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 情報を最適化するって何かっていうと、お話の中で使えるように『レシピとして書きなおす』ってことさ。


 例えを出そう。

 『ドラえもん』という漫画にスネ夫君というお友達がいるよね。

 すぐに新しいおもちゃやプラモの自慢を始める、嫌味な男の子だ。

 つまりキャラクター表を作るなら、スネ夫君の性格の項目には『嫌味』って書くべきだろ。

 だけど、この『嫌味』って情報だけではスネ夫君の人格は完成しないよね。

 だって嫌味っていったって、いろんな人がいるだろう?

 会社でいつまでも結婚できない女上司に「私ぃ、寿退社ちゃうんです~、先輩はまだですかぁ」って聞いちゃうのも嫌味な人だし、「しぇー! 六つ子ンちはお貧乏で可哀想ザンスね」って言っちゃうのもイヤミな人だ。

 そういった他の嫌味な人とは違う、スネ夫くんオリジナルの『嫌味』が必要になる。


 どうしたら他の人と違う『嫌味』になるのかなあ?

 他の人に相談したら、「過去を作るといいよ」というかもしれない。

 「もっと細かく、どんな嫌味を言うのか決めてみたら」というかもしれない。

 よくあることだよね。


 それで君は、素直に主人公の過去なんかを考えるわけだ。

 どこで生まれて、どんな風に成長して、どんな小学校に通ったのか……

 考えれば考えるほど情報は膨大になって、しまいには収拾がつかなくなってしまうことも少なくないだろう。


 実はこれ、アドバイス自体は間違っていない。

 キャラクターにも歩んできた人生があって、過去が今のキャラクターの人格を作るんだから、今ある性格の理由を過去に求めるのは正道なんだ。

 同じようにキャラクターの性格はこれからの行動に影響を与えるんだから「どんな風に嫌味なのか」という行動パターンを考えるのも正道だよね。

 なのに、なぜ『失敗』してしまうのか、それは作ろうとしている完成品を見失ってしまうからなんだ。


 いま、スネ夫君の『嫌味な性格』の話をしているよね。

 だとしたら、作るべき完成品は『スネ夫君の嫌味な性格』だ。

 つまりここでやるべきは『スネ夫君の嫌味な性格のレシピ』を作ることなんだ。


 このレシピの材料に過去のプロフィールを使ってもいいし、予測される行動をつくってもいいし、他の情報を組み合わせても構わない。

 だけど、完成品が『嫌味な性格』になるように調整してやる必要がある。

 レシピだからね。


 スネ夫君は本編から予測されるこのレシピ部分に「パパが社長」という要素が入っている。

 だからお金持ちで、新しいおもちゃもじゃんじゃん買ってもらえるんだね。

 そして、同じ社長の息子でも良く躾けられたいい子っていうわけじゃない。

 だから、すぐに新しいおもちゃを自慢したりするんだね。


 つまり「パパが社長でお金持ち」というレシピで「嫌味な子」という完成品が作られているのさ。


 この『完成品が出来上がるようにレシピ』を組む行為を情報の最適化と呼ぶよ。


 さて、実際にキャラクターを組んでみよう。

 君の頭の中には、今から書こうとするキャラクターに関する情報の『断片』がいろいろあるはずだ。

 その中のどれが『完成品』なのかを選ぶところから、まず始めよう。


 一時、流行りなのか『陰キャ』を目にすることが多い時期があったんだけど、みんな失敗していたのは、この『陰キャ』という要素が性格上の完成品なのか、レシピの一部分なのか区別をつけていないってことだったなあ。

 つまりね、『陰キャ』を性格上の完成品とした場合はなぜ陰キャなのかというレシピが必要になるだろ?

 逆に『陰キャだからクラスメイトになじめない』と組むと、『クラスメイトになじめない(完成品)』を作るためのパーツの一つが『陰キャ』という要素になるんだ。


 少し難しいかな?

 だけど完成品がなにになるのか知らないと、レシピって組めないだろ?

 だから最初に、ここの仕分けをしてしまおう。


 その完成品のためにレシピを組もうとすると、絶対に足りないものが出てくる。

 もう一度言う、『絶対に』だ。


 例えば主人公の過去にトラウマを作ろうとしたとする。

 つまり『トラウマ』という完成品のためのレシピだ。

 手持ちのパーツを組み合わせて作っていると、絶対に足りないものが出てくるのだ。

 それは過去のエピソードだったり、主人公の生来の性格だったり、ケースバイケースなので、ここで何が不足するのかを教えることはできない。

 だけど足りないところがわかったら、それは作り足せばいいだけのこと、簡単だね。


 さて、慎重に『完成品』を選び出して、そのための『レシピ』をつくる、そのやり方はわかったかな?

 このレシピづくりができるようになれば『情報化』は自然とできたも同然。

 つぎは、この応用でストーリーを情報化してみよう。


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