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時間

 …………は?


 はぁ!?どういう事だよ!?フレンドじゃないだと!?

 昨日あんなに仲良さそうに飲んでいたじゃないか!?

 ずっと一緒にファスプレやってまーすみたいな雰囲気醸し出していたじゃないか!!


「フレンドじゃないってどういう事!?」


「は!?ちょっ…!」


 あまりの衝撃の事実にルミの腕をガシッと掴む。

 俺の黄色く長い爪がルミの細腕に少しくい込んでいる気がするけど、どうでも良い。


「痛いっつうの!離せよ!クソ迷惑ゴブリン!」


 半ば振り払う形で俺の腕を解いたルミは、俺を睨み付けながら腕をさすっている。

 しかもルミが大声で叫んだせいで食堂中の視線が俺に突き刺さっている。


「ぐっ…、君たち昨日フレンドだって言ってなかったっけ!?」


「はあ?そんな事一言も言ってないから!あいつは、その…昨日ここで初めて会って意気投合したから飲んでただけ。だからフレンドでもなんでもないんだって」


 目を逸らし、少し歯切れが悪い気がするのは気のせいだろうか?

 いや、気のせいじゃない。こいつは何か隠してやがる!


「おい、お前何か隠してるだろ?なんでフレンドじゃないなんて嘘つくんだよ!」


「はあ!?嘘じゃねーよ!本当にフレじゃないから!あんまりしつこいとまた大声で叫ぶからね。アンタ、自分がファスプレでどんな風に見られてるか良く考えて行動しなよ。迷、惑、ゴブリン」


 くそ、本当にムカつくやつだ!

 だけどルミのこの態度、なにか隠しているに違いない。


「おい、何か揉め事か?」


「あ、いや…そういう訳じゃ、」


 俺とルミが言い合いのように話していると、かなりガタイの良いオーガの男が割って入るように俺の前に立った。

 額からは硬そうな角が三本も尖っており、頭突きなんてされた日には血だらけになりそうだ。


「お前は昨日からもっぱら噂になっている迷惑ゴブリンとか言う奴だろう?まさかこの子に難癖つけて金でも取ろうって訳じゃ無いだろうな?」


 おいおい待てよ、難癖付けてきてるのは一体どっちだ。

 しかし、ここでこいつとも言い合いになったらもっとややこしい。

 もはや食堂はシーンと静まり返っており、俺たち3人が注目の的になってしまっているからな。


「ち、違うよ!その迷惑ゴブリンって言うのもただの勘違いで…!信じてくれよ、俺は誓って迷惑なんて誰にもかけちゃいないんだ!」


 とにかく誰からでも良いから信頼を得ねば!

 昨日からの汚名をどうにか返上できれば、誰か助けになってくれるかもしれない。


「実は昨日からバグでログアウトマークが出てこなくて…!ゲームから出たいのに出られないんだよ!」


 同情を少しでも誘うようにめいいっぱい悲しげな表情で訴えかけてやる。


「はあ?んなバグ起きてるなんて誰も言ってないぞ?」


 そのオーガは自身の腕にあるファスプレマークに触れて、ログアウトマークを確認しているようだ。

 もちろん、ログアウトマークは存在しているらしく「俺のはちゃんとあるぞ」と俺を真っ直ぐ見てくる。


 昨日までの奴らは俺のこの見た目だけで判断しやがって、ろくに話を取り合ってもくれなかったが…

 もしかしたらコイツは話が通じる奴かもしれない。

 それに、運が良ければここの食堂にいるヤツら全員を味方に付けられるかもしれない!


「それが…俺のには出てこなくなっちゃって…」


「昨日から今も出ないのか?それはちゃんとこまめに確認しているのか?」


 なんだか見た目によらず几帳面なオーガだな。

 まあでも確かに、今日はまだ確認していなかった。

 そう思い、俺の腕にもあるファスプレマークに触れて昨日同様、右端下を確認してみる。

 …が、やはり存在していない。


「ああ、今確認してみたけどやっぱり無いよ…ハァ、俺は一体どうしたらいいんだ…昨日も強制ログアウトしようとわざと宿屋で眠ったんだけど、5時間過ぎる前に目が覚めちゃってね…また5時間寝ようにも流石にまだ眠れないし…」


 なんて少し大袈裟な表情で残念そうに訴える。

 よし、これで流石に信じて貰えるだろう!


「は?何言ってんのお前」


「え?」


 意外にも、返事をしたのはオーガではなくルミだ。

 俺の予定では「そんな事が!?それは大変だ!協力は惜しまない!」て展開だったんだが、くそ、ルミの馬鹿が口を挟んできやがって。


「アンタ今さっき起きてきたんでしょ?」


「ああ、」


「今は朝の10時半。アタシが酔い潰れてログアウトしたのが大体22時半頃、んでアンタが昨日、ステファに起こされて部屋で寝たのはその後の夜中2時前。すぐに眠れなかったとしても7、8時間くらいは寝てる計算っしょ。流石に強制ログアウト出来なかったってのはバレバレの嘘すぎぃ〜」


 は?何て?俺が7、8時間寝ていた…だと?

 嘘だろ…?


「えっ、…いや今が朝の10時半…?いやだってステファがお早いお目覚めだってさっき…」


「ええ、昨日あれだけ酔っ払ってらしたので、お昼過ぎまでお眠りになるのかと」


 焦ってステファを見るとニッコリと可愛らしく笑う彼女が配膳用の丸いお盆を抱えてコチラを見ている。


 て事はなんだ?俺は強制ログアウト、出来なかったって事になるのか?何がどうなっている!?

 じゃあ俺は一体どうすれば良いんだよ!?

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