目覚めた朝にも大騒ぎ
お読み頂き有難う御座います。
寝落ちしてから外が騒がしいようですね。
想いが通じ合うって、心地良いのね。
昨日は思いがけず……ひとりで使用する羽目になった船室で寝コケてしまったけど。
船室の窓から入る光が柔らかく光って……。
海風はどんな感じなのかしら。
今日は……瓦礫が飛び交ってないといいけど。
そういやあの海戦どうなったのかしら。途中で急に記憶が戻ったから、忘れてたけど。
取り敢えず、外の空気を吸いましょう。
「うう、ミュリー姉ちゃんのバカヤロー!お、オラがおヨメさんにするつもりだったのに……」
「バッキャロー!オレだよ!今からでも遅くないぜミュリエッタ!!オレと天下取ろうぜ!」
「何アホな事言ってんの?」
「勝ち目ないよ。ヨーは小汚いしさー」
「生贄じゃなくて良かった……!!お幸せに!!」
「おうううん!!おわあん!!うおーーー!!」
「ほら、お父さん気を確かに!!」
……何か下の方から声がすると思ったら。
……何で、小舟に乗ったティボー村の人達が居るのよ。え、此処海よね?ど、どうして集まってんのかしら。
そしてあの雄叫びは誰の声よ。お父さんじゃ無いわよね!?
「おはよーミュリエッター。今日も可愛いー」
「ぜ、ゼルン……」
甲板から覗き込もうとしたら……抱きとめられてしまった。……あの、欠けた手摺りはもう修理してあるわ。早いな。
朝から眩しいイケメンだな……。私、寝癖とかヨダレの跡とか睫毛とか顔に付いてないかしら。
身だしなみをチェックしてから、出てくりゃ良かった!!
「左は今の季節の陽光みたいだねー。右は雲の色。優しい秋草の髪の、空の支配者ー」
「……毒蜂といい、何なのそれは」
滅茶苦茶過剰な褒め言葉が出てきて、返って真顔になってしまうわよ。何よ空の支配者って。
「毒蜂は儚かったしねー」
「いや、だから何なのそれは……」
「結婚式したくてさー。ご実家に婚礼衣装の問い合わせしてみたんだよねー」
「え」
婚礼衣装。
……け、結婚式!?
「ちょ、ちょっと待って」
「うん、何でか大所帯で持ってきて貰ったけど、資料貰ったら直ぐに送り届けるからー。流石に準備期間はねー」
「そ、それはそうか……そうね……」
下の方でワーワー声が……。本当に大所帯だわ。
……資料、というと……何かサンプル的に誰かの……お母さんの婚礼衣装でも持ってきてくれたのかしら。
「船上がいーい?それともどっか廃墟がいーかな」
「は、廃墟……?」
船上は兎も角、何で廃墟……?
どういうことなの?怨霊だからなの?
そもそも、ゼルンの怨霊要素は何なのかしら。顔が王子様みたいだから、王子要素は突っ込まないけど。
「無駄に汚く生きてる人間がウジャウジャ居るとなー。
瘴気に充てられて、気分悪くなるタイプの部下が多くてねー。繊細なんだー」
「……そ、そう。それなら……人が居ない方が良いわね。って、瘴気って何なの」
「んー、空気の一種?」
分からないです。でも、突っ込んで聞いても分からないです、みたいな顔をしてるわ……
誰も瘴気に対して詳しそうじゃない……。それなのに、会話が出来てるってことは、怨霊関係用語なの?
「い、生きてる人間から、瘴気は出るの?」
「出てるよー。ミュリエッタは気持ち悪い瘴気出てないけどー」
「私からもその瘴気、出てるの!?」
髪の毛を一房取られて……スンスン匂いを嗅ぎなから言われた!!
いや、滅茶苦茶汚いのでは、私!?お湯で体は拭かせて貰ったけど、い、色々汚いのでは!?臭うのでは!?瘴気云々よりも、体の臭いが!!いえ、瘴気も気になるけど!!
「に、匂いを嗅がないで欲しいわ。
瘴気って臭うの!?」
「臭う瘴気のヤツの傍は、気分悪くなるよねー。まあ、大体のヤツは臭うけどさー」
部下の人達がウンウン頷いてる……。
「いい匂いの瘴気持ちだから、ミュリエッタはレアだよ」
「そ、それは良いことなの?」
「勿論!俺や部下にモテモテだよー!」
そ、そんなにニコニコされても……。で、でも悪い気はしないかも……。
昨日はお食事を差し入れてくれたり、部下の人達も、親切だったわ。ちょっと……見た目は、いえ、パーツに人外混じってるけど。
「まー、細いことはいーじゃんー。結婚式の準備しないとねー。誰か雇わないとなー。
最近の流行りと式典に詳しい、でも干されて怨み持ちな同種のヤツとか居ないかなー」
「お頭!近くに国が有りそうですぜ!!撃ちますか?」
……同種って、何なのかしら。
怨霊って何なのかしら……。いきなり撃つのはどうなのかしら……。
「いい感じの廃墟を造るのもアリだねー。利用出来そうな同種も居ないなら、造るかー」
「廃墟……は兎も角、いい人が見つかると良いわね」
「ミュリエッタもそー思うー?楽しい式にしようねー」
この笑顔を見ていると、細いことを気にしちゃいけない……気がするわね。
ティボー村の人達も帰ったようだし……。もう舟は見えないわ。……速い舟みたいだわ。
「結局顔を合わせられなかったけど……村の人達は、結婚式には来てくれるかしら」
「喚びたいなら呼ぼうよー」
ゼルンって、本当に優しいのね。こんなに優しいひとに探されていたなんて。
相容れない空気感みたいですね。




