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第一章 21話 記憶違い 微々たる真実

ー侯爵邸にてー

「アルス。ちょっと良いか?」

「何だ?兄貴。」

あれから数ヶ月が経ち、アルスは兄であるリンダを手伝っていた。

「お前、最近変だぞ?ふとした時に話聞いてないし。何かあったのか?」

「何かって、何もねぇよ。何だよいきなり。」

絶対嘘だな。顔見りゃ分かる。

「はぁ。ガレットと何かあったの?」

「は?誰だよガレットって。兄貴の嫁さんはガレットなんて名前じゃねぇだろ。」

「そんなこと分かっているさ。お前、まさか忘れたのか?ガレットは、お前の幼馴染。優しくて、気遣いができて、偶に寝坊もするけど他のやつとは違って自分にネチネチ構ってくるヤツじゃないってお前が言ったんだぞ?」

「そんなこと言ったか?記憶に無い。」

こいつ、本当に忘れたのか?

「本当に、覚えてないのか?」

「覚えてねぇよ。そもそも俺は女に興味が無い。聞きたいことがそれなら、俺はもう行くぞ。」

アルスは去っていった。

まさか、本当に...

「こりゃ、とんでもない事態になったな。」

アルスがガレットの事を本当に忘れたとなれば、今自分達が進めている事が進まないのだ。

(根本的に進まない。アイツには“本当の”家業を継いでもらわなきゃならねぇ。)

俺たちシャーロズ家の“真の家業”。

(アイツは、真の家業を継ぐ“星”が出てきている。早く思い出してくれ。)

アルス。


「これから本当に、どうするつもりよ。ヤンドール。」

「何回目だその質問。私達には何もできないさ。今頃、あの子は全て調べ尽くしただろうし、何もないさ。」

「我々が隠していたのが悪いのは事実。彼女が全てを受け入れるまで、余計に関わるのは辞めておいた方がいいだろう。」

「そんな、何も、できないなんて。」

不甲斐ない。1人の人間でさえ助けられないのが本当に不甲斐ない。

「今は、他の事に頭を使うべきだ。我々の闘いは、まだ始まったばかりなのだから。」

この国を潰す為、駒を進めるのだった。


「王家の奴等、何で影武者の一族を皆殺しにしたんだ?」

書籍をいくら読んでもその情報は出てこない。人に聞いてもみたが誰も何も知らない。

「誰か、知ってる人はいないのだろうか。」

もしかしたら、と思い王家の奴等が住んでる城の近くまで行ってみた。

「運に賭けるしかない。」

近くを歩いていたら、兵士の話し声が聞こえたので立ち止まって聞いてみた。

「なぁ、あの事件からもう大分経ったよな。」

「そうだな〜。難儀だよな。“影武者”のやつらも。」

コイツら、何か知ってる?

「王が影武者いらね〜って言って聖なる騎士団(ホーリーオーダー)を動かして潰したんだったな。」

「聞いた話じゃ、影武者の一族は長とその伴侶。長男に長女。次女と次男に至るまで、毒でやられたらしい。」

「何でそこまで嫌ってるんだ?」

「知らないのか?今の王が影武者に嫉妬したんだとよ。自分より貴族からの人気があって、住居周辺の民からも好かれてて。ようは、無いモノ強請り(ねだり)だな。」

王からの嫉妬で、両親が、殺された?

「何だそれ。理不尽だな。」

「しかも、そいつらの生き残りがまだ残ってるらしくて今血眼で探してるらしい。生き残りがいるって噂があるだけでその集落は潰されるらしいぞ。」

「じゃあ噂が本当でなくても、燃やされるのか。中々理不尽だな。」

「しょうがないだろうな。影武者は所詮影武者。表の人間より目立ってはいけない。処分されたのも、まぁ自業自得みたいなもんさ。」

しょうがない?影武者は所詮影武者?ただの無いモノ強請り(ねだり)のくせに皆殺しにしたの?周りの人間から好かれるかどうかなんて、自分じゃ決められないのよ?何それ子供みたい。1人の人間の無いモノ強請り(ねだり)のせいで、私は両親や友達が...。

尚更腑が煮え繰り返りそうだ。この王城を今にでも燃やし尽くしたい。貴族、大臣諸々皆んな燃やし尽くして滅ぼしてやりたい。

「こんな国、滅んじゃえば良いのに。」

「ん?今誰かいたか?」

「気のせいだろ。ボケたのか?」


私はそれからいるであろう片割れを探し始めた。恐らく私と考えてることは同じだろう。

「お願いだから同じ考えでいて。片割れ。」


「ふぅむ。や〜っと全部気づいたか。片割れよ。随分遅かったな。まぁ良い。一緒にこの国を滅ぼそう。」

“その人”はベランダで眼下に広がる街を見て言った。

(とはいえ、我が片割れの周りにはよからぬムシがついている。それを排除するか。いずれ、危険なブンシとなるだろうしな。)

着々と準備が進んでいるのであった。

「楽しみにしているよ。マーガレット。」

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