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第一章 22話 片割れ

その頃ガレットは片割れを探していた。

「何も手がかりがない。今までは人にかかる範囲だったけど、今回は難しいな。」

どうやって探そうか。

「そうだ。この刺青に念じてみたら意外と分からないかな。」

一族の直系しか出ない刺青。私の片割れなら持ってるはず。

「お願い。居場所を教えて。」

その刺青は少し光り、道を示した。

「この道を行けば、逢えるのね。」

ガレットは道を進んで行った。するとある丘に辿り着いた。

「ここって、あの丘?」

そう。辿り着いたのは数ヶ月前。黒幕だと思っていたエルフ(リリス)がいたところだ。

「なんでここに...でも、行くしかない。」

城の中に入っていった。

中の様子は前と変わらずだった。

「変わってない...ここに本当にいるの?」

周りをキョロキョロと見た。

「何の気配もない。やっぱり、」

『遅かったな!片割れ!』

階段上から声がしたから見上げてみた。

「あなたが、」

           私の片割れ?

見えたのは私と同じくらいの背丈。私と同じく月白(げっぱく)色の髪。紅掛空(べにかけそら)の目。確かに双子ね。

「あなた、男の子?」

「どっちでも良いだろう?そんなこと。」

いや声的に男やないかい。でもそんなこと気にしてる暇ない!

「あなたの名前は何?」

「俺の名前はガリント。歓迎するよ。マーガレット。」

マーガレット?

「私の名前はガレットよ?ガレット・リンズ。」

「いや、お前の名前はマーガレットだ。」

え?母さんがガレットだって言ってたんだけど?

「聞いてないのか?お前の真名はマーガレット・w(ウィドウ)・スカーバ。wは影を意味する。」

そんな意味があったんだ。

「恐らくお前は里子に出されていなかったんだろう。で、ここに来たって事は覚悟は出来たんだな。」

あ、そうだったんだ。ってそんなこと気にしてる場合じゃない!

「できてる。」

この国を滅ぼす。

「その前に、ここに人が来ていからそれを潰してから向かおう。」

人が来ている?一体誰が?

するとドアが何者かに蹴破られた。

『マーガレット!』

その声は、あの人だった。

「ヤンドール、さん?」

数百人の兵を連れてヤンドール・ナオミ・学園長が来た。

「何の用?」

「ガレットちゃん!その人を信用しないで!その人は嘘を言ってるのよ!」

は?何言ってるの?私の片割れよ?

「ムシから来てくれるとは。手間が省けたな。来るがいい。我が片割れに寄り付いた虫ケラ共。」

そこから戦闘が始まった。

高等魔法が飛び交い遂には核魔法まで飛び交った。

「こんなのまるで、」

地獄絵図のようだった。倒れる人と、踏みつける人。血が出る人と斬る人。

(こんなの、)

双子の片割れと逢えたことは勿論嬉しい。だがこんな事になるとは思わなかった。

「何で、」

多分3人が来たのは私がいるから。つまり全部私のせい。

「私、何で、生まれたんだろう。」

虚無感に襲われた。

(私が生まれなければ、ガリントは双子になることはなかったし、里子に出されることもなかった。私が生まれなければあの時ウェズは命を失わなかった。)

「私の生まれた意味って、」

何だろうな。

「死ぬために生まれてきたんだろうな。」

もはや自嘲してしまった。

人が命を駆りあってる中、私は1人考えを巡らせた。

(どうせ死ぬのなら、会いたかったなぁ。)

本当の親に。


闘いは膠着状態に突入し、両者一進一退になっていた。

「く、ここまで強いとは、」

ヤンドールは膝をついた。

「ヤンドール!」

ナオミはヤンドールの背後に迫っていた刃を退けた。

「ジェナ、ありがとな。」


時間が過ぎ、その場に立っているのは3人とマーガレットとガリントだけだった。

「この数の兵をやったか。実力は中々みたいだな。」

「そうか?ま、遊べる程度には強かったな。」

「もう一度でも言うわ。ガレットちゃん。ソイツはアナタを騙してる!」

「今まで、私を騙してたのはどっちよ!私に色々隠してたくせに言い訳しないで!」

「それは、全て言ったらあなたは!」

「もう全部知ってるわよ!影武者一族の生き残りであること、私があの村に行ったせいで村が焼けたこと!全部知ってるのよ!」

私は、自分でも何が言いたいのか分からなくなってきた。

「何も、もう何も失いたくないのよ。お願い。私と関わらないで。」

私から離れて。関わったら、

するとナオミはマーガレットを抱きしめた。

「辛かったんだよね。悲しかったんだよね。周りで人が倒れていって、自分が1人になっていくのが怖かったんだよね。でももう大丈夫。私達がいる。」

「ナオミさ、」

「帰ろう?マーガレット。」

「おいマーガレット。寝返るつもりか?」

揺らぐ心。

「マーガレット君。隠していたのは、本当にすまないと思っています。君にこの事実を知られたくなかったんです。知ったら君が悲しむだろうから。」

学園長は言った。

「学園長...」

「君さえ良ければ、私たちの元へ帰ってきてください。歓迎しますよ。」

「マーガレット。惑わされるな。。」

「マーガレット。」

どっちを信じればいいの?

「わたし、は、」


ー侯爵邸にてー

「なんか最近頭痛いな。偏頭痛か?」

やたらと頭が痛いし変な夢を見る。

(何か女がずっと喋りかけてくる。『あの子を助けてくれ』って。一体、誰のことなんだ?)

「アレのせいで寝られない。全く。」

何か忘れちゃいけない事なのはなんとなく分かるんだが思い出せないから仕方がない。

「いつか、思い出せたら良いか。」

そんなことを考え仕事へ向かうのだった。

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