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エール200杯分の

「どういう事だ!?なんで0なんかに…!」


 確かに少し記憶が無くなる程度には酒を飲んでしまったが、エールは1杯銅貨5枚だったはず。

 俺は金貨10枚を持っていて、宿泊で銅貨5枚を払って残りは金9、銀9、銅5になったはずだ。

 それが0だと?金貨1枚でエール20杯飲める計算だ。それで考えると最初の1杯目はショウの奢りだったから、所持金を0にする為には200杯のエールを飲んだ事になる。


 いやいやいや!どう考えてもおかしいだろ!


「ま!まさか!お前らの食事代まで俺の金で支払いを…!?」


「頭お花畑かよ…そんな訳ないだろ。ハァ…それ、どう考えても盗られてるでしょ」


「取られ…盗られ?ぬ、盗まれたって事か!?」


「そーだよ。盗まれたの」


 い、いつ!?どこでだ!?

 昨日酔っ払って部屋に行った時はどうだった!?

 …いやダメだ、金の事なんて気にもしていなかったから確認してすらない。


「…てか、なんでルミ、お前がそれを知っているんだ?まさか、お前が犯人か!?そうなんだろ!?さっき俺を貶めたって言ってたもんな!?おい!」


「はあ!?そんな事言ってねーよ!馬鹿だろお前!」


 な!コイツ…!人の金を盗んでおいてぬけぬけと!

 しかもこの俺を馬鹿だと?本当に頭にくるやつだ!


「じゃあ一体誰が盗んだんだ?言ってみろよ」


「…ショウだよ。つか翌日アンタの金無くなって姿くらました奴いたら、どう考えてもソイツが犯人っしょ」


 は?ショウが犯人?そんな訳が…

 だってアイツは俺がファスプレに閉じ込められてから一番親切だった奴だぞ…?


「そんな事するような奴じゃ……」


「あーはいはい、アンタ詐欺とかに合うタイプだろ」


 人を年寄りみたいな言い方しやがって。

 それに詐欺をしそうなのはショウというよりもルミだ。

 犯罪者はだいたい顔にでるからな。


「今ファスプレ内では軽犯罪が横行してんだよ。運営がリアリティを求めるあまりに、ゲームシステムに介入してこないからね。ま、そのおかげで今回アタシも金にありつけたんだけどさ」


「ほらやっぱりそうじゃないか!この泥棒女め!俺の金を返せ!」


「だーかーら!うぜえっつってんじゃん、手掴むな!それに盗ったのはアタシじゃなくてショウ!何度も言わせんなっつーの!」


 思いっきり腕を振り払われた俺は足がもつれ、無様にも地面に転がってしまった。


 ドサッ…


 俺の身体を受け止めた地面が砂埃を舞わせる。


「…痛って、何すんだよ!」


「何するはこっちのセリフ、最後まで話を聞けよ。」


 また大きな溜息を吐いたルミは地面に転がる俺を見下ろしながら、また話し出した。


「…昨日宿屋の前でショウに声かけられたんだよ」



 ♢


「あー、どうすっかなー…宿で防御バフつけるか、レベルの高い盾買うか…んんー」


 昨日の夕方頃、アタシは迷っていた。

 イースト山の洞窟奥にある宝箱を取りに行きたいんだけど、洞窟の入口付近にはアンデッド・マッドドッグ、通称ゾンビ犬が大量にいるからだ。

 その大量のゾンビ犬はその名の通りアンデッド。そう、ゾンビだ。斬ろうが殴ろうがぶっ飛ばそうが、数秒で起き上がって襲いかかってくる。

 だからそこを通過するには防御力、もしくは防御出来る武器が必要不可欠となっているのだ。


 もちろん、フレンドに頼んで防御魔法や攻撃で守ってもらいながら進めば良いとも考えた。

 がしかし、その洞窟は2人以上で入るとゾンビ犬の数も人数分増えるらしい。

 そうなれば、もはや皆自分を守るので精一杯だ。

 ゾンビ犬も増えまくってかなりカオスな状況になるのが目に見えている。


 くそ〜…


 でも盾買うにはまだお金が足りない。

 買うならもう少しお金を貯めるしか…そんな事をグダグダと考えている時だった。


「やあ、君もしかしてお金に困ってる?」


 ポン、とアタシの肩に手を置いてそう声をかけて来たのがショウ。

 前分けの茶髪で少しチャラ男っぽい見た目をしているが、悪そうな人相というよりかは、優しそうな笑顔だという印象が強かった。


「…は?あ、ああ、いや、なんで?」


「はは、だって盾が〜とか防御が〜とかブツブツ言ってたから。もし良かったらさ、ちょっとアルバイトしない?」


 突然の申し出に「アルバイト…?」と首を傾げたが、ファスプレ内でプレイヤー同士のアルバイトは少なくない。

 そりゃもちろん酒場で張り出されてるクエストに行った方が報酬は良いが、その分難易度も高い。

 それに比べて、プレイヤー同士のアルバイトはちょっとしたお手伝い程度の物が多く、お使いだったり話し相手だったりと様々で、だいたい銅貨1枚程度が相場だ。


「そうそう、アルバイト。簡単な事するだけだしきっちり高い報酬もだすよ」


「高い報酬出すったって…せいぜい銅貨1、2枚っしょ?それじゃいつまで経っても盾は買えないんだよなぁ〜…そんな事よりお兄さんゾンビ犬退治してよ〜」


「ゾンビ犬?ああ、イースト山の洞窟に行きたいんだね!て事はそこそこの盾が必要だね、ん〜…じゃあ契約で銅貨2枚、成功報酬で銀貨2枚ってのはどうかな?」


「は!?銀貨2枚!?」


 何コイツ、優しそうな顔してとんでもない金額提示をしてくる。

 契約するだけで銅貨2枚で、成功報酬銀貨2枚って…一体どんな事をさせるつもり!?

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