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第一章 14話 待ちぼうけ 誘拐

 ガレットとヤンドールが旅をしている中アルスはただ、待ち続けていた。

(必ず、帰ってくる。必ず。必ず!)

数年が経過してもなお、待ち続けた。

「ガレット...」

アイツが俺を置いていくわけがないと確信はしているが、不安にもなる。

「どこにいるんだ。ガレット!」

「アルス。落ち着け。」

「兄貴!落ちついてなんかいられない!」

兄であるリンダはガレットが家から出てから段々荒んでいくアルスが見ていられなかった。

「あのなぁ。ガレットが大事なのは分かる。だがガレットはお前がそうなるコトを望んではいないだろう。」

「そんなの、分かって、」

アルスはガレットを想うがあまり、仕事が手についていない。

「はぁ〜ったく。しょうがないなぁ。」

「んだよ兄貴。」

「これは言わない方が良いんだろうけど、教えてあげよう。」

「何を?」

リンダはアルスの耳元に近づいた。

「実は今聖アザリンスと連中と謀反(クーデター)を企てている。」

「はぁ?!」

「大きな声を出すな。これは機密事項だ。」

「何でそんなコト、俺に、」

「それは、ガレットに関わるコトだからだよ。」

「ガレットに?」

目の色を変えたアルス。

(本当にコイツガレットのこと好きだな。)

「ああ。アイツが聖なる選別(ホーリーソーティング)の村出身だって知ってるだろう?その制度について不満があるものを集めて、国ごと潰そうってワケだ。」

「国を、潰す...」

「で、お前には役目を与えたい。」

「何だ?ガレットの為なら、何でもする。」

「ガレットの、側に居てやれ。」

「できることならやっているさ!でも、俺は、」

ガレットの腕を掴めなかった。

「恐らく、もうすぐでこの国に暗雲が来る。その時に、ガレットのことを護れ。」

「暗雲って、何だ?」

「分からん。ただ、何かが起こるということだけ。」

何が起きるか分からないなんて...

「お前に、これを渡しておく。ヤンドールから渡されたモノだ。」

リンダは赤色のペンダントを出した。

「これは、ペンダント?」

「それは、ガレットの魂と繋がっている。ガレットが命の危機に晒されたら、ガレットの近くに転移する仕掛けになっている。」

魂と、繋がっている...

「来たる日のために、準備をしておけ。恐らく、近いだろうから。」

「分かった。兄貴。」

部屋から出たアルス。

「アルス。すまんな。僕が不甲斐ないばかりに。」

この家系の真の家業を任せてしまってすまない。


「ヤンドールさん!ちょっとヤンドールさん!」

「お、すまな、い。」

ウィンディー村の中のベンチに腰掛けていた。

「バテたんですか?」

「そ、そんなわけないだろう?私はまだ現役さ。」

「露骨に慌ててるじゃないですか。何かあったんですか?まさか、村長さんに何か言われたんですか?」

「それ、は」

「教えてください。言ったでしょう?隠し事はなしだって。」

弱ったなぁ。ガレットも大きくなったもんだ。

「お前の魂が大きいって話をしたんだ。それだけ。」

「それだけ?魂が大きいって、どういう、」

雷が落ちた。

「雷!?」

「近いな。」

「え?」

村から次々と火が上がった。段々と悲鳴も聞こえてきた。

「村から、火が!」

昔目の前で起こった事がフラッシュバックした。

「あ、」

「ヤンドール!」

村長が出てきた。

「村長!」

「村から火が出ている!お前達は早く村から出ろ!」

「ガレット!」

ヤンドールはガレットの腕を引いて走っていった。

「ヤンドールさん!離して!」

村の入り口に一人、黒い外套を着た人間が立っていた。

(あれは!)


暫く走ったところでガレットは止まった。

「早く!」

「さっき、黒い外套を着た人がいました。あの人、林間合宿でも見ました。多分、あの人が黒幕です!」

「黒幕は既に判明している!今はただ、ここから離れるべきだ!」

今、なんて言った?黒幕が、既に分かっているなら、この旅の意味は?

「それ、どう言う事ですか?黒幕が判明してるって。」

「今はいいから、早く!」

「良くないですよ!前から、気になってました。あなたは、学園長は、ナオミさんは、マキロ大佐は、何か隠してる!」

ヤンドールは口をつぐんだ。

「教えてください!一体、何を隠してるんですか!」

「それは、」

また雷が落ちた。

「ッチ。すまない。ガレット。抱くぞ。」

ヤンドールはガレットを姫抱きにした。

「え?ヤンドールさん!?」

「我が真名に置いて命ずる。汝よ。我とガレット・w・リンズを運べ!空間転移(スペースワープ)!」

一瞬で二人はその場から消えた。

後に先程村の入り口にいた黒い街灯を身に纏った人間が現れた。

「逃げられましたか。まぁ、仕方がない。もうそろそろ、ですよ。」

我が主人の片割れ。


二人が着いたのは無機質な部屋。

「ここ、どこ?」

「ここは、僕の部屋だ。魔法で作った隠し部屋みたいなものだ。」

「隠し部屋...それは置いといて、黒幕は、隠している事は何ですか!真名って何ですか!私の魂が何なんですか!」

貴方にだけは、何も隠してほしくない。

「黒幕、は、」

部屋が一気に暗くなった。

「ヤンドールさん!」

「ガレット!僕は大丈夫だ!逃げろ!」

部屋が今度は明るくなった。そこにヤンドールはいなかった。

「ヤンドールさん!いない、」

攫われたのだろう。目の前に、尊敬する人がいない。

「逃げろって、一体、」

するとある声が聞こえてきた。

“逃げてはいけない。立ち向かえ。己の運命に。”

「誰!」

“私はお前。お前は私。我らは一心同体也。”

「え?」

“向かえ。丘の城に。さすれば全てが分かるだろう。”

「あなたは誰!」

そこで声は途絶えた。

「早く、行かなきゃ。」

全てを知るために。

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