第16話 窮地脱出!?
「えっ……。ルーン⁉ 危ないから早くここから離れるんだ!」
「(危ない?)」
ルーンは何故レオナール達が危ないと言って来るのか分からずにいた。 何が危ないのか周りを見回しながら考えて居ると、レオナールが此方に向かって放った言葉を聞いて納得した。
「僕たちでドラゴンの気を引くから、その隙にシレンと一緒に逃げてくれ。ルーン達の足なら逃げられるだろ?」
「(あぁ、そう言う事か。こやつは大丈夫だよ)」
「「え……。どういう事? 知り合いなの?」」
ルーンの回答に頭が混乱しているレオナールとアルバートにルーンは、ドラゴンの事を説明し始めた。
「(この森に来て仲良くなったから知り合いっちゃあ知り合いだね)」
「でも、こっちに来てそんなに経ってないよね?」
「(住処に良さそうな場所があって、そこに行ったらこやつが居たのさ)」
ルーンのその言葉に『まさか、戦ったの?』と聞き返したレオナールはルーンに怒られるのだった。
「(そんなことしないよ!このドラゴンもちゃんと会話出来るんだから)」
「そうなの?」
「会話ぐらい出来るぞい」
ルーンと話しているといきなりドラゴンも会話に参加してきた。
「えっ……。これ、念話じゃないですよね?」
「念話では無いのう。長く生きているドラゴンなら普通に会話する事は造作もない事じゃ。儂もかれこれ千五百以上は生きているしのう」
「「えぇぇぇぇ‼」」
どんな本にもドラゴンが会話できるという事実が載っていなかった為、初めて知る衝撃の事実にレオナールとアルバートは声に出して驚いた。
「(あんた達もこのドラゴンと一緒でやかましいねぇ。また魔物が寄ってきたらどうするんだい!)」
「「ごめん……」」
出会った時のドラゴンと一緒で声に出して驚いた二人はルーンに叱られて謝るのだった。 森にドラゴンが居る事を不思議に思ったアルバートは何故ここに居るのかを聞き始めたのだが、ドラゴンの話を聞き今では誰も知らない事実を知るのであった。
「でも何でドラゴンがこんな森に居るのですか? 住処は山の筈じゃ?」
「それは……。恥ずかしい事なんじゃが、昔この森で怪我を負って動けずにいたのじゃ。その時、近くの村に住む人間に助けられた事があってのう。 その恩返しのため、魔物達が暴走しないよう見張って居たら離れずらくなってしまったのじゃ」
「兄様。近くの村って、僕達が居る村のこと?」
「多分そうだと思うよ。 昔から、この森の近くに村はあそこしかなかった筈だから」
「そうなんですね。 でも、ドラゴンさんを助けた人はすごい人だったんですね!」
「ドラゴンさんなんて呼ぶのは止めてくれんか? できれば名前で呼んで欲しいのう。 儂の名前はノヴァじゃ!」
ドラゴンに名前で呼んで欲しいと言われ二人は『『分かりました。ノヴァさん』』と名前で呼ぶことにした。
「ところでレオナール、なんでノヴァさんを助けた人がすごいと思ったんだ?」
「え? だって、いくら怪我をしていたからといってもドラゴンを助けようなんて僕だったら怖くて出来ませんよ。 だから、すごい人だと思ったんです」
「言われてみれば……。確かにそうだね」
話の流れでノヴァを助けた人物と昔の人に興味が湧いたレオナールは昔の事を聞くことにした。
「そのノヴァさんを助けた人はどんな方だったんですか? それと、昔はそういう人が沢山居たんですか?」
「確か、名前は"エドガー"じゃ。人間にしては出来た男じゃったが、エドガーみたいな人間はそうそう居なかった。そうじゃのう、あれは確か五百年前の事じゃ……」
レオナールの問いかけにノヴァは懐かしむように昔の話を始めた。




