第27話 領地改革
道中狩った魔物の肉に持ってきていた酒で遅くまで騒ぎ、何人かは酔いつぶれていた冒険者達だったが、翌朝には何もなかったかのように準備をしていた。
「おはようございます。 皆さん、ダンジョンの調査よろしくお願いします」
「まかせとけ! 俺たちもおいしい思いが出来るから有難いぜ」
「未知のダンジョン楽しみだぜ!」
「こういうダンジョンが発見されると先に探索できるのは高ランク冒険者の特権だよな!」
「はぁ、お前ら……少しは緊張感を持てないのか? この森の魔物を見てよくそんな事を言えるな。 そんなだとすぐに命を落とすことになるぞ!」
集まった冒険者達をまとめている冒険者が周りの様子を見て注意をした。
「リーダの言う事も分かるが、誰も入った事のないダンジョンが目の前にあるんだから冒険者として気持ちも上がるってもんだろ!」
「そうだぞ。 リーダはちょっと慎重すぎるよな」
リーダの注意に周りの冒険者が反論したのだが、この慎重な性格のお陰で危ないところを何度か助かった事があるため、その経験を長々と語るのだった。 なかなか終わらないリーダの話に早くダンジョンに行きたい冒険者達は反論した冒険者に視線を向け『お前らが余計な事を言うから……』という視線を向けられ、居た堪れなくなりリーダーに謝るのだった。
「慎重すぎると言った俺たちが悪かった。 話はその辺にしてそろそろダンジョンに向かわないか?」
「ん? まぁ分かってくれたのならいいが、次同じ事があったら今度はたっぷりと分からせるからな?」
「「は、はい‼」」
リーダーは威圧しながら忠告すると、青ざめながらも返事を返した。 そんなやり取りを見ていたレオナールは、何とも言えない顔をするのだった。 レオナールの視線に気づいたリーダーは、苦笑いしながら挨拶をしてダンジョンに向かうのだった。
「では兄様、僕達も領地に帰りましょう」
「そうだね。 まだまだやらなくちゃいけない事が沢山あるから戻ったら忙しくなるぞ」
「はい。 でも、戻る前にノヴァに会ってから戻りませんか?」
「そうだね。 最近忙しくて会いに来れてなかったし、ノヴァの話をしていたら僕も会いたくなってきちゃった」
久しぶりにノヴァに会いたくなった二人は、ノヴァに会いに行ってから帰ることにした。
「ノヴァ久しぶり。僕たちが居ない間変わった事はなかった?」
「おぉ!お主たちじゃったか。特にいつもと変わらんかったぞ」
「今、ダンジョンに高ランクの冒険者の方たちが調査に来てるけど変なちょっかいを出されたら構わず交戦しちゃって大丈夫だけど、こちらからは手を出さないでね」
「そんな面倒な事はせんから安心するのじゃ。まぁ、ちょっかいを出されたら消し炭になってもらおうかの」
「消し炭って……ちょっとかわいそうじゃ」
「兄様、最初にちゃんと注意いたしそれでも挑んでくるんだから自業自得だと思います」
「報告も済んだしノヴァと少し遊んでから帰ろうか?」
「そうですね」
レオナール達はノヴァに会い楽しいひと時を過ごしていたが、王都からの帰り道に助けた令嬢とこの国の王女がすぐそこまで来ている事等知る由もなかった。
ノヴァとの楽しいひと時を終え領地へ戻って来たレオナール達は早速仕事に取り掛かるのだった。
「探索に行ったときに見つけた朽ちた壁があった所がノヴァの言っていた昔のこの領地の防壁だったと思うので、そこまで広げるのを兄様にお願いしてもいいでしょうか?」
「あの壁かぁ。魔法が使える僕の方が効率は良さそうだしそっちは僕が行ってくるよ!」
「ありがとうございます。 木材の確保も並行して行えるので領民に説明して皆にも手伝ってもらいましょう」
「そうだね。その方が早く終わるからね」
「では僕は、皆を集めて説明してきます」
「じゃあその間に僕は準備を整えておくよ」
レオナールは領民を集め今から行う事の説明をし手伝ってくれる人を集めた。
「皆さん忙しいのに集まってくれてありがとうございます。領地を広げようと思っていて、アルバート兄様が魔法で木を伐採するのでそれを運んでくれる人員を募集したいのですが手伝ってくれる方いませんか?」
「レオナール様そんな事をして森の守り神様がお怒りにはならないのでしょうか?我々がこれまで生きて来れたのは守り神様のお陰なのです。もしお怒りを買ってしまったら……」
「それは大丈夫です。広げようと思っている場所はもともとミストヘイズ領の防壁があった場所までなので」
「分かりました。お怒りを買わないのなら喜んで手伝わして頂きます!ところで、何人ぐらい必要でしょうか?」
「他の仕事に支障が出ない程度の人数で大丈夫ですので話し合って決めてもらえばと思います」
「分かりました。では、皆で話し合うので少しお時間をいただいてもよろしいですか?」
「はい、大丈夫です」
領民で話し合い力仕事という事で力のある男衆が15人手伝ってくれることになった。 アルバートと合流した男衆は魔法でどんどん木が伐採されていく光景に驚きながらも自分たちの仕事を着実に進めてゆくのだった。
レオナールはというと領地を回り畑の様子や次に建物を建てる場所等を探しながら領民の悩み等を聞いて回っていた。
「悩みといわれてもねぇ。レオナール様達が来てくれたおかげで快適に暮らせて居るから特にないのよね。隙間風の入らない家があり飢える事も無いですし」
「そう言って頂けるのは嬉しいのですが、些細な事でもいいのでないですか?」
「しいて言うなら畑仕事や生活で使う水が少し離れた川まで取りに行かなきゃいけないのが大変なくらいですかね?」
「水ですか?確かにあの川までは距離がありますもんね。分かりました、対策を考えておきます!」
「レオナール様!?前と比べたらそんなの苦でも何でもないのでそんなに深く考えてもらわなくても大丈夫ですよ?」
「いえ、水は人が生きるのに一番大切なものですしこの領地に人を呼び込み発展させて行こうと考えて居るので最優先でどうにかしなくてはいけない案件なんです‼」
「分かりました、私たちにお手伝いできることがあれば遠慮なく言ってください」
「はい!その時はよろしくお願いします」
水問題も分かり有益な情報を得たレオナールは、急ぎ問題解決の案を考えるため屋敷に戻るのだった。
読んでいただきありがとうございます!
それに誤字の報告をしてくださっている皆様もありがとうございます。
今後も誤字脱字、おかしい言い回し等あると思いますがよろしくお願いします。




