第二章 8話 意気込み
数日後 学園にて
ガレット、ガリント、アルス、リンダ、ヤンドール、デメール、ナオミが学園長室に集まっていた。
「今から今後の方針について話す。単刀直入に言うが革命は半年後だ。」
ヤンドールは机の上に城の地図を広げて説明を始めた。
「まずガセ情報を流して城の警備を薄くして地下から侵入する。そして下から上に攻めあげて最後に最上階。現王と妃。皇太子兄弟を追い詰めて捕虜にする。これが大まかな作戦だ。」
「城に地下道あるのを今知りました。」
「地下道の存在は王族しか知らない。もっとも、僕の場合は別だけどね。」
「別?」
「昔に何年か使えていた時期があったんだ。その時に教えてもらった。」
「へぇ〜。」
「ガセ情報は既に忍ばせている密偵に流させる。城の防備は前を主とするから裏が空きやすい。そのときを狙う。」
「マーガレットちゃんには私とメイドの捕虜作業を手伝って欲しい。」
「分かりました。」
「アルスはナオミとマーガレットの援護を頼みたい。」
「了解。で、兄貴と学園長は何をするんだ?」
「私ですか?私は全軍の指揮をします。立案はヤンドールですが指揮は私が担当です。リンダ君は革命中の物資関連を担当してもらいます。」
「要は裏方か。」
「そういうことになる。」
「裏方の陣営は僕に任せておくと良い。こちら側の主な戦力はここにいる君たちだ。頑張ってもらわなければ困る。」
「分かった兄貴。」
「あの、今の皇太子とその弟。ルイとリアヌはどうするんですか?一応国長になるはずだったルイに関してはこれからどのような処遇を?」
ガレットはヤンドールに聞いた。
「2人に関しては罪はないから選ばせるつもりだよ。王と妃は完全な黒だから投獄するけどね。」
「選ばせる、とは?」
「両親と同じく投獄するか、地位を捨てて我々と生きることを選ぶか。究極の選択にはなるがそうするしかない。それだけのことを王家はしたのだから。」
罪なき無垢なる子供を親の所為で牢に入れるのは些か忍びない。
「国盗りを終わらせた後のことも大体計画しているから安心して。」
「終わらせた、後?」
「革命は国の長が代わるということを意味する。長が代われば民は自ずと混乱する。混乱して政治が疎かになったら元も子もないからね。今のうちに構想でも練っておかないと後で苦労する羽目になるから。」
「確かに、そうですね。」
「ヤンドールが大体案を練ったから我々はそれを遂行するのみ。失敗は許されない。くれぐれも慎重に動くように。」
デメールの言葉を最後に説明を終えた。
「いよいよだね。マーガレット。」
「ええ。ガリント。これで、皆んなの仇をとれる。」
「兄貴。始まるんだな。とうとう。」
「あぁ。まさか生きているうちにこんなことが起きるとは思わなかったけど。人生何が起きるか分からないね。」
「嫁さんと子供はどうするつもりだ。」
「実行の1ヶ月前をきった時に国外へ逃がす。何が起きるか分からないからね。戦場というのは。」
「怖くないのか?」
「怖くないと言えば嘘になるけど、大切なものを守るためならこれくらいはできないとね。」
「だな。大切なものは自分で守らなければ。」
「マキロ。半年後に始まるんだって。ビックリだよね。学園長、デメールに話を持ちかけられて時間が経って。凄い驚いたよ。あなたにも、この景色を見せてあげたかったなぁ。」
「ヤンドール。最終調整に入ってください。半年後とはいえ失敗は許されませんから。」
「分かっている。物資の援護、人員確保、戦士の育成。全て滞りなく進んでいる。慢心するつまりは毛頭ないが、ね。」
「全てを終わらせて、この国をあるべき姿に戻すために。全力を尽くしましょう。」
『国を変えるつもりなんぞ元々ないに等しい。人間は自分が第一だからな。人のことをいちいち気にしている暇なんぞない。“俺”は、自分が楽に生きることができるなら何だってやる。それが、例え茨の道だとしても。拒む者がいようとどうでも良い。駒は揃った。あとは、奪うのみ。盤上では“俺”が頂点だ。従え。所詮は従うことしかできない愚人間共。』