第三章 1話 革命後夜
魔女狩り
“マーガレット。マーガレット・w・スカーバ。”
後ろから誰かに呼ばれた。
「誰ですか?」
“振り向かなくて良いです。私の名はティア。エアリオス建国の女神です。”
(女神様がお出まし、か。この神のせいで私とガリント。基双子が嫌われたのか。)
“革命は無事成し遂げられたのですね。”
「そうですよ。王も王妃も操られていただけらしいので驚きましたがね。」
“wに力を与えすぎました。wに対しても処罰を与えてくださりありがとうございます。”
「神ならそこら辺もしっかりしてくださいませんか?操ったことが確定した時点で叩くことは可能だったでしょう。」
“貴女がやってくれると信じていたのですよ。貴女がここまでやってくれると信じていたのです。”
「私が産まれることは、建国時点で決まっていたんですか?」
“もちろん。この世に生まれることは最初から決まっていました。世界が始まって終わるまで、誰が生まれて誰が死ぬのか始まる時点で決まっています。必然ということですね。”
「そうですか。なら父と母、村のみんなが亡くなることは必然だった、ということですか?」
“それがどういうことか、建国時点であの村は存続する予定だったのですよ。”
「.……は?」
“革命の中心地があの村になる予定だったのです。ディアーニが無くなることは、私としても想定外でした。”
「何者かが必然を壊して村を聖なる選別で焼き討ちにしたってこと、」
“そういうことになります。”
「その人が、全ての黒幕。」
“はい。貴女には、その黒幕を討ってほしいのです。”
「私が黒幕を討ったら何か褒賞でも貰えるんですか?」
“貴女が望むものを差し上げましょう。お望みならば死人を生き返らせることも可能です。”
「数量制限は?」
“ありません。貴女には迷惑をかけたので。”
「分かりました。全て終わったらまた会いましょう。」
“ありがとうございます。”
女神の気配が消えた。
「全く人任せな神様だこと。」
目が覚めた。
(変な夢だったな。)
草を払って立ったガレット。
(ディアーニを焼き討ちにした人間と宰相はおそらく同じ人物だろう。早く、早く見つけなくちゃ。)
「マーガレット〜!」
「ナオミさん。」
「大変な事が起きたわ。イガランドとフィーランが、」
急いでイガランドとフィーランがいる家へ向かった。
「マーガレット!お父様とお母様が、」
「ルイ、少し退いて。」
元王・王妃は漆黒の縄に縛られていた。
(この感じ、呪いだ。発動者は誰?宰相?でもあれから何ヶ月経った。なんで今更?)
「大丈夫なのか?二人は、」
「ルイ。少し落ち着きなさい。」
二人に手を翳したガレット。
(強い呪いね。並大抵の魔法士、魔導師じゃ解除できない。私の力でどうにかできるかどうかも分からない。でも、やるしかない。)
『汝にかけられた呪いを解きたまえ 汝を自由にしたまえ 自由大翼』
ガレットの手から出た白い光が二人を包んだ。
(お願い、解けて!)
二人を縛る漆黒縄がひとたび波打った。
「これは!」
漆黒の縄が解かれ実体となって床に立った。
『フフ、ハハハハハ!やっと気づきましたか。馬鹿ですか。』
「あなたが宰相ね。」
『そうです。私が宰相。というか全て気付いているでしょう。』
「こいつは何を言ってるんだ?」
ガレットはルイ、ナオミを結界に包んだ。
「マーガレット!リアヌがまだ寝ている、アイツを、」
「分かっていますよ!」
結界の中にリアヌを転移させた。
「リアヌ!大丈夫か?怪我は?」
「んあ、兄さま?」
(ここにはナオミさんがいるから問題ない。ここは転移して場所を移すしかない。)
「場所を移しましょう。宰相殿。」
『良いでしょう。そこの奴らはもう用済みですからね。』
「ナオミさん!ルイ達を頼みました!」
「分かった!」
宰相とガレットは転移した。