第一章 15話 リリス・ワーキンズ
ガレットは国の丘にある城へ向かった。
「まるで、中身が何もない城...行かなきゃ。ヤンドールさんを助けに。」
重い扉を開けて中に入ったガレット。
「扉が、重い...」
中の空気はやや埃っぽいがまだ割と綺麗な屋内だった。
(まるで迷宮みたいね。)
怪しい雰囲気しかない。
「ここに、ヤンドールさんが...」
地響きがした。
「地響き?!」
“哀れな片割れが来たぞ!”
“歓迎じゃ。歓迎じゃ。”
構えたガレット。
「やっと来たのね?ガレット・w・リンズ!」
「誰!ヤンドールさんはどこ!」
階段から一人降りてきた。
「誰?!あなたは!」
「私?私はリリス。リリス・ワーキンズ。この一連の黒幕を務めている!」
ガレットの前に立ったのは、尖った耳を待ったエルフだった。
「エルフ?」
「君の尊敬するヤンドール・スキンズは、奥の部屋に磔にされている。頑張って来てね♡」
リリスはその場から消えた。
「消えた?」
すると周りから次々と魔獣と自立魔導式人形が出てきた。
(どれくらいの量なのよ!ぱっと見、85。多すぎる。この量一人で捌けない!)
グワァォォォォォ
(しまった!)
振り返ると魔獣が襲いかかってきていた。
(間に、合わない!)
ここでおしまいだと思っていた。
『諦めたらそこで終わりよ!ガレットちゃん!』
聞き覚えのある声だった。
「ナオミさん!」
「間に合った。怪我は?」
「ないです!」
ナオミのお陰で魔獣は倒された。だが終わりではない。
「ウェズ!」
周囲の魔獣は一掃された。
「ウェズ?」
『俺のことを忘れちゃいないだろうな!ガレット!』
「ウェスタン大佐!」
「今は中将だ。ガレット・w・リンズ。」
最後に会ったのは数年前。まさかまた会えるなんて。
「再会に浸っている暇はない。今はコイツらを片付けるのみ。」
「はい!」
自立魔導式人形を次々となぎ倒していった3人。
「これで、トドメだ!」
「ウェスタン、中将。ナオミさん。何でここに?それに、ウェズって?」
「あ〜それはね、仕事中は渾名?で呼ぶことにしてるんだ〜!」
「渾名?」
「そう!私はマキロさんをウェズ。マキロさんは私をジェナって呼んでる!」
「へ、へえ〜。で、何でここに?」
また地響きが轟いた。
「説明は後だ。」
マキロは奥の扉を指差した。
「扉が開いた!」
「行くぞ。」
3人は扉の中に入っていった。
(何で、2人がここに?)
着いた部屋は微弱の毒霧が立ち込める部屋だった。
「毒霧か。気をつけろよ。」
安易に吸うと意識が飛びそうだ。
(いつどこから来るかわからない。構えとかなきゃ。)
キシャァァァ
「魔毒蛇!」
「!!!ガレットちゃん!」
背後から魔獣が来ていることに気づかなかった。
「ナオミさん!」
ナオミはガレットを庇い地面に倒れた。
「ナオミさ、」
背中から血が流れていた。
「私の、せいで、」
「問題、ないわ。」
「ジェナ。俺の上着を着ていろ。傷口に毒が入られたら腐るぞ。」
マキロはナオミに上着を投げた。
「ありがとう。ウェズ。」
「少し鼻と目を塞いでいろ。爆風魔法を放つ。」
二人は鼻と目を塞いだ。
「爆風魔法爆風之御柱!」
毒霧は一瞬で晴れ、魔獣は吹き飛ばされた。
「あ、扉!」
「待て。ガレット。アレに触れたら雷が落ちるぞ。」
「雷?」
マキロはドアに石を投げた。
ゴロゴロゴロゴロ ピギァァァン
「雷が、」
「下手に触れたら焦げるぞ。」
「そんな、」
「爆炎魔法黒炎砲弾!」
ナオミは扉に向かって魔法を放った。
「ナオミさん!」
「扉は開いたわ。」
「無理しないでください!体壊しますよ!」
「体を壊すことは、予想済み。」
「はぁ。まったく。ジェナ。肩貸すから立て。」
ナオミはマキロに肩を貸してもらって立った。
「大丈夫、ですか?」
「ええ。ガレット。」
笑みを浮かべたナオミ。
3人は扉を潜った。