第三八幕
「ああ、それから坊や。君、学校に興味ある?」
「学校、ですか?」
アーテムはそう言うと、紅茶を手に持ったソーサーの上に置いた。
「ああ、流石に私の弟子として行かせたら、君殺されかねないしねぇ」
「……まあ、無理でしょうね」
「そこでだ、お前がアシェンプテルの令嬢であるハイネ嬢の従者になればいい」
「……は?」
俺は箒の手を止める。
彼女のいきなりの発言に俺は戸惑いを隠せない。
いや、隠せられるはずがなかった。
だって、ハイネと名のある少女に聞き覚えがあったからだ。
「おやぁ? もしかして、お前知ってるのか?」
「……だったら、なんですか?」
「まず、令嬢に取り入るならそれなりの下準備が必要かねぇ……まあ、一応彼女が行くであろうノーマンスメイデン女学院のことは知っておくべきだねぇ」
「ノーマンスメイデン女学院?」
「ああ、もしお前が気に入られればそこで一緒に付き人として働く……は、少し理想が高い」
「?」
アーテムはソーサーをテーブルに置いて椅子にもたれた。
「その、ノーマンスメイデン女学院ってどんな学校なんですか?」
「そうだねぇ、各女子寮にはそれぞれ有名なカラーウィッチの七人であるセブンカラーズの精神に基づいてる。そうだねぇ……わかりやすく、こんなところだろうさ」
アーテムは指を差すと黒板が現れ、そこには白いチョークで各寮のことが書かれていく。
シンクローズ、アリスの探求の精神に基づいた寮。イメージカラーはレッド。
レイラケッサ、シェヘラザードの思慮の精神に基づいた寮。イメージカラーはオレンジ。
シャルマンファム、ベルの高潔の精神に基づいた寮。イメージカラーはイエロー。
リッペアプフェル、スノウホワイトの節制に基づいた寮。イメージカラーはグリーン。
ボブレトーレ、ハゥフルの寛容の精神に基づいた寮。イメージカラーはブルー。
カステンブルク、ヴィルヘルミナの謙虚の精神に基づいた寮。イメージカラーはインディゴ。
グレイスノーラ、シンデレラの忍耐の精神に基づいた寮。イメージカラーはパープル。
……と黒板に日本語で書かれていた。
「……一応聞きますが、ハイネという少女が通うことになる学校の話ですよね?」
「まあ、ノーマンスメイデン女学院には姉妹校の男子校であるノルマンスソーン学院もある。ま? お前は望み薄だな」
「ひどい言い方しますね」
「ノーマンスメイデン女学院には、ライバル校があるがそっちに行くことはないだろうからそっちの説明は省くけど……まあ、理想はブラットカラット学園に入って、そこで従者としての勉強をする方がお前さんとしては御の字だろうねぇ」
「ミラさんという女性から多少聞きましたけどブラットカラット学校は、どういう学校なんですか?」
「貴族の従者や平民の子も通える養成所なのは知ってるかい?」
「えっと、アシェンプテル家の従者なら無料で行ける……とかくらいです」
「甘いなぁ、」




