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二度目のお目覚め

「……ん、…ううん、」


 本日二度目の目覚め。


「おーい…大丈夫かよ」


 一度目とは違い、気分は最悪だ。

 殴られたみぞおちは痛むし、込み上げたモノが胃の中で暴れたのか少し気持ち悪い。それになんて言ったってまだ顎が痛い。

 口の中は血の味がするし、歯が2、3本無くなってしまったのか、なんだか口内がスカスカしている。


「これが大丈夫に見えるのかよ…」


 目の前にいたのはルミだった。

 いや、正確に言えば見下ろしているのはルミだったが正しい。

 それと顎はまだ痛いが、「はひふへほ」にならずに喋れるくらいには回復しているらしい。


「ここは…?」


「公園」


 淡白に一言で返事をするルミはベンチに座って足を組み、俺を見下ろしながら、手のひらにコルクのついた試験管みたいな物を取り出して見せた。

 中にはたぷんと揺れる青い液体。

 おそらく昨日ショウが見せてくれたフラスコに入っていた物と同じなんだろう。


「…ぶぁっ!?ぷっ、!」


 それをなんの前触れも無く突然俺の顔面目掛けてぶっかけやがった。


「…おいおい零さないでよ。勿体無い、はぁ〜…アタシの貴重な回復薬が」


 俺の目を見ずに溜息を吐いたルミは空っぽになったその容器を名残惜しそうに見つめ、容器を消し、しまった。


「な、何すんだよ!?」


「何って回復だろ。それ以外に何があんの?」


「か、回復…?」


 そう言われてみれば、今ので顎の痛みが消えた気がする。

 まあ依然として歯はなく、みぞおちは痛く、気持ち悪いが。


「量が少ないから全回復とはいかないけど、まあそこそこには回復したんじゃね」


「ああ、確かに…痛てて、身体は少し痛いけど顔面の怪我は治ったみたいだ」


 地面に寝転がった形になっていた俺は身体を起こし、ルミの座っているベンチに腰掛けた。


「いやなんで隣に座るんだよ!キショいな!」


 足でベンチから追いやられ、再び砂の地面へと座らせられた。


「んな、なにするんだよ!?しかもキショイ!?ぐッ…そんな言葉人生で初めて言われたぞ…」


「ぶはッ!嘘でしょ?あはは、その見た目で?マジで言ってんの?」


 ゲラゲラと笑いやがって、目の前にいるのがheaven's kiss咲夜だとも知らずにな!


「…ていうか、そもそもなんで怪我人の俺が地面で転がってて、お前が椅子に座ってるんだよ」


「はあ?そもそも宿屋前でやられて倒れたアンタをここまで引きずって連れてきてやったんだ、お礼くらい言ったらどうなの?」


 引きずッ……!?想像しただけで酷い状況だったのが分かる…

 いや、想像したくも無い。


「ふん、なんで俺がお前にお礼なんて言わなきゃならないんだ?そもそもお前があの場で俺を貶めるような事を言わなきゃ、こんな事にはならなかっただろ」


「な、…!アンタねえ!…はぁ〜…こんな奴に少しでも同情して回復薬使うんじゃ無かったわ。マジでもったいねえ〜…」


 ああ、そういえば回復薬って高いんだっけ。全回復させる量でもなかった癖に、いちいちケチな奴だ。


「って、あ!おい!どこへ行くんだ!」


 スっと立ち上がり、その場を去ろうとするルミ。

 コイツにはまだ聞きたい事が山ほどあるんだ、ここで逃がす訳にはいかない。


「なんだよ、一応助けてはやっただろ?礼もろくに言えないクズゴブリンにこれ以上用はないね」


 ぐ、くそ!不本意だが、ここはルミの機嫌を損ねる訳にはいかないか…!


「…わ、悪かったよ。ありがとう、助けてくれて」


「……ハァァァァ」


 な、何なんだよコイツ!この俺が謝り、礼まで言ってやったのに盛大なため息を吐き出しやがった。

 何かを悩むように額をグリグリ指で揉むと、細めた横目でコチラを盗み見るように見てくる。


「つか、アタシはアンタにもう用無いんだよね…」


「いや、俺はルミ、君に聞きたい事があるんだ」


「……っち、わかったよ!!もおお、引き受けるんじゃなかった!」


 引き受ける…?って、何を?

 まさかこいつ、俺がゲームから出られないのを何か手引きしているんじゃ…!?


「おい!もしかして俺がゲームから出られないようにしているのはお前なのか!?」


「はあ!?ちっげーよ!、つか何だよその嘘!さっきからウゼーよ!それと手を掴むな!」


 ルミに睨まれ、手を離すとまた大きな溜息を吐かれた。


「じゃあ引き受けるって何の話だ?誰に何を引き受けて俺を貶めたんだ?」


「貶めたって…誰もまだそんな事言ってないじゃん」


 ()()って事はやっぱり何かしたんだな。

 くそ、やはりゲームから出られないのは何かの陰謀なんだ。

 俺の美貌や名誉に嫉妬した馬鹿の仕業に違いない!


「で!?何をしたんだよ!?」


「だ、か、ら!!手を掴むな!!」


「あ、ああ、…ごめん」


 手を振り払うと、ルミは淡々と一言声にだした。


「ゴブリン、アンタ自分の所持金、確認してみな」


「…?所持金?」


「そ」


 言われるがまま、腕に浮かぶファスプレのマークを触れると所持金のマークを触る。


「………は!?なっ、こ、…これは!?どういう…!」


「………」


 驚きを隠せない俺はルミを見るが、目を合わせたくなさそうにしている。


「…ぜ、ゼロ………?」


 そう、金、銀、銅、共に全ての硬貨表示が0になっていたのだ。

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