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 小説のレシピを書くのに最初に必要なもの、それは、情報の書式変更だ。

 というのも、レシピって材料と手順を書くことによって成立しているよね。

 小説のレシピであるプロットも同じ、今ある出来事を材料と手順の形で書き直してあげる必要があるんだ。

 これを『データ化』というよ。


 ここから、少し難しい話になるよ。


 アップルパイだった場合、レシピの材料と手順通りに作ると、作っている最中はただの粉だったり、リンゴの刻んだものだったり、途中経過ではアップルパイの全容は見えないよね?

 完全なアップルパイの姿が現れるのは全ての工程を終えてオープンから取り出した時だね。


 物語も同じで、お話の途中では物語の全容は見えないんだ。

 だけどそれでいいんだ、お話も完成形が見えるのは最後のエンドマークがつく瞬間であって、そこに至る行程はあくまでも途中経過でしかないからね。

 まったく物語の本筋と関係ない情報を書いているように気分になるかもしれないけれど、作業だと思ってサクサク思うままに書いていけばいいよ。


 実はこれ、キャラクターの構築も同じなんだ。

 キャラクターの方がより明確になるから、ここで『情報化する』ということを説明してしまおう。


 読者がキャラクターの性格や過去を知って、『一個の人間』として完成するのって、物語の序盤じゃないんだ。

 過去のトラウマや、物語の中で果たすべき目的などの情報を抱えたまま、登場人物は物語の中で『行動』する。

 この現在の行動を決するには過去のトラウマや果たすべき目的などの『情報』が必要だ。

 この二つは一見すると無関係に見えるけれども、どちらも『キャラクターの性格』という完成品を作るためのレシピの一つなんだよ。


 キャラクター作りのコツを誰かに聞くと『過去をきちんと作れ』って言われることが多いだろ?

 だけどそれが単なる過去情報の羅列ではどれほど緻密に組んでも、あんまり意味がないんだ。

 この過去情報を『今のキャラクターの性格』という完成品を作るレシピの形に並べてこそ、初めてキャラクターの過去を作ったことになるんだよ。


 このレシピ作りができる人は、キャラクターの設定も最小限で済む。

 完成品である『キャラクターの今の性格』に関係する部分に的を絞ればいいだけだからね。


 さて、レシピなんだから必要なのは『砂糖○グラム』のように単純明快なデータだ。

 これは言葉で書き留めるという特性上、見た目はそこまで単純化できないが、情報の根幹は単純明快であるべし。

 例えば『主人公は昔男子に虐められた過去があり、それから男性恐怖症になった。中学校の頃には男子が嫌いすぎるあまり登校拒否を……』と、だらだら書かないこと。

『昔、男子に虐められた、これが男性恐怖症になったきっかけ』『中学生の時は不登校、理由は男性恐怖症』『女友達は多い』のように完全にデータ化しておこう。


 ストーリーのプロットの方も同じ。

『告白されるが相手を引っ叩いて逃げる』『告白の相手が本当はいいやつだと知る』みたいにすべて項目として情報化する。


 情報化がきちんとできていると、すべての情報は移動したり組み直したり差し替えたりが簡単になる。

 もちろん情報は複雑に絡み合っているから、どこか一箇所を変えるとそれに関係する部分にも変更が必要になる可能性はあるけれどね、それでもストーリー化されてしまった設定をいじり回すよりはずっと簡単だ。


 ストーリー化された、つまり完成品に近い形をした情報はどこからどこまでがどんな形で繋がっているのかが見えないよね。

 これは出来上がったアップルパイの中がどうなっているのか見えないのと同じ。

 それに熱くてドロドロしたアップルパイの中身を取り出して、砂糖を調整してもう一度パイ皮の中に戻すなんて、とてもめんどくさいだろう?

 だから調整するならまだ作業途中の段階で、そうだねえ、リンゴを煮て中身を作っている段階なら、砂糖を調整するのは簡単だね。


 逆を言うと、設定の変更がとても難しくて、どの情報も移動不可に見えるならば、そのプロットはうまく情報化されていないということなんだよ。

 少し難しいかな?


 次回は実例を交えながらもう少し詳しい情報化の説明と、その情報を『最適化』するということについてお話しするよ。


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