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モヤビト  作者: 鉄火市
31/31

犠牲となった人々(改訂版)

 5月15日に全体的に書きかえました。

 自分勝手で申し訳無いですが、少しでもよくなるようにと思い、頑張りました。


 鬱蒼と生い茂る木々を隔てる土の道は、五年前のあの日と同じく車体を揺らす。


「ここらへんももうちょっと道路を整備すればいいのにな。そしたら少しは人が来てくれるようになるんじゃね?」

「あはは、畑しか無い村が整備されても来てくれる人なんていないよ」

「確かに」


 助手席に座る香織が笑い、俺もつられるように笑う。

 そして、俺達はようやく深山村に着いた。


 香織の家に車を駐車していると、玄関の引き戸が開かれ、中から香織の両親が出てきた。


「香織、梓君、いらっしゃい」

「お母さん!!」


 香織がまるで子どものように抱きつく姿を見て苦笑いし、俺は二人に向かってしっかりと頭を下げて挨拶した。


「お久しぶりです、お義父さん、お義母さん。ご壮健そうで何よりです」

「君も元気そうだな。今日は泊まっていくんだろう?」

「はい、お世話になります」

「そうか。ゆっくりしていきなさい」

「ありがとうございます。ただ、少し香織と一緒に寄りたいところがあるので、荷物だけ先に置かせてください」


 そうかいと優しく微笑んでくれるお義父さんに再び頭を下げ、俺は香織と自分の分の荷物を持って、家の中に入った。


 ※ ※ ※


「それにしても随分とお父さんと仲良くなったね」

「そりゃあ、ほとんど香織のお陰だよ」


 神社への道のり、川沿いの土手で香織が楽しそうに話しかけてきた。

 香織の言う通り、母親とは違い、父親からの評価は好印象とは程遠く、話しかけても無言を貫かれることも多々あった。

 それでも、香織からあの父親が好きそうなことを聞き、元々ジジくさいと言われていた趣味のいくつかが力を発揮したことで、今では気に入られていると言っても過言じゃないところまではやってきた。

 まぁ、こっちに来る度に将棋を挑まれるうえに、上手く立ち回るのは大変だがな……。


「それにしても、この土手も懐かしいな……」

「ここが? ……あぁ、いっちゃんや子ども達と遊んだんだっけ?」

「そうそう、あの時は逸香が普通に川の中に入るからびっくりしたよ。まぁ、それ以上に突然脱ごうとした時の方が驚いたけど……」


 香織の表情を見れば、彼女は少し寂しげな微笑を浮かべていた。

 それはそうだろう。

 結局、あの事件で死んだのは逸香だけになったのだから。


 香織と共に神社の裏手から本殿を通って戻った後、俺達を出迎えてくれたのはモヤビトに襲われたはずの村人達だった。

 中には俺達の目の前で靄人間と化した先代巫女の佐川美香さんや俺達を命懸けで守ってくれた佐川神門さんもおり、俺と香織は互いに顔を見合わせた。


 そして、一番驚かされたのは……


「お久しぶりです、梓さん!!」


 過去のことを思い出していると、突然後ろの方から声が掛けられた。

 振り向けば、そこには見知った顔があった。


「一年ぶりか? まぁ、メールとかしてるし久しぶりに会った気はしないけど、元気そうで何よりだよ、あらた君」


 友人を置いてきぼりにしながら大きく手を振って駆け寄ってきたのは、深山村長の義理の息子のあらた君だった。


 彼は現在、熊本市の高校に通う三年生だ。

 身長も平均的になり、中性的なイケメン君になった彼とは、五年前のあの日、深山村を離れる際にアドレスを交換し、今では毎日のように連絡を取り合っている。

 あの時、色んな人が生き返って驚いたが、彼の姿を見た瞬間、俺は涙が止まらなくなってしまった。

 人目もはばからず彼に抱きつき、ただひたすら謝り続けたあの時のことは、きっと生涯忘れることは出来ないだろう。


「見ない内に大っきくなって……今どのくらいだ?」

「四月に測った時は百七十三くらいでした!!」


 まるで元気な犬みたいに目を輝かせる彼を可愛く感じるのは、彼が心から俺を慕ってくれているのが丸わかりだからだろう。

 それにしても中性的な顔立ちなうえに、爽やかさと優しさを兼ね備えてるなんて、高校時の俺と違って結構モテてそうだな。


「彼女とか出来たのか?」

「彼女ですか? 僕に彼女なんて出来る訳ないじゃないですか〜」


 冗談を言われたみたいに笑い返してくるが、彼の返答には結構というかかなり驚かされた。


「そうなの?」

「そうですよ」

「そんなこと無いんですよ、遠山さん」


 そう答えたのは、あらた君と同じ学校に通っている友人の慎二君だった。

 彼は俺に近付き、密やかに耳打ちしてきた。


「あらたのやつ、学校で遠山さんのことばっかり俺に話しかけてくるから、裏では東京で梓っていう年上のお姉さんと遠距離恋愛しているって噂されてるんすよ」


 その話を聞いて、俺は正直吹きそうになった。

 まさか、俺の女っぽい名前がとんだところで迷惑かけてるなんてな……まぁ、知らんやつからすれば、梓が男とは思いもしないんだろうな。

 うら若き少女達の恋路を知らぬところで打ち砕いていたと思うと、なんだか罪悪感が湧いてくるな。


「慎二君が誤解解いてやればいいんじゃないの?」

「嫌っす。だってそれ解いたら絶対あらたがモテるじゃないっすか」


 いい性格してやがる。

 まぁ、気持ちはわからないでも無いし、別にいいけどさ。


「それで? 二人は今年受験だろ? こんなところで油売ってていいのか?」

「それを言うのは無しっすよ〜!」


 受験という言葉で頭を抱える慎二君とは対照的に、あらた君は笑顔で答えてくる。


「大丈夫です。模試でA判定だったんで。一年に一回しか来てくれない梓さんに会う方が大事です!!」


 Aとかマジか。俺なんて夏の時はまだDとかだったのに……。

 香織が隣で凄いねと褒めてるのを聞きながら、俺は彼に別の質問を訊いた。


「それで? 志望大学は?」

「都立三鷹崎大学の法学部です」

「そこって私達の母校じゃん!!」


 香織の言う通り、都立三鷹崎大学は俺と香織が昔(かよ)っていた大学で、特に法学部は俺が専攻していた学部だ。結構倍率が高い上に偏差値高いんだが……そこのAって結構凄いんじゃないか?


「まさか将来の夢まで警察官とかじゃないだろうな……」

「えっ!? 内緒にしてたのになんでわかったんですか!!?」

「……むしろなんでわからないと思ったのかを俺は知りたいよ……」


 憧れてくれるのは正直嬉しいが、そこまでされると少し心配になってくる。


「人生は長いんだからちゃんと選んだ方がーー」

「ちゃんと選びました!!」


 俺の言葉を遮るように声を荒らげたあらた君の表情は、先程までの楽しそうなものとは異なり、真剣なものになっていた。


「僕は五年前のあの日、死を体験しました。普通の死に方じゃないし、今はこうして生きてるけど……でも、思ったんです。人っていつ死んでもおかしくないんだなって……」


 少し沈んだ様子になったあらた君は、更に続けた。


「あの時の僕は守られるだけのお荷物でした。でも、いつまでもそのまんまじゃ嫌なんです!! 確かに僕は梓さんに憧れてます。梓さんみたいになりたいと思ってます。でも、僕は梓さんにはなれない。だから僕は、僕なりのやり方で弱い人を助けたい。あの時の僕みたいな存在を一人でも多く助けたいから、僕は警察官になりたいんです!!」


 ……彼の目を見ればわかる。

 彼が如何に真剣に己の将来を見据えているのかが。

 そこまで考え、努力している彼に、俺なんかが余計な口を出していいはずが無いな。


(……本当に大きくなったんだな……)


 目から流れそうになった涙を堪え、代わりに笑みを向けた。


「そこまで考えて選んだ道なら俺も応援するさ。困った時はいつでも連絡してこいよ」

「はい!!」


 ガシガシと頭を撫でれば、まるで五年前に戻ったかのようなあどけない笑みを向けるあらた君。そんな彼に苦笑していると、急に彼の携帯が鳴った。


「タイミング悪いなぁ……すいません、母からみたいです」

「別に構わんよ」


 どうやら電話らしく、あらた君は俺に断りを入れてから通話ボタンを押した。

 別に他人の電話を聞く趣味は無いし、とりあえず香織と色々どうするか話そうとした時だった。


「ええっ!? それ本当!?」


 いきなり電話していたあらた君が声を荒らげた為、何事かと思いそちらを向くと、彼は電話を切ってこちらを向いた。


「すいません……なんか将希(まさき)が熱あるっぽくて……心配なんでちょっと帰ります」


 将希君とは二年前に産まれたあらた君の弟で、ほぼ毎日のようにくるメールの内容の大半が弟のことになっているくらい、あらた君は弟のことを可愛がっている。


「確か梓さんは明日までいるんですよね?」

「あぁ、明日の夕方まで香織の実家にいるから、いつでも来い」

「どうせ私達も今から行かなきゃいけないとこがあるし、もしもの時は私が見るから連れてきてね」

「ありがとうございます。それじゃあまた後で」


 そう言うと、あらた君は慎二君と共に俺達の向かう方角へと走っていった。

 新しいお父さんやお母さんとも仲良くやってるって聞いてるし、逸香が聞いたら喜ぶかもな……。


「それじゃあ行こっか」


 その言葉に頷いた香織と共に、俺達は神社の方へと向かった。


 神社までの道中では老人や元気に駆け回る子どもとすれちがう程度で、特定の誰かと会いはしなかった。

 神社の階段を登って中腹まで辿り着き、俺と香織はそこから横の方へと向かった。

 砂利の敷かれたその場所を少し歩けば、当初の目的地である墓地はすぐに見えた。

 墓地とはいえ、人口の少ない村の墓地はあまり墓の数も多くない。

 その為、目立つ人が居ればすぐにわかった。


「掃除中ですか?」


 俺は墓と墓の間を竹箒で掃いている美香さんの姿を見つけ、声をかけた。


「あら、香織ちゃんに梓君じゃないですか。結婚式以来ですね。元気にしてましたか?」


 白衣に緋袴という巫女装束を着こなした美香さんが微笑んできた為、俺達も会釈を返す。


「おはようございます、美香さん。美香さんもお変わり無いようで何よりです」


 香織が挨拶すると、美香さんと二人で熊本弁主体の会話を繰り広げ始めた。

 何度も聞いてるというのに、未だに慣れないんだよなぁ……。


「久しぶりね!! 元気だったね!!」


 美香さんと香織の会話に気を取られていると、いきなり神門さんが肩を組んできた。


「はい、お久しぶりです。神門さんは……聞くまでもなく元気そうですね」

「そらそうばい、おいは元気と力だけが取り柄だけんね!! そぎゃんことより聞いたばい!! もう三ヶ月とだろ?」

「えっ、ちょっと待ってください。俺達それまだお義父さん達にしか言って無いのになんで知ってんすか!!」

「田舎の情報網ばバカにしたらいかんばい。たった一人にしたと思たら、明日には村ん皆が知っとるけんね!!」


 えっ……田舎の情報網怖すぎだろ……。

 まだ話して一時間経って無いよな?

 ……まぁ、それくらいお義父さん達に喜んで貰えたとプラスに考えとくか……。


「人生の先輩からのアドバイスばい。出産中はどんな性格が良か女でもイライラするもんだけんね。ちゃんと君が支えてやらんといかんぞ!!」

「イッッツ!?」


 背中に強烈な紅葉を着けられ、俺は軽く背中を擦る。

 後ろを向けば、こちらに会釈する美香さんと、手を振ってくる神門さんが向こうに行く姿が見えた。


(相変わらず加減知らなさすぎだろあの人……)


 それにしても、あの夫婦を見ていると、本当に村の皆が生き返ってくれて良かったと思う。


 あの日、逸香以外の全員が生き返っていたことには確かに驚かされたが、それと同等以上に驚かされたのが、靄に襲われた村人達のあの事件のことや逸香に関する記憶が書き換わっていたことだろう。

 なにせ長い時間、俺達と共に行動していたあらた君でさえ、辻褄の合わない記憶になっているのだから。


 あの日の顛末はこうなっている。

 香織が伝統の舞を披露している最中に起こった自然的要因による毒ガスの発生。それにより、多くの村人が意識不明の重態になった。

 その事件を解決するべく動いた俺と香織、それにあらた君は、毒ガスで中毒症状を起こして襲いかかってくる村人から逃げながらも、なんとか事件を解決に導いたことになっている。

 ……そして、彼らと同郷である如月逸香の存在は、靄に襲われた村人達の記憶からは綺麗さっぱり消えていた。


 最初はもちろん受け入れきれなくて村中を奔走したが、逸香のいた痕跡は残されていても、それが誰の物であるかまでは完全に忘れ去られていた。

 その事実が、目の前にいる彼らが本当に数日前の彼らと同一人物なのかを疑わせた。


 またモヤビトに弄ばれているんじゃないかとも思った。

 だが、最終的に俺達はその事実を止む無く受け入れた。


 例えどんなに否定しようと逸香が帰ってくる訳じゃない。

 例えどんなに否定しようと目の前にいる村人達が偽物であるという証拠はない。

 寧ろ、後々に受けた検査では全員が身体に異常無しとなっている。

 ならば、受け入れる以外に選択肢はあるのか?

 家族が生き返って喜ぶ香織に対し、彼らは偽物と言うのか?

 …………結局俺には、そんなことは出来なかった。


 これ以上どうしたって、この状況以上の結果は得られない。

 逸香が最後の最後で見せてくれた奇跡を否定し、自己満足に走ることなんて、俺には出来なかった。


 逸香の墓に指定した場所は、当然彼女の両親と一緒の場所だった。

 だが、そこに彼女の遺骨や遺体は埋められていない。

 だから取り敢えず、彼女の家にあった物の中で、逸香が一番大切にしていたという宝物を香織に持ってきてもらい墓に入れた。


 それは、幼き頃の逸香がぶかぶかな巫女装束を着て笑顔で両親と写っている写真が入った写真立てだった。


 例え部屋の中が悲惨な状態であっても、その一枚の写真立てだけは机の上に綺麗に飾ってあった。

 あの世で逸香が両親と仲良く過ごしてくれますようにという思いを込めて、俺達はその写真立てを墓に入れた。


 俺達は持ってきていた雑巾や、近くに置いてあったバケツや箒等を用い、墓の周りを掃除した。だが、一年近く掃除されていない割には、墓は全然汚れていなかった。

 そして、花立の花を交換しようと手を伸ばしたところで香織に後ろから声を掛けられた。


「ちょっと待って。なんかその花新しいやつじゃない?」


 言われてみれば、確かに一年前に入れた花とは違ううえにみずみずしさを感じる。

 だが、いったい誰が?

 確か逸香にもう親族はいないと聞いてるが……


「じゃあ変えないのか?」

「私もそんなに詳しく無いし、その花だっていつ入れたかわかんないけど……もう一緒に入れちゃえば?」

「了解。じゃあ水を変えてくるから、香織は花の方をよろしく頼むね」

「いいよ。新聞紙とハサミちょうだい」

「あいよ」


 そんなこんなで思った以上に豪勢な花立が完成し、最後の仕上げとして線香とロウソクを取り替え、ロウソクに火を点けた。


 そして、俺と香織はしゃがんで手を合わせ、黙祷をした。


 聞いてるか、逸香?

 そっちでお前がなにやってるのかのは知らないが、こっちはお前のお陰で元気にやってるよ。

 なんか年が経つのが段々と早く感じてきて、もう三十だよ、三十。

 てか、美香さん見ても思ったけど、香織も香織で三十路になっても美人だし、寧ろ大人の魅力が出てきてさ、こんな嫁さんがいる俺はつくづく幸せもんだと思うよ。

 逸香が香織を最後まで守ってくれたお陰でって言うと不謹慎なのかもしれないが、お前には本当に感謝しているよ。

 そうそうあらた君のことだけどさ。

 お前があの子と俺を引き合わせてくれたお陰で、今は友達作って元気に高校行ってるんだってさ。まぁ、前にも言ったし知ってるんだろうけどさ、この情報は知らないんじゃないか?

 あらた君って遠くに梓って彼女がいると思われてるんだってさ。

 どんだけ高校で俺の名前を出してるんだって話だよ。

 せっかくのイケメンに育ったのに可哀想が過ぎる。

 後、あいつ俺達の母校を受験するんだってさ。俺が通った法学部に入って、将来は俺みたいな警察官になるって言われた時は、すごく嬉しかったよ。

 いつか一緒に働くことになったらその時は、ビシバシと鍛えないとな。

 ……あっ、忘れるところだった。今さ、香織のお腹の中には俺の子がいるんだぜ?

 俺が父親になるって知ったら逸香は笑うかもしれないけどさ、俺も父さんみたいな尊敬される父親になりたいと思ってるんだ。

 仕事もちゃんとこなして、休日は子どもや家族との時間を過ごす。理想論かもしれないけど、頑張って実現してみせるよ。

 後さ、これは香織からの提案なんだけど、女の子が産まれたら、逸香って名前にしたいんだって。

 明るく元気で友達思いの優しいお前のように育ってほしいからだとさ。

 流石に異性の前で服を脱ぎ始める無防備なところまでは受け継いでもらいたくはないが、俺も彼女の意見に賛成しているよ。


 俺はゆっくりとまぶたを上げて、すくりと立ち上がると、目に涙を溜めて未だに黙祷している香織に目を向けた。

 そして、すくりと立ち上がった彼女は、目元の涙を指で拭い、気丈な笑みをこちらに向けた。


「行こっか」

「……ああ」


 じゃあな、逸香。また来年、君に会いに来るよ。



 最終回まで読んでいただき、誠にありがとうございます。

 『モヤビト』執筆者の鉄火市です。

 この小説は元々、一冊分で終わらせられる小説を書こうというのを目的として、書かれたものになります。

 その為、普段書いてるようなファンタジーな異世界を舞台としたものではなく、至らない点も多々あったと思われます。


 居合の参考にと色々意見をくれた弟や、読んでくださった方々、twitterで応援や宣伝をしてくださった皆様方のお陰で、今回も書き上げることができました。

 この場を借りて、御礼申し上げます。


 次回作の投稿は未定ですが、その時はまた、お力をお貸しいただけると幸いです。


 そんな訳で鉄火市の今日の熊本弁講座〜!!


 今回で最後となるこのおまけコーナー。私もただただ無駄に疲れるから本当に誰得コーナーとなっていたこのコーナーも今回で最終回です。


 最終回は「肥後もっこす」についてです。

 肥後もっこすは熊本県民の気質を表現した言葉で、日本三大頑固の一つとしても有名です。


 純粋で正義感が強く、一度決めたら梃子でも動かないほど頑固で妥協しない。おおらかで明るい男性的な性質のことを言うそうです。

 実際、熊本県民の男は頑固な方が多く、私の父も間違っていると指摘しても頑なに認めない頑固者です。

 そんな彼らの多くは同じ九州の福岡をライバル視しており、熊本は福岡の下位互換なんて言った暁には、命がいくつあったって足りないかもしれません。


 ただ、基本的に人情に厚く、曲がったことが嫌いなのも特徴で、別段悪い人達という訳ではないので、勘違いなさらないでくださいね。


 以上で終わりたいと思います。

 ここまでお付き合いいただき、誠にありがとうございました。


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