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第二章 22話 洗脳解除

「ロイスさ、ロイス。縄を解いてください。」

「マーガレット殿、よろしいのですか?」

「今必要なのは捕縛ではありません。」

渋々了承したのか眉頭に皺を寄せながら解除したロイス。

「申し訳ないのですが今は両陛下と3人で話がしたいです。なので他の人は一旦退室してもらえますか?」

「大丈夫なの?」

「問題ありません。ナオミさん。何かあれば腕が足を折るので。」

(それは解決方法にはならないデショ)

「とにかく、今はサシで話さなければなりません。御退室願います。」

部屋にいる王と王妃、ガレット除く5人は部屋から出た。

「大丈夫だろうか、」

「まぁ大丈夫だろ。」


「一体何を話すつもりだ。マーガレット・w(ウィドウ)・スカーバ。」

ガレットは盗聴撮阻害結界を張った。

「これでここの会話は誰にも聞かれません。なのでサシで会話しましょう。」

「俺とフィーランはお前の敵だ。何故そこまでしてサシで話すことにこだわる。」

「そうでもしないと口を開かないでしょう。確かに私は革命を起こし国を変える意思を持っています。でも国が機能停止することまで望んでいません。」

「マーガレット...」

(サシで対等に話せば、この二人の深層にある洗脳を解けるもしれない。早く解かなきゃ隣国から援軍が来てしまう!)

「最初は、そうですねえ。聖なる選別(ホーリーソーティング)の意味についてご存知ですか?」

「反逆者や国にとって不利益になる愚民を処罰するための制度だろう。それが何だ。」

「反逆者を捕らえる制度というのはあながち間違ってはいません。でも国にとって不利益になる愚民というのは少し違います。」

「何が違うというのだ。」

「国にとって不利益になるかどうかを判断するのは王であるあなたでしょう。ですが、私の村を焼き討ちにしたとき、あなたは何か参考になる資料でも読んだんですか?我々が何かしたという証拠が。反逆や不利益を企てた証拠をその目で見たんですか?」

「そ、それは、」

「見ていないんですね。なら部下の者が勝手に聖なる選別(ホーリーソーティング)を発動した事になります。それこそ反逆になりませんか?上司であるあなたの意見を無視して勝手に行動に移したのですから。」

「し、仕方がないのだ。その時は立て込んでいて、」

「反逆者なか否か決める時に忙しい、と。一体貴方は何をしていたんでしょうね。狩りですか?遊戯ですか?国の存亡を揺るがすかどうか決めるのに忙しいは関係ありません。まさかその判断を現宰相に丸投げしたのですか?」

王は少し体を強張らせた。

(丸投げ、ねぇ。じゃあ王は影武者の一族については特に何も思っていないって事だ。)

「貴方は王なんですよね。大切な判断、貴方にしかできない判断を他に丸投げするのは一国の主人としていかがなことかと。」

「小娘が、」

「何とでも言ってください。」

(こうなってくると何でもかんでも宰相に丸投げしたってことになるな。ますますw(ウィッチ)の良いようにされるだけ。馬鹿にも程がある。)

「マーガレット。」

「何ですか?王妃様。」

「ルイとリアヌは、無事ですか?」

「はい。今リンダさんの家で預かっています。」

「よかった...あの子達とあまり話す機会がなかったから心配で、」

(まだ王妃には良心が残っているのか。そりゃ直系の王家じゃなくて公爵家出身だからな。純度100%のスパルタを受けていないからまだマトモなのか。)

「一つお伺いしても宜しくて?」

「はい、何でしょう。」

(わたくし)達は革命が成功したら打首になるのでしょうか。」

「打首にはしません。追放です。」

目を一度大きく開いた王妃。

「ほ、本当なのですか?革命で国が落ちたら元首は打首が妥当では、」

「それが、皇太子ルイ殿下の意向なので。」

「あの子が、今まで話すこともなかったのに、」

話す機会がないから情がない、愛がないと思っていた王妃。王妃自身、自分が腹を痛めて産んだ子だからなのかは不明だが精一杯彼らを愛している。

「...腹を割りましょう。私は、この革命に賛成です。」

「フィーラン?お前何言って、」

「私が王妃になったのは、家族を守ることができるからです。公爵だから地位が安定しているワケではないのです、陛下。本当は私の姉が貴方に嫁ぐ予定だったのです。でも姉の体は弱かった。王城での暮らしについていけません。王妃が早々に崩御したら家は没落し最悪追放です。そうしたら家族と離れ離れになる可能性がある。だから私が嫁いできたのです。最初は華のある生活かと胸を躍らせていました。でも違った。王妃としての教育を毎日毎日させられて、睡眠時間もまともにとれやしない。健康も損なわれました。国の長であるためにはまず病にも負けない強靭な肉体が必要です。でも強靭な肉体を作る暇も与えてくれませんでした。」

両手に力を入れた王妃。

「やっとの思いで子供が生まれても、すぐに引き離され会話をすることも半ば禁じられました。これは屈辱以外の何物でもありません。そして気づいたんです。元凶は何なのか。何が(わたくし)達をこうさせたのか。」

         宰相

「彼が全ての元凶です。王族のルーティンを定め、幼少期から教育係していました。」

(やはり宰相か。)

「宰相は世襲制なんです。だから、一族を巻き込んでこの悪魔的なルーティンを決めた事になります。」

(一族郎党キチガイってことか。面倒だな。)

「マーガレット。お願いがあります。どうか、宰相を、宰相の一族をどうにかしてください。」

「先程から何を言っているフィーラン。」

「陛下!」

王妃は王にビンタをお見舞い。

「良い加減気づいてください。おかしいということに。(わたくし)達が操られている事にお気づきください!」

「宰相は絶対。宰相は絶対、宰相は絶対なんだ!アヤツの言葉は真実なのだ!アヤツが言った通りに(まつりごと)をこなせば国は上手く回る!」

「上手く回っているという情報も宰相から聞いたのでしょう。」

「それが何だ!」

「ただ宰相の思想から見て上手く回っているという事だけでしょう。ようは口車に乗せられたという事ですね。」

「黙れ!」

王はガレットを殴り立った。

「宰相、宰相を呼べ!今すぐにコイツを打首にしろ!」

乱心して正気を保っていない。

(あぁ、哀れだな。本当のことに気づかないなんて。きっと箱庭の中で蝶よ花よと育てられたんだろう。だけどその裏は黒闇。気づいた頃にはもう遅い。この人はその闇に取り込まれたんだ。この世は胸糞、基残酷だよ。)

「イガランド!良い加減にして!」

二度目のビンタのお見舞い。

「良い加減目を覚ましてよ!昔の貴方はどこに行ったの?聡明で、人の意見を聞き分けられて自分を持っている貴方はどこに行ったの?今の貴方は操り人形、自立魔導式人形(オートドール)と同じよ!お願い、目を覚まして。昔の目を取り戻してよ!」

“王よ。貴方の味方は私だけです。宰相である私に荷を預けても女神様は文句は言いません。”

“王たる自信をお持ちください陛下。”

“全て私にお任せください陛下。”

“目が覚めれば全て終わっておりますゆえ。”

「お、俺は、何を、」

膝から崩れ落ちた王。

(解けたようね。)

盗聴撮阻害結界を解除したガレット。

「両陛下の命は保証しましょう。」

「マーガレット、感謝する。」

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