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第一章 11話 手のひら返しとターゲット

 母さん、父さん、サーレット、ナユレット、村の皆んな。助けられなくて、ごめん。

自分の中に残るのは自責の念ばかり。

「ごめんなさい。」

私は夢の中でずっと謝っていた。


「ん、ここは、部屋?」

目が覚めたら自身の部屋だった。

「確か、ナオミさんが私に話しかけて、アルスが、」

そうだ、アルス!

部屋を飛び出て彼がいるであろう食堂に向かった。

「アルス!」

「おいなんだ。いきなり。」

ひどく安堵が襲ってきた。

「あ、あの、運んでくれて、ありがとう。」

「お、おお。」

少し驚いていたらしい。ガレットは椅子に座った。

「そういえばさっき伝書鳥が来た。暫く学園は休園らしい。」

林間合宿中に襲撃されたのだ。無理はない。

「そう、か。」

「ガレット。お前の過去がどうだったか、俺は詳しく知らないし、詮索するつもりも毛頭ない。話したくなければ、話さなければ良い。忘れたければ、忘れることも選択肢にあるということを忘れるな。」

相変わらずコイツは優しいな。

「そう、だね。心配してくれて、ありがとう。」

「心配?ふざけるなよ。こっちは名前が傷ついてほしくないだけなんだからな。」

所為、ツンデレというものだろうか。

「ありがとう。」

私は、この居場所を守りたい。でもいつかは出なければならない。そんなことわかっている。外でも、守ることはできる。仇を討てたら、もしできたら。

安心できるこの場所を守るため、強くなる。


数週間後 学園の安全が確認されまた無事に通うことが可能になった。

「久しぶりだな。」

どうやら学園に被害は出ていないみたいだ。

「あ!ガレット様!」

向こうから走ってきたのは例の女グループ。

「え?」

「あの時助けてくださりありがとうございました!」

「あ〜えっと、あれは当然で、」

「それで、あなたに謝りたくて、あの時色々言ってしまってごめんなさい!」

どうやら謝りたいらしい。

「べ、別に気にしては、」

「いえ!これは謝るべきなので!」

引く気は無いのかこの人たち。

「えっと、まぁ、どういたしまして。」

「また、お茶しましょうね!」

どうやらあの一件以来ファンクラブができていたらしい。

「ファンクラブって、手のひら返しかよ。」

「しょうがないんじゃ無い?気にしても無駄よ。」

ちょっとだけ人に群がれるアルスの気持ちがわかった気がした。


四限目の講義が終わった後二人は学園長室に呼び出された。

「絶対林間合宿のことだわ。」

「だろうな。」

周りからの目線が妙に煩い。


二人は学園長室前の扉に着いた。

「開けるぞ。」

中にはマキロ・ウェスタン大佐、ナオミ・ジェッタ、ヤンドール・スキンズ、学園長がいた。

「座りなさい。二人とも。」

何やらとてつもない話題でも話すつもりか?

「君たちを呼んだのは他でもない。先日の林間合宿の件だ。」

「林間合宿の件で何でこんなに人がいるんですか?」

するとマキロは口を開いた。

「あの件を調べてな、黒幕の目的が判明した。」

「目的?」

「ああ。目的は、」

マキロがガレットを指差した。

「私?」

「ああ。彼らの狙いは、他でもない君なのだ。」

「私って、」

「...もしかして、ガレットを狙っている理由は、ガレットの過去に関係あるんですか?」

「ああ。」

ガレットは目を大きく開いた。

(私の、過去?私が、生き残りなのを突き止めた?そんなはず...)

「何故ガレットの過去をそんなに掘り下げる必要があるんですか?本人は、明かしたくない事なのに。」

「それは、知っているさ。ガレットの過去がどれだけ悲惨だったか。」

口を開いたのはヤンドールだった。

「お前が、何を知っているというんだ。」

「私は、全て知っている。ガレットの過去を。」

机を勢いよく叩いたアルス。

「そんなに人の過去を掘り返して何が楽しい!」

「楽しんでなどいない!」

ピリつき始めた空気。

「ガレット。帰るぞ。」

アルスはガレットの腕を掴んで勢いよく立った。

「アルス...」

「俺は、人の過去を掘り返す人間が大嫌いだ。」

「待て。」

アルスは振り返り放った。

「大人たちに、ガレットを任せてはおけない。」

「話を聞いて。アルス君。これは、私たちに必要な話よ。」

「うるさい。お前も俺と同じ一族だろうが!」

「アルス・シャーロズ。君は少し頭に血が昇っているようだな。」

学園長が言った。

「何がだ。」

一息ついて学園長が言った。

「ガレット・w・リンズ。すまないがアルスを先に戻してくれないか?」

「分かり、ました。」

「ガレット!良いのか!コイツらは、お前の、」

「良いんだよ。私の過去は、いつか知られる事だって分かってたから。」

「クソが。」

荒々しく椅子に座った。

「こちら側として、既にガレットを守る姿勢に入っている。奴らはいつまた来るかわからないからな。」

「ガレットのこと狙ってるっていう奴らの正体は、分かってるのか?」

「分かっては、いる。」

「なら何で何もしないんだ!」

「何もしてないわけないだろう。奴らはすぐに動きを起こすわけではない。いつ動いてもいいように準備を進めているのだ。」

「待つだけなんて、」

「そこで、アルス。君にやってほしいことがある。」

「やってほしいこと?」

「ガレットを、守ってほしい。我々だけでは対処できないから。」

「お前たちは人一人の護衛さえも他人に!」

「黙れ!」

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