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第23話 冒険者ギルド


「まずは冒険者ギルドからですね」


「商業ギルドにも行かなくちゃいけないから早めに話し合いが終わるように頑張ろう」


 冒険者ギルドに入り受付まで向かっているといきなり冒険者に声を掛けられた。


「お前みたいなガキがこんな所に何の用だ?」


「あなたはここの職員の方ですか?」


「俺は冒険者だが?」


「職員の方ではないならお話しする必要はないと思います。 急いでますので失礼します」


「な! 人がせっかく話しかけてやったのになんだその態度は」


「僕達は職員の方に話が在るのであって冒険者のあなたにある訳ではありませんので」


 レオナール達が言い争いをしていると騒ぎを聞きつけた職員が急いで向かってきた。


「何をそんなに言い合っているのですか! はぁ、またあなたですか?タカマサさん」


「ガキがこんな所でうろうろしてるから俺は親切心で声を掛けてやっただけだ」


「そうかもしれませんが、貴方は見た目も言葉遣いも普通の人からしたら怖いんですから気を付けてくださいと言ったはずですが? 仮にも高ランクの冒険者なんですから!」


「それはしょうがないだろ」


 ギルドの職員とタカマサと呼ばれている人の言い合いが終わると職員はその場に残り冒険者の貴将はそのままどこかに行ってしまった。 職員とタカマサの言い合いを聞いていたレオナールはタカマサが自分たちを思って話しかけてくれた事を知り、今度見かけたらしっかり謝罪とお礼を言おうと思った。


 その場に残った職員がレオナール達に先ほどの謝罪と用件を聞いてきた。


「先ほどは申し訳ありませんでした。 ところで、今回はどのような御用件で起こしでしょうか?」


「ギルドマスターに話したい事がありまして呼んでもらう事は可能でしょうか? 国王陛下からの書状もありますのでこれを」


「国王様の書状ですか!? すぐにギルドマスターに確認してきますので少しお待ちください」



 アルバートと話しながら待っていると先ほどの職員が一人で戻って来た。 最初は今日は会えないのか?と思ったが戻って来た職員に「ギルドマスターが奥の部屋でお話を聞くそうなのでご案内します」と言われ付いて行くことになった。 部屋の中に入ると険しい顔をした中年の男性が待っていた。


「レオナール様お待たせしてしまい申し訳ございません。 詳しいお話を聞かせて頂いてもよろしいでしょうか?」


「様付けなんてやめてください。 僕は貴族になったばかりですし、冒険者でもあるので敬語じゃなくても大丈夫です」


「では、お言葉に甘えさせてもらう事にする。 その年でⅭランクとは驚いたが国王様の書状に書いてあったことが本当なら納得がいく」


「何が書いてあるか僕にはわかりませんが、国王様の書状に嘘はないと思うので」


「ではやはり、新しいダンジョンに潜ったと言うのも本当なんだな?」


「はい。 確認のために入りましたが、三層に降りて異常な雰囲気に僕達だけでは危ないと判断して引き返しました」


「そうだったのか。 よく引き返す決断をしてくれた。 そのまま潜っていって戻ってこれなくなることもあるからな」


「それで、僕の領地にギルドの支部を置くことはできますか?」


「現状だとすぐには無理だな。 君たちを信用していないわけではないが、高ランクの冒険者と調査員を派遣して調査をして改めて支部が必要かどうかを審議する必要があるんだ。 君たちの領地の場合だと、隣の街にすでに支部を置いているから危険度がそこまで高くなければ保留されることになる」


「分かりました。 それで、派遣されるのはどのくらいになりそうですか?」


「この書状を見る限り緊急を要するようなのですぐに手配するから二、三日後には派遣できると思うぞ」


「分かりました。 早めの対応ありがとうございます」


「こちらこそ報告感謝する。 ところで、この後商業ギルドへも行くつもりかい?」


「そのつもりですけど、それが何か?」


「ダンジョンの事でこの後ギルドマスター同士で話し合いをすることになるからその時に私から伝えておこうと思ってな。 どうする?」


「それは有難い申し出ですが、自分たちで行かなくても大丈夫なんですか?」


「商業ギルドも我々同様近くに支部がある場合ダンジョンの危険度でどうするかを決めるから手間になってしまうだろう?」


「そういう事ならお願いします。 陛下からの書状もあるのでこれもお願いします」


「確かに預かった。 所で、君たちはいつまで王都に滞在する予定なんだ?」


「宿を五日でとっているので二日後には領地に帰ります」


「二日後か……では、明日までに話をまとめて派遣する者を決めておくから二日後にギルドに顔を出してくれないか?」


「そんなに早く準備ができるものなのですか?」


「運の良い事に今は高ランク冒険者がある程度滞在しているから大丈夫だ」


「そうなんですね。 分かりました。 では二日後また来ます」


 ギルドマスターとの話し合いが終わり商業ギルドへ行く必要もなくなったレオナール達は宿に戻ることにした。 予定が早く終わったため明日は王都を見て回り二日後に帰ることになった。


「初めて王都に来たけど見た事のない物ばかりですね。 流石は王都です」


「王都は住んでいる人の数も違うからね。 でも、交易や貿易が盛んな街もあるらしいからよ」


「そんな街があるんですね。 いつか皆で行けたらいいですね」


「領主は大変だから簡単には行けないだろうけど皆で行けたら楽しそうだね」


「はい」


 アルバートと話しながら色々な店を巡っていると、ギルドで会ったタカマサが歩いているのを見かけた。 レオナールは謝罪と気遣いのお礼を言う為、急いで後を追った。


「待ってください!」


「誰だ?って昨日のガキか何の用だ?」


「タカマサさんでいいんですよね?」


「ああ、そうだが?」


「タカマサさんに昨日失礼な態度をとってしまったので謝罪をしたくて……」


「なんだそんな事か? 俺の言い方も悪かったからな気にしなくてもいいぞ」


「そう言ってもらえると有難いです。 そういえば、タカマサさんの名前って珍しいですよね?」


「俺は東の方にある島国大和国出身だからこっちではそうそう聞かない名前だからな」


「!? 大和国ですか?」


「そんなに驚いてどうしたの?レオナール」


「いえ、何でもありません」


「何もないならいいんだけど。 それにしても、タカマサさんが持っている武器も初めて見る形をしてますね?」


「もしかしてそれって刀って言う武器ですか?」


「小さいのによく知っているな? お前の言う通りこれは刀と言う武器だ。 まさか、どこかでこれと同じ武器を見た事あるのか!?」


「レオナール良く知っていたね。 でも何で知っていたんだ?」


「本を見ていた時に変わった形だったので記憶に残っていただけです。 実物を見たのは今日が初めてです」


「そうか…… もしこの武器と同じような武器を持っている奴を見つけたらギルドに手紙を出して俺に教えてくれないか?」


「そうしたいのはやまやまですが、僕の住んでいる所にはギルドが無いのでちょっと厳しいです」


「ギルドが無いだと!?って事はお前たちは王都に住んでる訳じゃないのか?」


「はい。 僕達は辺境のミストヘイズ領から来ました」


「そんな遠くから何しに来たんだ?」


「今日ギルドで分かると思うのですが、僕の領地の近くでダンジョンが見つかったのでその報告と領地にギルドの支部を置いてもらうための話し合いに来たんです」


「領地って……お前達貴族だったのか!?」


「そうですけど、一応冒険者でもあるので言葉遣いとかはそのままで大丈夫ですからね!」


「あ、ああ、分かった。 しかも、新しいダンジョンまで見つかったとは。 俺も今度行ってみようかな?そのミストヘイズってところに」


「来ていただくのは嬉しいですが、ダンジョンの危険度がまだ分からない為、危険度が確実に分かるまでBランク以上の冒険者しか入ることが出来ないんです」


「それなら問題ないな。 こう見えて俺はBランク冒険者だからな!」


「そうなんですか? それならタカマサさんが領地に来るのを楽しみにしてますね」


「そんなこと言われるとなんか気恥ずかしいな。 でも、必ず行かせてもらう」


 日本人みたいな名前でしかも国の名前が大和国と言う事に驚いたレオナールはそのままタカマサと会話を続け色々な事を教えてもらった。 タカマサと話している中で日本にあるような食べ物や調味用が存在し、少量ではあるが交易と貿易の街ウォータル領で取り扱ってることを知ったレオナールは、なんとしてでも行く事を決意するのだった。


 翌日冒険者ギルドに出向くとギルドマスターの部屋に案内された。


「よく来てくれた。 商業ギルドとの話もまとまり、明日調査隊を向かわせることになった」


「こんなに早く動いていただきありがとうございます。 僕達は今日領地へ向かい受け入れの準備などを進めておきます」


「そうしてくれると有難い。 そして、これがそちらに向かう者たちのリストだ。 一応目を通しておいてくれ」


「分かりました。 では僕たちは領地へ戻って準備を進めることにします。 今回は本当にお世話になりました」


 ギルドマスターと会い挨拶を済ませ急いで領地に帰ることにした。 帰る道中ギルドマスターからもらったリストを確認していると、選ばれた冒険者の中にタカマサの名前を見つけ早い再会を楽しみにしつつ帰路につくのだった。

読んでいただきありがとうございます!

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