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第8話 敗北と特訓

今回は短めです。

 翌朝、レオナールはフェンリルの事が気になり、朝一でギルドに向かった。 ギルドの中に入ると、森での出来事の報告と今の森の情報を聞くためにソニアを探した。


「ソニアさん、おはようございます。 昨日の報告と今の森の状況って教えてもらえますか?」


「おはよう。何か気になる事でもあったの?」


「大きな遠吠えが聞こえたぐらいですかね?」


「遠吠えですか?そういえば、遠吠えの後にフェンリルが移動したと言ってたわ。」


「ところで、森の状況は?フェンリルはどうなったんですか?」


「報告では、フェンリルは既に奥地に戻っていたみたいね。森は今、要警戒って感じね。でも、どうしてフェンリルは中心部に来たのかしら?」


「要警戒ですか?」


「そうね、最近森の状況がおかしいから、今回集まった高ランク冒険者で奥地まで調査する事になったの。 その調査で問題が無ければ依頼が再開されるわ」


「そうなんですね!ありがとうございます!」


 フェンリルが無事な事と森の状況が把握できたレオナールはそのまま家に帰ることにした。 家に着くと庭でゼフィルとイザックが訓練をしていたが、レオナールに気がつくと近づいてきた。


「おい!なんだその獣は?」


「もしかして、俺の訓練用に持ってきてくれたのか?」


 ゼフィルに続きイザックにも信じられない言葉を言われすぐに否定する。


「違います!僕の従魔です!」


「従魔だと?そんな獣なんぞ敷地に入れおって!そうだなぁ、そんな獣でも少しは役に立つだろう?イザックいくら子供のウルフとは言え油断せず全力で相手してやれ!」


「はい。森に行く前の練習によさそうですからね! じゃあ行かせてもらうぜ!」


「や、やめてください!僕の家族なんです!」


 とっさに飛び出て家族と言うレオナールの言葉に不愉快になったゼフィルは、イザックに徹底的にやるように命じた。


「イザック、スキルも使って訓練ではなく実践だと思ってやれ!」


「わかりました!お父様!」


 いつかは分かり合えると思っていたレオナールは二人に言葉に絶望し、シレンと連携して応戦する事にした。


「そんな事許しません!僕の大事な家族を傷つけさせません!」


「俺のスキルの前に雑魚同士が組んでも何の意味もねぇよ」


「僕たちを甘く見るな!」


 冒険者として実践を経験しているレオナールと従魔のシレンに未熟なイザックが勝てるはずもなく劣勢になっていると、見かねてたゼフィルが加勢してきた。


「こんな奴らに何を手こずっている! 俺が手本を見せてやろう!」


 さすがにレオナール達でもゼフィルには勝てずボコボコにやられてしまった。


「イザック戦いとは突っ込めばいいだけでは無いと覚えておけ!」


「はい!」


「では今日の訓練はここまでにして戻るぞ!」


「ですがお父様、こいつ等はどうしますか?」


「練習相手にちょうどいいからな、そのままにしておけ」


 そう言葉を残し二人は屋敷に戻っていった。 残されたレオナールは、シレンを抱え部屋に戻った。 痛みを堪えながらやっとの思いで部屋に着いたレオナールは、スキル【錬金術】で作っておいた回復薬を取り出しシレンと共に飲んだ。 回復したレオナールとシレンは自分たちの力のなさにへこんでいた。


「シレンちゃんと守れなくてごめんよ」


「バウ バウバウバウン(主様 ボクも無力だった)」


「シレン、あの人の最後の言葉を聞く限りまたやられるから今のうちに森に戻るかい?」


「バウ! バウバウバウン!(ヤダ! ボクは戻らない!)」


「本当にいいの? じゃあ、強くなるために一緒に特訓しよう!」


「バウ! バウバウ!(うん! がんばろー!)」


 二人は今後の為に自分を鍛えることにした。 翌朝、昨日のことを聞いたアルバートが訪ねて来た。


「レオナール!シレン!体は大丈夫?って元気そうだね?」


「お兄様! はい。 回復薬飲んだんで見た目は大丈夫だけど、自分たちの弱さを実感していたところです」


「バウ!(うん!)」


 アルバートの言葉に、昨日の自分たちの醜態を思い出し少しへこんでいた。 レオナールはアルバートに、訓練に付き合ってもらうようお願いすることにした。


「お兄様!僕たちの訓練に力を貸してもらえませんか? もう、あの人たちに何もできずに負けたくないんです!」


「僕なんかで良ければ手伝うけど?何をすればいいんだい?」


「ありがとうございます! お兄様にやってほしいことは、僕たちと実践形式で模擬戦をしてほしいのです」


「やる事は分かったけど、危険な魔法は使わないよ?」


「でも、強めの魔法を使ってもらわないと、僕たちの訓練にならないのでお願いします。 幸い、回復薬もいっぱいあるのである程度は大丈夫です!」


「そこまで言うなら使うけど、僕が危ないと思ったら何を言おうとやめるからね!」


「はい!よろしくお願いします!」


「バウ(うん)」


 森に行くことができなくなったレオナール達は、今後変なちょっかいを掛けられないように毎日のように訓練するのだった。 あれから数か月が過ぎ、たびたびイザックが練習だと言ってレオナール達に挑んで来ていた。ゼフィルとの訓練で戦い方の変わったイザックに、最初の方はボロボロになるほどやられていたレオナール達だったが、アルバートとの訓練で連携等が上達していき、ボロボロにやられることは無くなったが、そのたびにゼフィルが加勢してこっぴどくやられるのであった。


 レオナールは十一歳になり久々にフェンリルに会いに森に行くことにした。 森の封鎖はとっくに解かれていたが、レオナール達は自分たちが行ってしまうとフェンリルが訪ねてきてしまう恐れがある為、ほとぼりが冷めるまで行くことが出来ないでいたのだが、騒動から数か月経った為会いに行くことにした。


 久しぶりにギルドに顔を出すとソニアがすっ飛んできた。 何故ずっと来なかったか等色々聞かれ説明する事になった。 そんなこんなで森の中心部まで来ると案の定フェンリルが現れた。


「(やっと来てくれたのね!待たせすぎだよ!まったく)」


「お久しぶりです!色々あってすぐに来ることが出来なかったんです。 すみません」


「バウバウ! バウバウン(お母さん! ごめんなさい)」


「(坊やたち別に怒ってないよ! それはそうと、従魔にの件はどうするか決めてくれたかい?)」


「うん!従魔になってもらう事に決めたよ! よろしくね"ルーン"!」


「(親子ともどもよろしくね!レオナール。 それにしても"ルーン"か気に入ったよ!)」


「ルーン、ちょっと言いづらいんだけど、ルーンは街には連れて帰れないから森に居てもらうのと、今度から僕たちが奥地まで行くよ! ルーンがここまで来ると騒ぎになっちゃうから」


「(その方が良さそうだね。前回もこの辺まで来ただけで人間がうるさかったからねぇ。 分かったよ!)」


「それと、森に来ている間僕たちを鍛えて欲しいんだ。 お願いできる?」


「バウバウ(お願い)」


「(それ位お安い御用よ!)」

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