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第一章 23話 再び

何を信じれば良いんだ。この場で、この戦場の場で。周りは血だらけの大人達。片方には今まで一応お世話になった人。もう片方には、自分が探していた片割れ。私は、どちらを信用すれば良いんだ?

「マーガレット。」

「マーガレット!」

「片割れ。」

「マーガレット。」

皆んなが私の名前を呼ぶ。名前を呼ばれる毎に判断が鈍る。

「私は、」

どうすれば、

(何で、こうなるのよ。私にそんなことを決めろって、しかもここで?時間を頂戴よ!)

マーガレットは考えた。

(この世界は残酷だよ。こんな人間に判断の連続を下すのだから。)

ふとアルスの顔が浮かんだ。

(アルス、今頃何やってるんだろうな。記憶は飛ばしたから仕事でもしてるんだろうな。)

まぁ、生きてればいっか。


ー侯爵邸にてー

「ブェックショイ!誰だよ俺の噂してるヤツ。」

「アルス。話聞いてるか?」

「ん?ああ。貴族法案の話だろ?」

この時リンダとアルスはこの国に存在する貴族用の法案を考えていた。

「そうだよ。まったく。お前はおかしくなってる。マーガレットがいなくなってから。」

マーガレット?

「マーガレット...マーガレット?」

「あ〜ガレットだよ。お前が昔から好きな女。」

確か、夢の中でその名前が出た気がする。

「マーガレット...」

「もしかして何か覚えてるのか?」

頭痛がはしった。

「何だ、この、記憶は!」

「おい、アルス!」

座っていた椅子から落ちたアルス。

(一体なんだ!この、気分は。何か忘れてはいけないことを、胸の奥から!湧き出てくる気持ちは!)

『頼む。助けてくれ。マーガレットを。あの子は今まで苦労してきた。目の前で人を失い、辛い思いをたくさんしてきた。私はあの子の側にいられない。だから、君が助けてくれ!』

影の守護者(セレネーン)!”

「ぐ、誰だ、誰だお前は!答えろ!」

「何言ってんだアルス!」

思い出せ、思い出せ!するとペンダントが光った。

「ペンダント、こんな物!」

アルスはペンダントを掴み地面に投げかけた。

『思い出せ。己の真の家業を。お前の真の仕事は侯爵ではない。お前は、』

「影の、守護者。」

自分の真の役割を思い出した。

「俺は、人を守るために、生まれた?」

その対象は紛れもない。

「ガレット、」

「お前今、ガレットって言ったか!」

全てを思い出したアルス。

「ガレットの名前、マーガレットだったんだな。兄貴。」

「あ、ああ。それより、思い出したのか?アルス。」

「ああ。どうやら、そのようだ。」

「なら行けよ。お前は、真の家業を継ぐホシが出てるからな。」

「分かった。兄貴。俺行くよ。」

「行ってこい。お前とマーガレットの分のお茶準備しておいてやる。」

アルスは退席した。

「や〜っと、気づいたか。名前にもその意味(・・)があること、忘れるんじゃねえぞ。」

リンダはまた仕事を再開した。

(頑張れよ。2人とも)


「片割れ。いやマーガレット。答えは出たか?」

「こた、えは、」

口を震えて開かせた。

(言うしか、ない。言わなかったらこの闘いは、終わらない。)

自分が答えを出すしかない。

「私は、」

するとドアが何者かの風魔法で破壊され吹き飛ばされた。

“マーガレット”!

「その声は、」

アルス! その声の主は紛れもない大親友(アルス)だった。

アルスは走ってこちらに向かってきた。

「マーガレット!迎えにきた!」

それはまるで救世主のよう。

「何があったかは知らない。別に全て話さなくて良い。お前は、ただ1人の俺の、親友だから!」

その言葉に、マーガレットの心は救われた。

「アルス...私、」

予期せぬ事実の連続に疲弊していたマーガレット。目の前に現れた親友を見て酷く心が救われた。

「俺が、お前を守る。背中は守ってやる。何があっても。だから、お前がどんな道を選んでも、大丈夫だ。俺がいる。」

俺を信じろ。マーガレット。

マーガレットの心は凪いだ。

(決めた。私が、これからどうするか。もう、迷わない。アルスがいるから!)

背中には、アルス(コイツ)がいる。

「決めた。私が、どうするか。」

答えは一つ。

「私は、」

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