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第14話 領地改変と森の統率者

 領民の移動が完了したので、まずは周りの森をある程度切り倒し領地の拡大を始めた。 森を切り開くには、魔法の使えないレオナールには無理だった為アルバートに手伝ってもらえるか相談する事にした。


「兄様、先に領地を広げる為に少し森を切り倒そうと思うのですが、僕はそういったスキルが無いため手伝ってもらってもいいですか?」


「いいけど……領地を広げるって急にどうしたんだい?」


 レオナールのいきなりの領地拡大発言にアルバートは少し驚きつつ理由を聞いた。


「先の話にはなるんですが、今の村から街のような豊な領地にしたいと考えていて……。僕と兄様のスキルがあれば出来ると思うんです」


「その考えは良いと思うよ?。でも、僕たちが何もかもやってしまうと今後の領地のためにならないと思うんだ。だから、領地に住む人たちと一緒に頑張っていった方がいいと思うよ?」


「そうですね。ここの現状を見て幼い時の僕みたいに『いらない』と言われてるみたいで空回りしていました」


「今までの事を考えるとそう思うのも無理もないよ。何もかも僕たちでやろうとするのが駄目なだけで、豊かな領地にしようと思うのは良いことだと思うよ!。ただ、レオナールはもっと周りの人を頼る事を覚えて行かないとね」


 アルバートはレオナールに足りない事を教えながら村を広げるのを手伝うのであった。


 あれから数日が過ぎ、新たに外壁が作られ村も見違えるほどに変わっていた。 領民は変わっていく自分たちの村を見て不安を募らせていたが、出来上がった村を見て少しずつではあるがレオナール達の事を信用していくのだった。


村の外壁・住居作りが一段落したが、すでに畑の作物が収穫できる程育っておりつかの間の休息すらない忙しい日々に追われていた。


「兄様、領主ってこんなに大変なんですね」


「そうだね。でも、この領地は他の領地以上に大変だと思うよ? こんな現状だしね」


「そうなんですか……」


「うん。前任者がちゃんとしていたらこんな事態には基本ならないからね」


 レオナールは領地に来てから数日間の激務に疲れ果てていたが、次は森の調査に行く事になり少し元気を取り戻すのだった。 何故二人が森の調査に行く事になったかと言うと、この村には冒険者ギルドが無く冒険者経験があるのがレオナールとアルバートしか居ない為、長い年数放置されていた森を早急に調査に向かうことになった。


「兄様、明日から森の調査ですね!」


「張り切るのもいいけど、何があるか分からないからしっかり休まないと」


「それは分かっているんですが……。久しぶりにルーンにも会えますし、人が全然入ったことのない森ってわくわくしませんか?」


「わくわく何てしないよ!お願いだから少しは危機感を持ってくれ」


 騒ぎになるため領地の近くでルーンとは別行動になっていた。 レオナール達が領地の事で苦労している時ルーンは魔物を倒しながら新しい住処を探していた。


 森の奥の方まで来たルーンは、住処に良さそうな場所を見つけたがそこには先客がいた。


「ここに何の用じゃ?」


「住処をこっちに変えたからいい場所無いか探してたところさ」


「フェンリルとも在ろう者が住処を追われたのか?」


「そんな訳無いだろ!私の意志で出て来たに決まってるでしょ。あんたこそこんな森の中で何してるの?住処は山じゃないのかい?」


「それは……。山に住処があったのじゃが、昔この森で人間に助けられたのじゃ。だから、その恩を返すためにここで森の管理をしておるのじゃ」


 森の奥でルーンが出あったのは最強種の一角『ドラゴン』だった。

 森に居るはずのないドラゴンに会い少し驚いたルーンだったが、居る理由を聞いて関心していた。


「他にもそんな人間が居たとはねぇ」


「他にも?まさかお主も助けられたことがあるのか?」


「ええ。とは言っても、私ではなく息子がだけどね」


「そうだったのか……。では何故住処を出て来たのだ?」


「いい主に出会ったから付いてきたのさ」


「主? まさかお主テイムされているのか!?」


「されたと言うよりは、こちらからお願いしたのだけれどね」


「……なんじゃとぉぉぉぉ!」


 最強種のフェンリルがテイムされている事実に驚きかけたドラゴンだったが、自分からお願いしたと言う言葉を聞いて大声を上げてしまった。


「いきなりなんだい!うるさいドラゴンだねぇ」


「自分からお願いしたなんて聞いて声を上げずに居られるか!」


「珍しいとは思うけど、そんなに驚く事でも無いだろ?」


 ルーンにとってはそれほど驚くような話ではなかった為、ドラゴンの反応にも冷静に返していた。 ただ、ルーンが気にしていないだけで過去に最強種をテイム出来た者は数える程しかいなかった。


「なんだい、興味があるならあんたもテイムされるかい?」


「いや、その人間に興味はあるがテイムされたいとは思わん!」


「あんたはこのままずっとここに居るつもりかい?」


「そうじゃのう、長い事ここに居ったから愛着が湧いてしまってのう……。住処を変えるつもりは今のところ無いな」


「そうなのかい。私もこの森に住むから話の出来る相手が出来て良かったよ」


「住むのは良いが、今度その人間に会わせてくれんか?」


「いいけど、変なちょっかい掛けたら容赦しないよ!」


「そんな事はせん!」


 なんだかんだドラゴンと仲良くなったルーンは、今度レオナール達を紹介する事を約束して近くに住処を作りに行った。


 森に話し相手になるドラゴンが居た事により、ルーンは退屈する事が無くなったのだった。

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