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第28話 シレンの正体と親の存在


 レオナールは、屋敷に戻ると地図を取り出し周辺の状況を確認し水問題をどうするか考えて居た。少しして木の伐採に行って居たアルバートが戻って来た。


「ただいまレオナール」


「兄様、お帰りなさい。そちらの進み具合はどんな感じですか?」


「順調に進んでいるけど僕一人だとまだまだ時間が掛りそうかな?レオナールは何をしてたんだい?」


「僕は、領民に色々聞いて回った結果、水場が近くになく雨水を貯めたり、川まで汲みに行って居る事が分かったので、この問題をどうにかできないか地図を見ながら考えて居たところです」


「あの川までだと確かに早急に解決しなくちゃいけない問題だね?そっちを手伝ってあげたいけど生活圏を広げるのも現状大事だからなぁ」


「そうなんですよね。川から水を引いて水路を作ろうと思ったのですが、兄様に頼んで広げてもらっている所にも通すと考えるとどうしても時間が掛ってしまうんですよね?」


「ルーンにも伐採を手伝ってもらうってのはどうだい?そうすれば、時間を大分短縮できると思うんだけど」


「ルーンですか?でも領民が怖がらないでしょうか?」


「この際だから、皆に紹介しておくのもいいんじゃない?早めに安全だと知ってもらえば一緒に暮らせるし領地の安全性も確保できるし」


「うーん……そうですね。一緒に住むかはルーンに任せるとしても、今のうちに皆に紹介しておくのは良いかもしれませんね!明日森に行ってルーンに聞いてみます。水路の方はスキルを作成して何とか頑張ってみます‼」


「あまり無理をしては駄目だよ?僕は伐採を進めておくから気を付けて会いに行くんだよ?」


「はい」


 翌朝、レオナールはシレンと共に森に居るルーンに事情を説明しに向かい、アルバートは木の伐採に向かった。


「では兄様、ルーンに会いに行ってきます。ルーンが承諾してくれたらそのまま街に連れてきますね‼」


「連れてくるのは良いけど、行く前に領民に説明しておかないとパニックになっちゃうよ?」


「……そうですね。一緒に住めるかもと思い少し先走り過ぎました。行く前に村長に話しておきます」


「せっかく手伝ってくれている皆を待たせるのは悪いから僕も伐採しに行ってくるよ」


「はい!よろしくお願いします」


 アルバートを見送ったレオナールは村長の元へ向かった。



「村長さん、お話したい事があるのでちょっといいですか?」


「レオナール様!?お話ですか?大丈夫ですが何かございましたか?」


「僕の従魔について話しておきたい事がありまして」


「従魔というと、あそこで待っているウルフの子供の事でしょうか?」


「いや、あの子とは別に森に住んでもらっている子が居るのですが、領地の拡大を機に連れてこようと思いまして」


「魔物が跋扈する森に居るのですか!?危険じゃ……」


「その子は強いので危険はないのですが……その従魔というのはフェンリルなんです」


「……フェ、フェンリルですか!?」


「はい。その子をここに連れてこようと思うので、騒ぎにならないように皆に伝えといて欲しいんです」


「レオナール様を疑う訳ではないのですが……だ、大丈夫なのでしょうか?」


 村長はレオナールの顔色を窺いながら伝説の魔物フェンリルが本当に安全なのか尋ねた。


「悪人には容赦ないですが、それ以外の人には変なちょっかいを出されない限りは何もしません。 それに、シレンの親でもあるのです」


「え!?……あの子はウルフではなかったのですか?」


「はい。今まで黙っていてすみません。それに魔物と言っても、知性もあり会話もできるので安心してください。 シレンと仲良くされている皆さんなら大丈夫だと思います!」


「さ、流石は伝説の魔物ですね。 会話までできるとは。 でもどうして今連れてこようと思ったのですか?」


「魔法が使えるので、今やっている領地の拡大を手伝ってもらうのと領地の防衛にも良いかと思いまして」


「フェンリルがここで魔法を使っても大丈夫なのでしょうか?家や畑が無くなったりは……」


「ちゃんと周りに被害が出ないようにするので大丈夫です!」


「分かりました。皆には私から説明しておきます。ですが、いくらあの子もフェンリルだと言われてもまだ幼い子供です。その親ともなれば長きを生きる伝説の魔物なので説明されていても怯える者が多いと思いますのでご容赦頂けたらと思います」


「魔物ですから怖がるのは当然です。それも最強種の魔物ですからね。時間はかかるかもしれませんが皆にも受け入れてもらえるように頑張りますから!」


「そう言って頂けると有難いです。では、私は皆を集めて説明しておきます」


「僕はこのまま森へ向かいます。皆の事は村長にお任せします!」


「お任せください。レオナール様なら大丈夫でしょうが、無事の帰りをお待ちしております」



 村長との話も終わり、レオナールはシレンと共にルーンの元へ向かった。森の中心に近づくとルーンが待っていた。ルーンを見つけたシレンは一目散に駆け寄り嬉しそうに話をしていた。そんなシレンの姿を見ながらレオナールもルーンの元へ行くのだった。

読んでいただきありがとうございます!

それに誤字の報告をしてくださっている皆様もありがとうございます。

今後も誤字脱字、おかしい言い回し等あると思いますがよろしくお願いします。

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