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第二章 13話 過密スケジュール

「やっぱりないな。w(ウィッチ)の一族についての本が一冊もない。」

「お前が考える通り王家を操る者がいる可能性があるなら態々それについて書く人間はいないんじゃないか?」

「御伽話でも良い。何か、何か参考になるものは!」

西の入り口から東の入り口の本棚を片っ端から探した。

(頼む、何か出てきて!)

ふと視線の先に古めかしい赤色皮の背を持つ本があった。

「何、これ。埃かぶってる、ってコレ!」

「何かあったか!」

「“史上最強の一族 w(ウィッチ)について”。読めば何か分かるかも。」

ガレットは本を開いた。

“この本を開いたということは、私が書いた本がその時代まで保管されているということだろう。この本を開いた時代は、どのような時代なのだろうか。もしかしたら王制ではなくなっているかもしれない。この本では絶対王制の裏側について紹介しよう。”

「絶対王制の、裏側?」

“単刀直入に言わせていただく。この国の絶対王制は上辺の制度であり、実際は超独裁制。ある一族による独裁である。その一族の名前は、”

w(ウィッチ)の一族、やっぱり関係あったんだ。」

ガレットは近くの小さい椅子に座り、アルスは後ろに立って本を読んだ。

“裏で国を牛耳っているのはw(ウィッチ)の一族。この情報は今のところ私しか知らない。それもそのはず、自分たちが住んでいる国が正統後継者である王ではなく他人によって支配されていることを民衆が知れば大混乱が巻き起こる。ではどのようにして彼らがこの国を裏から牛耳っているのか。それは実に簡単である。代々彼らは皇太子の教育係をしている。幼少期から世話をすれば大きくなっても操りやすいという原理に基づいているのだ。私は幼少期から同じ人が教育することはいいことかも知れないが内容の度がすぎていたらそれはただの洗脳たり得る、と考えている。彼らは幼少期からの洗脳染みた教育で裏から国を牛耳っているのだ。ある時私は実際に皇太子の教育スケジュールを閲覧する事ができたがあまりにも狂気的であった。”

教育含む皇太子の1日のスケジュールの内容

・8:30起床

・8:30〜着替え及び身支度

・9:00〜朝食

・9:30〜前日の前範囲テスト

・10:00〜1日の範囲(前半)

・13:45〜昼食及び休憩

・14:30〜1日の範囲(後半)

・18:15〜剣術の稽古

・20:15〜魔法の稽古

・22:15〜夕食

・22:45〜バスタイム及び着替え

・22:50〜自習時間

・0:50〜自稽古

・2:50就寝

⚠︎小休憩は含まない 講義の前半後半の教師は別

“違和感に気づくだろうか。睡眠時間が6時間に満たないことを。皇太子となればこの過密スケジュールを生き抜かなければならない。王家の人間が少ないのは実質このスケジュールのせいである。”

(だからルイ目の下に少しとは言い難い量のクマがあったのか。)

“幼い頃からこの過密スケジュールのため、皇太子達は言い返す気力を無くしw(ウィッチ)に従うようになる。そしてw(ウィッチ)の思い通りの国ができる、ということだ。”

「そりゃ、言い返す気力もなくすよね。アルスは知ってた?」

「知らないな。王家に知り合いなんかいなかったし。兄貴は知っているかもしれんが。侯爵だし。」

“辛うじて皇太子になることを逃れた皇子もこれに準じたスケジュールを課される。王家に生まれた時点で過酷な運命からは逃れられない。謂わば王家は籠の中の小鳥なのだ。”

(ここまでのことをするって事は、何か野望があったのかな?)

“なぜ彼らがこうまでして国を支配したいのか。野望とはなんなのか。彼らの目的は、世界征服だった。”

「世界、制服?」

“まずは一つの国を手中に収め、後に世界を支配する。その手筈だった。彼らは元々支配欲がとてもある柄だった。”

「止める奴はいなかったのか?」

“彼らの動きに気付いた聖アザリンスが彼らを止めようと動いた。表面上は聖アザリンスが勝利した。だが実際はそうじゃない。彼らは聖アザリンスが勝利したという名声を与える代わりに裏で牛耳る権利を得るという取引をしたのだ。もちろんアザリンスは応じなかった。だからアザリンスは暗殺された。だがこれさえも書き換えられ自殺という形で処理をされたのだ。”

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