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第26話 普通じゃない魔物と仲間と合流


「ドラゴンに出会っていたとは驚いたぞレオナール。 でも、よく無事だったな」


「タカマサさんお久しぶりです。 出会った時は死を覚悟しましたが、そのドラゴンが好戦的じゃなかったので大丈夫でした」


「そんなドラゴンなら俺もあってみたいな」


「それなら、大分進んできたので呼んでみますか?」


「うーん。 いや、危険でもないのに今来られるとドラゴンに目が行っちまって警戒を怠っちまいそうだから今度時間のある時に紹介してくれないか?」


「分かりました。 一応、紹介しても平気か聞いておきますね! まだすべての人間を信じていないみたいなので」


「ああ、それで頼む。 考えてみれば、ドラゴンは色々な種族に恐怖されながらも狙われる存在だからな」


 レオナールとタカマサが話しながら森を進んでいると、他の冒険者がタカマサを呼びそちらへ向かって行った。 レオナールに聞こえない声で話していた為、会話の内容は聞こえることは無かった。


「タカマサ、よく貴族相手にあんな風にしゃべれるな。 知り合いなのか?」


「あぁ、この前王都で知り合ってな」


「そんな軽い感じで言ってるけど、貴族と知り合うなんてそう簡単になれるもんじゃないぞ?」


「レオナールは、他の貴族とは違って話の分かる数少ない奴だからな。 お前らもすぐに仲良くなれると思うぞ?」


「そう言われても、俺たちは貴族ってだけで委縮しちまうよ」


「まぁ、一緒に居れば他の奴と違う事が分かると思うから気長に頑張れ」


 話しながら歩いていると数か所から物音が聞こえた。


「これは……囲まれているな。 全員警戒しろ! 結構奥の方まで来たから何が来るか分からんぞ」


 冒険者たちは、領地を持つ貴族にどう指示を出せばいいか迷っている姿にみかねたタカマサが指示を出出した。 指示を出された冒険者たちは、先ほどと打って変わって真剣な顔に変わっていた。

 レオナールを中心に展開すると魔物達が一斉に襲い掛かって来た。


「武器持ちのハイ・オークだ気をつけろ! レオナール、流石にこの数のハイ・オーク相手にお前を守りながら戦うのは厳しい。 戦いに参加してもらってもいいか?」


「はい。 僕も冒険者ですし、この子も居るので大丈夫です!」


「他の奴らも聞いたな? レオナールを守る必要はねぇ。 各自、目の前の敵に集中しろ!」


 タカマサの指示を聞いた冒険者たちは『おう!』と返事を返し戦いに集中するのだった。


 レオナールはシレンと連携しハイ・オークを倒していた。 他の冒険者を見てみると、レオナールが一体倒す間に二体・三体とどんどん数を減らしていっていた。


 流石Bランクの冒険者だなぁ。 このまま行けばすぐに倒しきれそうだ。と内心驚いていると、森の中から魔法が飛んできた。


「な、魔法だと!? 今度は何が来たというんだ!」


 いきなりの魔法の攻撃にタカマサが声を張り上げて周りを確認する。 そこに姿を現したのは、盾を持ったオークに守られるようにして杖を持ったオークの姿があった。 此方の戸惑っている姿を見たオークは「ニヤリ」と不敵な笑みを浮かべながら次の魔法を放ってきた。


「また魔法が来るぞ! 皆、注意しろ‼」


 ハイ・オークと闘いながらオーク・メイジの攻撃を避けて戦うという不利な戦いが強いられていた。 何人かはオーク・メイジを倒そうと向かって行っているが、オーク・メイジを守っているガーディアン・オークがそれを許さなかった。


「何なんだあのオークは! 盾を持った個体なんて見た事無いぞ」


「あれは、ガーディアン・オークという魔物です。 皆さんが見た事無いという事は、ドラゴンの魔力で変異した魔物だと思います。 この森ではよく見かけるので普通の個体だと思ってました」


「それにしても、オークがこんな連携をしているのもおかしいぞ? 大抵の魔物は王が居ないと連携何てしてこないんだぞ? 近くにオークキングでも居るのか?」


「この森では、魔物の連携はいつもの事ですよ? オークキングはもっと奥に行けば居るとは思いますが、ここら辺には出て来た事無いです」 


「ドラゴンが居るってだけで魔物の強さがここまで変わるとは……」


 何とかオークを倒すことが出来た一行はより一層警戒を強めながら進んでいった。


「レオナールはいつもこんな魔物と戦って居たのか?」


「はい。 ここの魔物以外あまり知らなかったのでこれが普通だと思ってました。 僕の従魔やドラゴンも特に何も言っていなかったので……」


「そうか、こんな魔物達と毎日のように戦って居ればその年でその強さもうなずけるな」


「ダンジョンは、僕の従魔がおかしいと言うぐらいなのでここより大変だと思います」


「まじか……。 ちょっと自信無くなって来たかもな」


 そんなタカマサの言葉に他の冒険者たちも『うんうん』と頭を縦に振っていた。


「僕達より強い皆さんなら大丈夫だと思いますが、危ないと思ったらすぐに引き返してきてください。 僕も一緒に行きたい気持ちはあるのですが、僕の従魔が僕と兄様ではまだ早いから駄目だと言われてしまって……」


「あの強さを持ってしても駄目なのか……。 分かった、気を付けるとするよ」


「まあ、先に向かったAランク冒険者の方も居るので大丈夫だとは思いますが」


「あいつ等か? 説明も聞かずに行った奴らだ当てになんかできねぇぞ? なんなら、ここの魔物達に何人かやられてるかもしれないしな」


「流石に大丈夫じゃ?」


「いや、ここの魔物は普通と違うから不意を突かれて、今頃ダンジョン前で休んでるかもな?」


 話しながら進んでいるとダンジョンの入り口が見えて来た。 タカマサの言っていた通り、入り口には先に向かったはずの冒険者たちが休んでいた。 その近くには、アルバートとルーンの姿もあった。


「な? 言った通りだろ?」


「ははは」


 タカマサに問いかけられたレオナールは、苦笑いを浮かべる事しかできなかった。


「皆さん、僕ちょっと兄様たちに話を聞いてきますので、拠点作りなど進めてもらっても大丈夫です。 ダンジョンの近くなら他の魔物も寄ってこないので」


「あぁ。 ここまで来るのにこんなに消耗するとは思ってなかったからな。 俺たちは、明日から調査に行くとするよ」


「わかりました。 皆さん今日はゆっくり休んでください。 一応、道中で倒したオークの肉を置いておくので好きに使っちゃってください。 ガーディアン・オークやメイジの肉はすごくおいしいので!」


「それは有難いな。 遠慮なくいただくとする」


 レオナールは道中倒した魔物を【無限容量(アイテムボックス)】にしまっていた物をその場に出しアルバートの元へ向かった。


「兄様、お待たせしました。 ルーンも居ないと思ったらこっちに居たんだね。 皆を守ってくれてありがとう」


「レオナール、お疲れ様。 所でノヴァは呼ばなかったんだね?」


「(気にしなくてもいいのよ。 森に居る魔物なんて相手にならないのだから)」


「ははは、ルーンらしいや! はい。 皆さん強くてノヴァを呼ぶような事が起きませんでした。 僕と一緒に来た冒険者の方々は今日は休んで明日から調査をすると言っていたのですが、兄様の方はどうですか?」


「僕達の方も明日にするらしいよ? 怪我人も数人だけど出ちゃったからね?」


「分かりました。 では僕たちは、明日皆さんを見送ったら領地へ戻る事にしましょう」


「それでいいと思うよ」


 レオナール達は今日は野営をし明日戻ることにした。 アルバートと一緒に来た冒険者たちは、食事が終わると各々自分のテントに戻って早々に休んでいった。 レオナールと一緒に来た冒険者にアルバートも混ざり一緒に食事をしていた。 最初こそ緊張していたが、時間が経つにつれ打ち解けていった。

読んでいただきありがとうございます!

それに誤字の報告をしてくださっている皆様もありがとうございます。

今後も誤字脱字、おかしい言い回し等あると思いますがよろしくお願いします。

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