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第17話 ノヴァの過去 その1

 今でこそ平和になったが五百年前は、アルディア王国の周辺国、グラシオン帝国・エルミリオン皇国・ドラゴメア獣王国・ヴォルカニア魔王国との諍いが絶えず色々な所で領土争いが起こっていた。 特に、ヴォルカニア魔王国は他の国より数で劣るものの戦闘に関しては最強クラスであった為、色々な国に戦争を仕掛けていた。


 しかし、ヴォルカニア魔王国の度重なる侵略行為に疲弊していた各国は同盟を結び、ヴォルカニア魔王国の侵略を止めることが出来た。


 各国の同盟により、圧倒的な数の差で敗走させられてしまった魔王国は戦力を集める為、魔物をアイテムによって隷属させる計画を立て始めた。


 戦力になる魔物を探し色々な場所を調査しているとき、ある山でドラゴンを見つけた。 ドラゴンを見つけた魔王国は、隷属させるために人数を集めてそのドラゴンに挑んだのだった。


「なんだ貴様らは?」


「お前には我が国の戦力になってもらう為大人しく付いて来てもらおう!」


「何故俺がそんなめんどくさい事をしなきゃいけない?お断りだ‼」


「大人しく従わないのなら仕方ない。これを使って連れて行くしかないな!全員戦闘準備‼」


「「「「「「おぉぉぉぉ‼」」」」」」


 ドラゴンに同行を拒否された魔族は、隷属のアイテムを使うべく戦闘に入った。 住処でゆっくり過ごしていたドラゴンはいきなり攻撃され怒り始めた。


「貴様ら俺に勝てるとでも思っているのか!」


「勝てるかどうかは関係ない。このアイテムさえ付けられれば、お前は俺たちに従うしかなくなるからな!」


 魔族の言葉に怒りが頂点に達したドラゴンはブレスを放ち、その場にいた魔族を消し炭にした。 ブレスによって消し炭になった魔族を見て満足したドラゴンはそのまま眠りについた。何とかブレスをよける事の出来た魔族は、ドラゴンが眠るのを見て失敗に終わったことを報告しに魔王国に帰っていった。


「魔王様‼ ドラゴンに隷属の首輪をつけるのに失敗しました。山に向かった仲間はほぼ全滅です!」


「なっ、何だと‼」


「あのドラゴンを仲間にするのは難しいかと……」


「今度は将軍を引き連れて何が何でも成功させろ」


「……分かりました」


 命からがら戻ってきた魔族は二日後、将軍を連れて山に戻った行った。


 戻って来た魔族を見て『今度はなんの用だ?』と話しかけたドラゴンは魔族たちの放った言葉にふつふつと怒りが湧き始めて来た。


「どんな手を使ってでもお前は私達の物になってもらう」


「あれだけやられてまだ懲りないとはお前達は馬鹿なのか?」


「馬鹿だと⁉その言葉後悔させてやる‼」


 ドラゴンに馬鹿と言われプライドの高い魔族は怒りを露わにして攻撃を仕掛けて来た。魔族の行動を見て『はぁ』と呆れながらブレスを放ったが最初に来た魔族と違い、将軍率いる魔族は難なく躱した。


「ほぅ。言うだけあって先日の奴らとは違うようだな」


「あんな下っ端どもと一緒にするな。 今回はそれだけ本気という事だ。 従う気になったか?」


「ブレスを避けたぐ何を言っている?」


 ドラゴンの攻撃を避けられた事で調子に乗った魔族たちは自分たちが優勢と思い強気に出ていた。 魔族たちの態度にこのまま倒しても次が来ると思ったドラゴンは魔王国に出向き警告しに行く事に決めた。


「こんな攻撃を避けられただけで調子に乗るとは魔族も落ちぶれたものだ」


「なっ、何だと‼」


 ドラゴンの挑発に怒った魔族は一斉に攻撃を仕掛けたが、殆ど効いておらず唯一ダメージらしいダメージを入れられたのが将軍だけだった。


「「「「「「むっ、無理だぁぁぁぁ。あんな化け物に勝てる訳ない。将軍逃げましょう‼」」」」」」


「何を言っている!失敗は許されんのだ」


 その事実に焦った魔族は急いで撤退しようとしたが、失敗の許させない将軍は逃げずに立ち向かっていた。


「そんな……。我々が負けるなんて」


「生き残りの魔族よ、俺を魔王国に案内しろ」


「⁉、こちらに従う気になったのか」


「そんな訳無いだろう。 俺は仲間になる気などないからもう来るなと言いに行くだけだ!」


「分かった」


ドラゴンは逃げる魔族たちを跡形もなく燃やした後、将軍の前に降り立ち魔族に警告する為魔王国に案内させた。 将軍は魔王国にさえ連れていければ全兵力を投じてドラゴンに勝てると踏んで案内をすることにした。


「魔王国はこっちだ」


「ずいぶん素直になったものだな」


 少し二ヤつきながら言うドラゴンに将軍は怒鳴り気味に反論した。


「うるさい! 付いて来ないなら案内しないぞ‼」


「仕方ない、ここはお前に従っておこう。 だが、お前などいつでも殺せるんだ。 余りにも舐めた態度だと容赦はしないと思え‼」


 ドラゴンの言葉に気圧された将軍は黙り込み、魔王国への案内を続けた。



 ドラゴンが魔王国に近づくにつれ魔王国では騒ぎになっていた。


「魔王様‼」


 魔王の居る部屋に兵士が慌てて入って来た。


「なんだ騒々しい」


「報告します。 こちらにドラゴンが近づいてきています!」


「なに! ようやく従えることが出来たのか‼」


 兵士の報告に喜びを見せた魔王だったが次の兵士の言葉で顔色が変わった。


「いえ、従えられたかは分かりません」


「なんだと。 それでは何故こちらにドラゴンが向かって来ているのだ!」


「分かりません。 なんせ周りに味方が将軍しかいないので……」


 申し訳なさそうに報告する兵士とは裏腹に、魔王は将軍が一緒と聞いて安堵した。


「なんだ、将軍が一緒なら成功したという事じゃないか。 すぐに向かい入れる準備をしろ!」


「はい! それと、街の住民がドラゴンが向かって来ていることに気づき大騒ぎになっています」


「分かった。 すぐに事情を説明するから住民を広場に集めよ」


「はい」


 魔王の指示で広場に向かいながら兵士は『魔王様は喜んでいたが本当に大丈夫だろうか?』と不安になりながらも命令を遂行しに向かった。


「魔王様。 住民は既に集まっています」


「分かった。 では向かうとするか」


 住民が広場に集まり報告に来た兵士はそのまま魔王と共に広場に向かうのだった。


 魔王が広場に近づくにつれ住民たちの不安の声が聞こえてきたが魔王が出て行った瞬間辺りは静まり返った。


「住民たちよ。 ドラゴンが此方に向かって来ていると聞き不安に思っただろうが、ドラゴンを従える事に成功した‼ その証拠に将軍と共に此方に向かって来ている。 これで下等種族どもを根絶やしにし、我々魔族が世界を支配するのも時間の問題だ‼」


 魔王の言葉に広場は『おぉぉぉぉぉ‼』と住人たちの声で埋め尽くされていった。


 将軍と共に絶望が魔王国へ着実に進んでいくのであった。


  

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