぜそんなに世界を征服したいんですか!」
「世界征服…そういえばそんなことありましたね。」
「…は?」
的外れな回答が返ってきた。
(wは世界征服を企んでるんじゃなかったの?じゃあ何で王と王妃が操られていたの?)
「あなたには我々の一族が世界征服を企んでいると思っているのですか。確かに私以外の人は世界征服を目標としていました。ですが私は世界征服には興味がありません。」
「じゃあ何で王と王妃を操っていたんですか?」
不敵な笑みを浮かべたデメール。
「そうですねえ。私は世界を手に入れるというより、世界が争う世界を見たいんです。自分が蒔いた種が上手く芽吹き、争いという形で花咲く。そういう景色が見たいんですよ。」
「要はただの血生臭い戦争好きの化け物ってことね。」
「人聞きの悪い。人は争い合うからこそ繁栄するんです。魔法だってそう。長い争いの歴史で繁栄してきた。争いこそが繁栄を産んで育てる。争いには血は付き物でしょう。」
「あなたの、あなたの欲望のせいで私の家族が、」
「あれはエッセンスです。最高の舞台に一役買うのですから光栄に思って欲しいですね。」
ガレットの手が強張った。
(自分の欲望のために他人を、葬る?強欲も甚だしい。)
「争いが繁栄を生むの確かかもしれない。でも、それで無関係の人の血を流すことは違う!」
「なら軍人のみが血を流せ、と。何も知らない純粋な血が世界を彩るのです。」
「黙れ、黙れ!お前の声は聞きとうない!」
漆黒の茨がデメールを狙った。
「君の心の底は漆黒。本当はこちらにくるべきだったんです。国を守る?そんな縛りのあるところより、自由に争おうじゃないですか。」
「自由に、争う?戯言もいい加減にして!」
ガレットの右手から魔力弾が放出されたが避けられた。
(イラつく、コイツの一挙手一投足が全てイラつく。コイツを今すぐに葬ってやる。)
「私の手を取りなさい。マーガレット君、いやマーガレットさん。私があなたの道を示しましょう。」
「あなたの手は取らない。」
デメールの手を切り飛ばしたガレット。
「私があなたの欲望を打ち砕く刃になる。残酷を打ち砕き、平和な世界を創る!」
「平和の世界に一体何の価値がありますか。」
瞬く間に手を生やしたデメール。
「平和の世界とは修羅の道。平和というのは確かにいいものです。ですが平和慣れしたら争いはなくなり、繁栄は止まる。いずれ待つのは破滅の道です。」
「世界が繁栄し続けなければならないと規定されていません。誰もが平等に生を享受できる世界を創る世界は難しいかもしれません。でも、やり遂げてみせる。私がその世界を創る!」
「君は、強欲というより傲慢だね。」
「口を開かないで。」
デメールの体を光の茨で貫いた。
「君も私と同じです。心の底は闇の底。所詮は何かに縛られる不自由な大鷹。」
ガレットの心に語りかけるデメール。
「もう一度言います。私の手を取りなさい。争いはありますが平和な世界を創りましょう。」
デメールの言葉は洗脳に近かった。
(マーガレットを引き込めれば、目的は達成できる。さあ、私に落ちなさい!)
ドゴオオオンン
轟音と共に扉が破壊された。
「また誰かを洗脳するつもりか、」
“学園長!”