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第一章 16話 退場者

 (やっぱ気になるな。この2人、こんなに仲良かったっけ?)

「あ、あの、ウェスタン中将とナオミさん、そんなに仲良かったですか?」

「え?ま、まぁ。学園の後輩だもんね。私。」

「え、先輩後輩関係だったんですか?!」

「うん。そうだよ?」

さも当たり前かみたいな風に言うなぁこの人。

「俺たち知り合ってから20年経つからそりゃ仲良くもなるわな。」

「20年?!」

20年ってやばいじゃん!!マブダチレベルじゃん!

「そんなに驚くのか?」

「そりゃ、え?何歳ですか!」

「俺が今33。ジェナは、」

ナオミはマキロを睨んだ。

「知らん。」

「私は永遠の25歳よ♡」

少し雰囲気が和やかなになった。

「あ、そうだ。2人とも、何でここに来たんですか?」

「それか。あれだ。ヘルプに行って欲しいって言われたからだな。」

攫われる少し前にそういう通信をもらった。

「ヘルプって、ヤンドールさんは無事なんですか?」

「分からん。通信を貰った時もギリギリそうだったから。早くしなければな。」

ギリギリって...


すると次の部屋に着いた。

円形闘技場(コロシアム)か。」

闘技の初めの合図をするトランペットの音がした。

「今度は何だ?」

また別の扉の奥から来たのは巨人(ジャイアント)

巨人(ジャイアント)?!」

闘技場の扉が全て開かれ、門が現れた。

「続々と魔獣が!」

(クソ。ジェナを連れてガレットを護りながらヤンドールの元へ行くなんて、そんなの、)

いや、今は弱音を吐いている暇はない。

(やるしかない。)

「ガレット。ジェナを少し頼んだ。」

マキロはナオミをガレットに預けた。

「ウェスタン中将!」

「今なら、ウェズと呼べ。ガレット。」

マキロは魔獣の中に1人飛び込んでいった。

「ウェズ〜!」

自分は、あまりにも無力。

攻撃が当たらないように結界を張るのが精一杯だった。

「私は、なにも、」

「ガレットちゃん。今は、弱音を吐いちゃダメ。今はヤンドールを助けなきゃ。」

「でも、」

「グハ!」

「ウェズ!」

マキロが血を吐いた。

「はぁ、はぁ、ここまでとは、な!」

扉から出てくる魔獣は増えていくばかり。

(体力の消耗が凄まじい。早く、終わらせなければ!)

結界の壁を引っ掻く魔獣もいた。

「ナオミさん!どうしよ、結界が!」

「結界の強さは術者の精神力に左右されるわ!心を強く持って!」

だが、限界も近いようだった。

ピキピキ、

「もう!」

パリーン

これで、終わりなのかもしれない。

「ガレット!ジェナ!」

2人の前に立ったのはマキロだった。

「ウェズ!」

マキロは魔獣に右腕を食い千切られた。

「腕が、」

「問題、ない!」

左腕の拳が魔獣に炸裂。魔獣は地に伏せた。

「はあ、はあ、」

マキロはその場に膝をついた。

「ハハ。利き腕を、やられるとはな。」

「ウェズ!回復魔法を、」

左掌をガレットの前に出したマキロ。

「いや、良い。もう、手遅れだ。」

「そんなこと!」

「次の部屋への扉。あそこだ。あそこに入れば、次に行ける。」

マキロが指したのは北の扉。

「行け。ガレット・w・リンズ。」

「ウェズ!あなたを置いて、いけというの?!」

「ああ。戦場では、生存確率が高いものが先に進むべきだ。」

「そんな、」

「実はな、もう、右足の感覚も、ないんだ。左目も、もうほとんど見えない。足手纏いだよ。」

「そんなこと!」

「女2人、に大男を、背負うなど、むりだろう?」

「ウェズ!」

マキロは少し口に笑みを浮かべた。

「ガレット・w・リンズ。短い間だったがありがとうな。」

「ウェズ!」

「ジェナ。ガレットを、頼んだ。」

「分かった。」

マキロは残りわずかな魔力で馬を出した。

「乗れ。またいつ、出てくるか分からない、からな。」

「ごめんね。ガレットちゃん。」

ナオミはガレットを馬に乗せた。

「元気でな。」

“マーガレット”

馬は扉は一直線に走っていった。

「ウェスタン中将〜!」

「ハハ、これで、いいんだ。謀反(クーデター)の共謀者には、良い最期だよ。」

マキロは床に倒れた。

(馬が扉を潜るまで、生きるとするか。)

少しして、馬が扉を潜った。

(これで、良い。)

だが無慈悲にも、扉から出てくる魔獣の量は減らない。

(我の、魔力で、辺りを、塵にしろ。幾重之重力板(エイネ・グラヴィティ)。)

マキロは自爆を図った。マキロ・ウェスタンの自爆により、魔獣が出てくることは無くなった。


扉を潜った後、馬は消えた。

「もしかして、ウェズ...」

魔法によって人為的に生み出された獣が消失するのは、術者の消失を意味する。

「ごめんなさい、ごめんなさい、私の、せいで、」

「ガレットちゃん。今は、先に進むしかないわ。」

「ナオミさん!悲しく、ないんですか!人が、死んだんですよ!」

「悲しくないわけ、ないじゃない。」

ナオミの目には薄ら涙が浮かんでいた。

「ナオミさん...」

「私たちはそれでも、前に進まなきゃいけないの。アイツの屍を、踏んづけたまま泣き寝入りなんかできないわ。」

不条理にも、2人に残されているのは前に進むことのみ。

「進むしか、」

「ガレットちゃん。行こう。真実を、知りに。」

2人は奥へ進んでいった。


「順調に進んでいるようだね。」

「はい、そして1人。冥土に入ったようですわ。」

「そうか。報告ありがとう。」

早く来い。我が片割れ。

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