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転落ゴブリン 〜俺のチート人生を返してくれ!〜  作者: ボツ
・episode3 - 運命のカウントダウン -
15/42

仮面の下の

 そんなペレの一言で、まだ血判を終えていない俺に視線が集中する。


 くそ、なんだこの雰囲気は…

 大した事じゃないぞと言わんばかりに3人がこちらを見ながら葉っぱのような物で馬鹿みたいに指を拭いている。


「あ〜…もう、分かったよ!やればいいんだろ!やれば!」


 あまり乗り気ではないが、コイツらが出来て俺が出来ないなんて事はあってはならない。

 こんな下らない誓約書一枚だが、先に終えたヤツらの「大した事ないぞ」という視線も気に食わない。


 ペレが差し出していた最後の1本をピッと半ば取り上げるように受け取ると、勢いでブスっと人差し指を思いっきり刺した。


「痛っ…、」


「あーあー…そんなに焦って強く刺したら痛いですよ」


 わかってる!それに、焦って刺した訳じゃない…!何なんだコイツは!いちいちムカつく奴だ!


 ドン!と強めに人差し指を紙に押し付け、深めに切れた指から血が飛び散った。


「あらら〜、そんなに勢い良く…突き指はしていませんか?」


 何だかわざとらしく心配するペレにムカつきながらも、紙から指を離す。

 それを見たマネージャーが慌てて何枚あるのか分からない量のティッシュを手に、俺の指から出る血を止めに来た。

 くそ、なんだよ、俺にはそのら妙な葉っぱのようなティッシュは無しかよ!まあ別に欲しくもないがな!


「ふん…大丈夫だ、大した事ない。さぁ、ペレさん。これで良いですかね?」


 自分の血がベットリと着いた誓約書をペレに見せつけるように渡す。


「はい、勿論です。皆様、御協力に感謝致します…では、」


 4枚の誓約書を纏めクルクルと丸めると紐のような物で結び、胸ポケットへとしまった。

 そして自身の顔にずっと付けていた面に手をかける。


 こいつの顔が特別気になる訳では無いが、ここまで隠されるとやはり気にはなってしまう。

 俺を含めた全員がペレの面の下に注目する。

 そんな事を気にも留めていないペレ本人は、いとも簡単に面を外した。


「…改めまして、私、株式会社Heavenのペレと申します。本日はどうぞ宜しくお願い致します」


 丁寧な言葉で挨拶するペレは、面を片手にぺこりと紳士のようなお辞儀をしてみせた。


 その素顔はさながら子供だ。


「あ、ああ…こちらこそ、宜しくお願いします」


 少年のような見た目のペレを見て、驚きながらもマネージャーがペコっと頭を下げながら挨拶をする。

 それに釣られるように、俺たち3人も「どうも、」「宜しくお願いします」等と口々に言う。


 戸惑いながらもそう挨拶はしたものの、容姿について何も言うなとはよく言ったものだ。

 こんな子供みたいなやつにペコペコしながら会議をするのか?


「さてさて、無事誓約書も交わせましたし、本題に移りましょうか!」


 空気を変えようとしたのか、はたまた空気を読んでいないのか。

 まあここまでの態度を考えるに後者だとは思うが…

 ペレが明るい声でそう言いながら、パン!と両手を合わせて叩いた。


「そ、そうですね…!えっと、まずはheaven's kissの出演にあたって、フルダイブゲームに対してのイメージを変えたいと…」


「はい、彼らはとても人気があるとお見受けします。若者層には影響力もかなりあるかと…そこで、ゲーム内で彼らに警備組織を作って欲しいんです」


「警備組織…?」


「はい!それを今回の番組で発表させていただきたいのです」


 俺たちに警察の様な事をゲーム内でしろと?


「今、ゲーム内ではプレイヤーキルでの辻斬りが横行しているんです。勿論、ゲームのシステム上プレイヤーキル自体は禁止行為ではありません。ただ、それはあくまでお互い合意の上、決闘モードや闘技場での対決にして欲しい。辻斬りでは最早ただの人殺し…まあ、実際に死ぬ訳ではありませんが…それに、ただの盗人のような奴はは前からいましたが、今は殺された人間がその場に落としたアイテムを盗む強盗のような者達まで現れている」


「なるほど…確かに、それでは秩序が保てていない。ゲーム嫌いなコメンテーターに言われ放題にされてても声を大きくして否定出来ないって事ですか」


 そんな奏とペレの会話に純樹が首を傾げる。


「うーん、でもそれって一時的にプレイヤーキル機能を制限したり、キルされた場合の持ち物が落ちない様にしたり…とか色々運営側の機能制限でどうにかならないんすかね?」


「確かに機能制限をしてしまうのは簡単です…でもそれじゃあまりにリアリティが無い。ご存知かもしれませんが、ファスプレはリアリティを売りにしています。ゲーム内での辻斬り行為がいけない訳では無く、それを取り締まる者が存在しないのがいけないのです。そしてそれをするのは運営側では無く、プレイヤーでなければならない。運営側が機能制限をしてしまえば他のゲームと何ら変わりがないでしょう。要するにリアリティの無いつまらないゲームにはしたくないのですよ。それに、弱肉強食…多少はそういう犯罪行為をする者もいる方がリアリティがあって面白い」


 結局どっちなんだよ。

 犯罪者がいる方が良いのか、駄目なのか…

 確かにリアリティは大事だが、プレイヤーの警備員がいるからってそれがイメージの払拭に繋がるのかは正直な所、謎だ。


「とにかく、プレイヤーキル自体の禁止は致しません。これはあくまで人間のモラルの話なのです」


 今までとは違い、なんだか妙に目が座っているペレは「罰せられるべきプレイヤーはゲーム内で然るべき罰を受けると言う事です」と続けた。


「あ、あの…それって、例えば悪意のあるプレイヤーキルはアカBAN、とかじゃ駄目なんですかね?」


 純樹がそう質問すると、すかさずペレが口を開く。


「先程も言ったはず…我々はリアリティを大切にしています。悪意あるプレイヤーのアカウントを抹消するという事は、ファスプレの世界から永久追放…即ち、()です。その悪意あると判断されたプレイヤーをFirstPlaceという世界で殺すという事になる」


 そしてニッコリと笑う。


「では、現実世界でも悪い事をした人をその場で殺せますか?」


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