人物紹介ver.3
お久しぶりです。そろそろ再開しようかと思います。
今朝7時ごろに幕間を更新しておりますので、まだの方はそちらもどうぞ。
おさらいどころか予習というか、本筋に関係ない内容の人たちもちらほらいますので、必読ではありません。
引くほど分量が多いのでお暇な時に拾い読みしてくださいませ。人物紹介は書くのがとても楽しい。(脱線してます)
何卒よしなに。
季節は秋。
多分まだ十月になってるかなってないかくらいのはず。
●ローズ・フォルアリス
十七歳。フォルア伯爵家第三子。長女。王都育ち。晩秋生まれ。
波打つ金髪に青の瞳。娘らしく発育は良いが、教育熱心な大人に囲まれた娘時代なので、普通の御令嬢がたより焼き菓子の類を摂取していないためか細いし軽い。自分に対する不利益に鈍感、お人好しに思える行動が多い。
魔力特性:結界系
★★★★★EX
魔力量
★☆☆☆☆E
(ちょっと増えた)
十六の春、第一王子アンセルムより婚約破棄を言い渡され、次兄ドミニクからは父に代わって勘当を言い渡される。
辺境行きを命じられた直後に意識を失い、目覚めた時には一年半経っていた。『異界渡の巫女』に憑依されて過ごした一年半の間に色々あったらしいけれど、身に覚えがないので事実だけ受け止めている。
自分が世界を救うために育てられた真実を知る。辺境異民族の地で魔女になったあと、救世の巫女がもたらす聖剣を宿した剣に貫かれることにより、世界が救われるらしい。最初からそのように言い含められ育っていたなら、なんの疑問もなく望まれた通りに役割をこなしたと思われる。
ただし現実はそうはならず母と第一王子の願いによって、普通の伯爵令嬢・王太子の婚約者として育てられた。さらに本来は十七歳になった頃魔女として死ぬはずだったが、憑依した異界渡の巫女のはたらきにより、魔女にならないままに王都に戻ってしまう。
様々な事情を知った今、王家や神殿上層部が自分の扱いに困るのも当然よね。と、ため息。自分を道具や駒扱いしない魔術師セファや化粧師トトリ、侍女のエマ、セファの研究室に所属するメアリ、ミシェル、ジャンジャックなどあたたかな人とのまともな触れ合いによって、死ななくとも世界を救う方法はないかしら、と考え始める。
セファが好き。を、友人との会話の中で自覚した。ほんとうなら、できるだけ長く、セファのそばにいられたらいいな、という願いも自覚しつつある。それでも『貴族として贅沢な暮らしをして育った者として、望まれた生き方を全うすべき』という考え方から救世を放り出すことはない。
自分のこととほぼ同時に、セファが目指しいずれ至るという『魔法使い』についても知る。根本から変質し、長寿となり人間の世界を管理するという『魔法使い』の七人のうちの一人にセファがなるのはふさわしいと思うし、応援したい。セファが望んで魔法使いになるならその前に、自分が世界を守る役割を果たしてからの方がいいに決まっている。
セファに見られると嬉しいけれど恥ずかしい。講義中や調合中など、集中している時が見つめるチャンスだったりする。魔術に関しては随分出遅れて学んでいるけれど、出来損ないだと思われたくないので真剣に学ぶ。
恋はしたけれど相手に何かを求める発想がないので、(求めたとしてもたらされなかった生い立ちから)これ以上の発展はないと思っている。奪われ、失い、手元に残るものがない、ということが基本なので、セファからもらったもののほとんどを実はどこかしらに身につけていたりする。護符も大事。鳥の形をした飴もどうにか取っておけないかしらと考え中。さすがに食べ物は現在学院寮の部屋に飾ってある。
フェルバートについては、自分にしてはずいぶんはっきりと拒絶したと思っている。「いらない」ことを選んだのは、快挙と言っていい。嫌いになったわけではなく、人間性を否定するわけでもなく、ただ、『結婚・婚約=未来』という自分が抱いている図式との相違から確実に分かり合えないとわかったため。
●セファ
十七歳。辺境育ち。冬生まれ。
真っ直ぐな銀髪に薄茶の瞳。身長が高く細身だが、多少鍛えているので力はある。宮廷魔術師。魔術学院特別講師。アルブム・アウルム。
「ローズ様」「ロゼ」
魔力特性:いろいろ(癒しの力と結界系は持っていない)
★★★★★S
魔力量
★★★★★S++
十六の初夏くらいにローズに憑依した異界渡の巫女に見出され、脱・引きこもりを果たす。
魔物の色だとして迫害されやすい銀髪を隠し、潜むようにして常連ばかりの診療所を営んでいた。『おじいさん』のあとを引き継ぎ、見知った患者のために薬を作り診察する毎日を送る。診療所の方はほとんど善意の丼勘定で採算は取れておらず、時折結界の外に出かけて珍しい薬草を採取、希少な魔物の素材を魔狩りに売ることで生計を立てていた。
あと師匠の黒の魔法使いが時々様子を観にきていて、魔術を教えてもらいながら細々と暮らしていた。
そんな毎日を楽しいとは思っていなかったし逆に不幸だとも思っていなかったけれど、異界渡の巫女とフェルバートによって外に連れ出されたことで、世界が一変する。異界渡の巫女とフェルバートには深く感謝しており、できることがあれば手伝いたい。
境遇が近いと感じることもあって、彼らから受けた恩をローズに返せたらいいな、と思い、気にかける中で徐々に銀髪を忌避しない様子や素直な感性に好意を抱きはじめる。十日間に及ぶ旅の間にその考えや育ち方に違和感を抱くようになって、どうにかローズ自身の意思や感情、願いを引き出せないかあれこれとしていくうちに距離が縮まり、そばにいるのが当たり前のように感じ始める。
時々フェルバートの婚約者だったな。と、思い出しては距離を置こうと決めて夜に眠るけれど、朝になって魔術学院の仕事をこなし午後にローズの顔を見る頃には忘れてしまう。
自分の肩書きで守れるならなんでもいいか、と標の入った学院外套を与えたし、着た姿を見てはその都度満足している。この辺はちょっと無意識とはいえ(いやだからこそ)外堀埋めてる感があって怖いかもしれない。
自分がいずれ魔法使いになることは決まったことだと理解しているものの、その上でローズとの今後をどう考えているのかは不明。なにせセファは、ローズが救世しようとしているもののそれが命と引き換えかもしれない、なんてこと知りもしないので。
ローズが近い未来に世界を救って、その後も魔術学院や魔術塔で他愛ない日々を過ごした先で魔法使いになった姿を見てもらえたらいいなとは思っている。
●フェルバート・ハミルトン
20歳。ハミルトン侯爵家の第四子、四男。元・第一王子の二の騎士。癖のある黒髪に青い目。
「ローズ嬢」
魔力特性:風
★★★☆☆C++
魔力量
★★★★☆B
何一つ不自由ない恵まれた生まれ育ちと境遇のはずだけど、ちょっと面倒な人々の要らん言葉を真に受けて、どこかねじれてしまった人。ローズのひたむきさが眩しく、羨ましく、守りたかった。ローズが役割を果たすことを当たり前として、救世から絶対に逃げないとわかっていたので、そばにいる方法を選び、手に入れるために足掻いた。
ハミルトン侯爵夫妻は高位貴族にしては家族想いの一家だけれど、仕事や社交をしなが男の子を四人も育てるとなると目を離す瞬間も当然あって、そう言ったタイミングに傍迷惑な親戚からいろいろ吹き込まれていた模様。そう言った経緯から乱暴者として幼少時から持て余され幼くして騎士団預かりとなる。第一王子アンセルム付きの騎士見習いとして、フォルア伯爵家への連絡係をやっていたりした。
ローズの婚約者となったのは、他の貴族にローズを確保されることを避けるためというよりも、ローズ自身が他に行くことを考えないようにさせるため、といった向きの方が強い。危険だからとフェルバートかセファが常にそばにいるようにしていたというのも、ローズの行動力を奪うためで、実際の身の危険度は高くはなかった。接触しようとする貴族は多かったけれど、それらも情報遮断の観点から排除していた。
(当然セファは何も知らずフェルバートに言われるまま協力していた)
フェルバート自身としては『将来を誓った相手』であるため、許されるのであれば恋人であろうとしたけれど、それまでの関わりが薄く秘密が多すぎたためかローズは最後まで戸惑ったまま心を開けなかった様子。
何もかもがバレた後は、なんだかスッキリしている。元が生真面目な性格なので内緒事は向いていなかった。ローズが世界を救うなら隣に立つのは自分だと変わらず決めており、婚約者という立場が拒否されたところで今後に変化はない。
結局、セファはローズの隣にずっといられるわけじゃないので。
そういえば。婚約破棄の翌朝から辺境まで異界渡の巫女とはずっと二人旅していたわけだけれど、ローズとセファ(杖なし)の三日間の二人旅とどちらが快適だったかはちょっとわからないよね。
●トトリ
辺境出身の平民。褐色の髪と瞳。16歳になりたての夏生まれ。化粧師。
「ローズ姫」
魔力特性:なし
☆☆☆☆☆ー
魔力量
☆☆☆☆☆ー
最近は侍従服でいることが多い。セファ派。昔馴染みのセファの変化を好ましく思う。
魔術学院寮に移られると出番が減るなぁと思っている。部外者は簡単に出入りできないところなので仕方がない。
あんまり本業ではないけれど、市井の噂や下働きの人たちから貴族の裏事情などを仕入れたりしているかもしれない。
●エマ
末端貴族の娘。ローズやセファよりもちょっと年上の、魔術学院卒業生。実家は没落済。
「姫様」
魔力特性:氷
★★★★☆B
魔力量
★☆☆☆☆E++
ローズと一緒に魔術学院へ。とは言うものの、部外者に厳しい学院なので、学院内での行動は非常に制限がかかる。主に学院寮でのお世話がメインとなる。必要であれば、共用食堂で朝食を準備することもあるけれど、あまり出番はなさそう。
どちらかというとセファ派。見たところ大いにセファに心を許しているローズを見守るのが楽しい。百面相かわいいなどと真顔の下で思っている。ただ、『魔法使い』に本気になるのはまずいのでは、とも。淡い恋心なら微笑ましく見守るけれど、本気で未来を望むのであれば、年長者として諭して止めなければいけない。
ローズの次兄ドミニクやクライドと学院に通っていた年代が被っているかもしれない。
●クライド・フェロウ
茶髪の灰の瞳。ワルワド伯爵家の三男。訳あって跡取り。
「ローズ姫」「ローズ」
魔力特性:地
★☆☆☆☆E
魔力量
★★☆☆☆D
相変わらず、魔術師セファとはいい関係を築いている。警戒されているのはわかっているけれど、互いに利用するくらいでいいんじゃないかな。などと。セファは純粋なので、あまり振り回さないであげてほしい。
まだまだ色んなことを知っているし隠しているものの、露見しないまま時が過ぎればいいなとも思う。
語れることはあまり多くない。
エマの学院時代をちょっと知っているかもしれない。
●リリカ
異世界からの来訪者・救世の巫女。長い黒髪。十七歳くらい。
「ロゼ」
魔力特性:聖
★★★☆☆C
魔力量
★★★★★A
救世特化で、聖剣を作ることのみに適性があるので、それ以外は並。ただし魔力量が杖持ち並に多く、異世界育ちゆえの柔軟な想像力を持つため、大抵のことはこなせる。魔術学院にも中途編入扱いだが問題なくついていけた。
中学生の頃に召喚されているはずだが、故郷に未練はないのか楽しく異世界ライフを送っている。ローズが一時神殿預かりになっていた時期と入れ替わりで召喚されている。
故郷ではそれなりに情緒の進んだ環境にいた模様。クラスメイトの中でも疎い子は疎く、進んでいる子は進んでいる、と言うような。コミュ力が高そうなので、幅広いタイプの交友関係があったと思われる。サブカルにちょっと強いかもしれない。読書は好きだけれど広く浅く、異世界で遭遇する数々の出来事に、「こういうの、本で読んだことある!」とはしゃぐタイプだった。
正直、婚約破棄のあの場面ではドン引き。あそこでようやく、あれちょっとなんか妙な展開に巻き込まれているかもしれない、と地に足がつき始める。あれなんかよくしてもらってた気がする伯爵令嬢の女の子がわたしの立場とかいいように使われて窮地に立たされているような??? まって、アンセルム殿下とドミニク様に言われるがままだったけど、救世って何するんだっけ、と本腰入れ始め、神殿の世話係と一緒に色々調べて行くうちに、汚職やら何やらが発覚して、あれよあれよと神殿内大粛清⭐︎ みたいなことになっていった。正直自分の後ろ盾を切り崩すに等しく、その成り行きから女性の独立を支援する女性活動家と知り合って持ちつ持たれつとなっている。
リリカ本人は、貴族のご令嬢方やご婦人方から結構人気。
いろいろ異世界事情を知るにあたって頭を抱えているけれど、ローズに関してはやっぱりそれってなんかおかしくない!? となっている。え、それ、本当に必要? 何そのわかりやすく儀式めいた感じの! あと破綻しやすそう!!
乙女の犠牲によって世界が救われるってよくあるモチーフかもしれないけれど、それにしたってなんだか人為的なものを感じると言うか人の手によるお膳立てというか操作というかそういった何かを感じるよねえどう思うホルミス!?
●ジャンジャック・オウガスタ
下級貴族、杖持ち候補の魔術学院生。魔術師セファ研究室所属。長めの茶髪。次期男爵。姉か妹がいそう。
「ロゼ様」
魔力特性:地
★★★☆☆C
魔力量
★★★★☆B-
生活魔術具が好きなので、進路もそちら方面の予定。依頼を受けて制作する職人系。セファが用意したローズの学院外套も、正直事細かに分析したいくらい気になっている。鉱物魔石に適性が高いため、現代で言う家電製品みたいなものを作ると思われる。オーブンの温度調節がもう少し簡単にならないかなぁとか、魔力のない平民にも使える畜魔力式構造について個人的に研究中。
父親がフェルバート付きの下級文官。外向きの補佐をしているので執務室内の業務は全く手伝えていないらしいが、そのため上級貴族に顔が広く知れ渡っている。また本人のそつがなかったり愛嬌があったりする振る舞いが受けて、そこそこ気に入られている模様。フェルバート付きのポジションは城内でもいわくがつきまくってて上級貴族は誰もやりたがらず、下級貴族の中でも誰がやるのかとたらい回しになっていたけれどひょんなことで転がり込んできたのを断りきれなかったオウガスタ男爵が担当することに。と言う経緯。棚ぼた。
なので、家が格に見合わぬ権力というか影響力を持っている感じ。多分、そのうち陞爵するものと思われる。気に入った上級貴族が、このままじゃ身分が低すぎて扱いにくいとかなんとか言って、父親は断るだろうけれどまぁ断れるはずもないよね、って。
その跡取り息子として父親よりもちょっと力のある上級文官になろうとしているジャンジャック少年。ミシェルとメアリに関しては入学当初からの縁で、なんだかんだ面倒見ているうちにこうなったら卒業後も権力でもなんでも使って優秀な人材が潰されないように取り込んでおこうかなぁと考え中、自分から苦労を背負い込むタイプ。
何かやんごとない殿上人のふかく複雑なお考えがあるであろうローズの境遇についても、それはもう気になっており可愛いし心配だしほっとけない。甘いものが好きらしいって言うから女子会用のお菓子を都合するために、女性まみれの長蛇の列に並んで買ってきた。本人は初対面時にしでかした無礼のお詫びと不問についてのお礼のつもりだったけれど、ひょっとしてローズには伝わってないかもしれない。
ミシェルとメアリについては、それはもう末長く面倒みることになりそう。
●メアリ
平民。ミシェルの双子の妹。杖持ち候補の魔術学院生。魔術師セファ研究室所属。薄い金髪に、若葉の瞳。
「ロゼ」
魔力特性:地
★★★★★A
魔力量
★★★★★A
錬金彫金関係に適性が高く、装身具や護符の扱いが得意。植物魔石と鉱物魔石を扱う。卒業後は錬金術具の調整修理の部署に配属予定。受付は別なので、本当に請け負った修理をひたすらこなす部署になる。男世帯なので友人や兄は心底心配。実はジャンジャック、ミシェルよりもいろいろ優秀。
セファ先生のことが大好きな女の子。表情が乏しく、一見何を考えているか分からないので、学院入学時は貴族に混じった矢先それはもうトラブルの中心だった。その度にミシェルやジャンジャックが仲裁に入っていたが女子には女子の事情があるので、フォルア伯爵家令嬢リコリスが間に入るまではそれなりに大変苦労した模様。
特殊な目を持っており、特定の人物がきらきら輝いて見える。反対に、よくない澱みを感じることもあるらしい。そういったエフェクトは魔力の扱いが安定すればそのうち消えるとのセファの談だけれど、信用できる人できない人の見分ける基準になってたりするので別になくならなくてもいいなぁと思っている。
将来の伴侶とかにはあんまり興味がなくて、強いていうならセファ先生の側がいいなぁと思っている。歳も近いし、尊敬できるし、かっこいいし。でもローズと並んでいる様子はますます幸せなので、二人がずっとメアリのそばにいてくれたらいいのにね。
いままでミシェルに頼り切りだったけれど、魔力があることがわかって魔術学院で研鑽を積み、魔術師になれる目前まで来ているのでかつて描いていたものよりもずっとマシな未来があるなぁと感慨深い。ジャンジャックがここまで世話を焼いてくれるのは全然わからないしそんな性分の人だと思っているけれど、ミシェルとセファの次くらいに信頼している。いずれ役に立ちたいと思う。
●ミシェル
平民。メアリの双子の兄。杖持ち候補の魔術学院生。魔術師セファ研究室所属。薄い金髪に、若葉の瞳。
「ロゼ様」
魔力特性:地
★★★★☆B-
魔力量
★★★☆☆C
王国近辺の植生や、植物魔石について幅広い知識を持つ。実は一番セファの専門に近く、セファが着任した際、最初に講義を聞きたがったのも彼。学院卒業後は王都の薬学研究所に上級文官として勤める予定。魔術具系のメアリ、ジャンジャックの二人ほど近い進路ではないので、ちょっと疎外感を感じている。セファの研究室に入るに当たって、三人の共同卒業研究の主題が『植物魔石の魔物への有効性』なので、自分に合わせてもらった気持ち。ジャンジャックもメアリもそんなこと思ってないけどね。
地方の商家の出身。いわゆる内向きの妻と外向きの妻のいるちょっと複雑な家庭で生まれ育つ。外向きの本妻がいるところに厚意から内向きの妻として収まっていたはずの母親が、双子を身籠ったことで父親と関係していたことが外向き本妻に発覚してしまったことでさあ大変。
幼い長男を抱える外向きの本妻は、内向きの妻に生まれた双子の男女の存在に荒れに荒れ、悋気に慌てた父親によってミシェルたち家族は別宅に隔離され一時の平穏を得る。長じるにつれ、ミシェルは稼業の補佐として教育を受けるため本家と行き来することになる。
妹の扱いはお察しの通りで、幼心に彼女の将来を案じていた。
城勤めの魔術師に見出され、学院の初等教育課程にに入学する。実家に戻る気はなく、腹違いの兄と、弟だか妹だかがうまくやればいい。腹違いの兄とは関係良好で、手紙のやりとりをして実家の様子を窺っている。妹に関して不穏な向きがあればすぐに教えてもらえるようになっている。
ちなみに母親への寵愛は継続した模様。妻を複数持ち愛することそのものは何も悪いことではないので。外向きの本妻との中は完全に冷え切っており、共同経営者のような、ビジネスライクな関係に落ち着いている(と、父親は思っている)
ミシェル個人としては父からも母からも愛されていたとは思うけれど、本妻は気の毒だと心底思うし妹に対して親面することは許さないし、縁談なんてもの引っ提げてきたらジャンジャックのコネでも誰のコネでもなんでも使って商会ごとこの世から消してやる、と思っている。
最近高位貴族とのつながりも増えたし、セファ先生は宮廷魔術師だし、そのうち魔法使いになりそうだし、ジャンジャックのオウガスタ家もいずれ子爵だし、妹の身の安全は盤石そうだなと一安心している。
誰かにメアリを任せられるようになるまでは、自分の事は後回し。なんなら結婚せず、メアリと誰かの子どもを見守るのもアリかなとか。双子は二人とも、家庭に夢を見ていないかもしれない。
■フォルア伯爵家■
●リコリス・フォルアリス
フォルア伯爵家第四子。次女。杖持ち候補の魔術学院生。金髪に、日が完全に落ちた後の宵の青、紫紺の瞳。
「ロゼ」
魔力特性:結界系
★★★★☆B++
魔力量
★★★★☆B++
卒業後は結界周りの部署に配属予定。もっとも人手が不足しているので、そのうち嫁ぐであろうリコリスにもお声がかかった。フォルア伯爵家は恋愛結婚推奨という方針であるため、婚約者はいない。フォルア伯爵家と縁付く度胸のある殿方もいないのでちょっとやばそう。
長兄がすでに学院での恋愛から婚約し、結婚して領地にいるため、小姑として居座りたくないなとは心から思っている。職場恋愛しかないのかしら。でもそれはちょっと
何故だか気づけば姉至上主義になっていたけれど、接点は少ない。なんだかよくわからないけど孤独な姉の力になりたい。なのに接触できない。どうやら今までで一番近くにいるような気がするのに、と近頃ジリジリしている。
●ドミニク・フォルアリス
フォルア伯爵家第二子。次男。第一王子付きの上級文官。だいぶ偉い。金髪に、日が完全に落ちた後の宵の青、紫紺の瞳。
「ローズ」
魔力特性:結界系、他
★★★★★A
魔力量
★★★★☆B
仕える主が王太子の座を退いたため、落ち目の立場であるものの、なぜか我がもの顔で城を闊歩しあれこれと指図するので誰も文句が言えないまま従っている。
王と、民と、世界のため? 貴族らしくその方針に則り従うものの、心底つまらない世界だなと思っている。ぐちゃぐちゃにしてやりたい。上の妹に執着して家の立場を危うくする母も、何も知らない幸せな下の妹も、母がやっていることを黙認する父も、王都の何もかもをこちらに丸投げして領地に義姉と引きこもっている兄も、上の妹の課せられた役割も、希望を見せつつ案の定なんの役にも立たなかった第一王子も、救世を力づくで強要する王家も、何もかもが気に入らない。
城勤め人としてできることはやるし仕事はこなすけれど、そんなことをうちに秘めているので、気晴らしの被害者が多数。にこやかな笑みで政敵を次々と罠にはめていく。
それなりに家族愛が強いけれど、天邪鬼になっているのはローズ関係の影響かもしれないし、元々の性格が悪いだけかもしれない。
三十手前なので、そろそろ伯爵家次男として結婚を見ないといけないものの、兄がすでに円満な家庭を築いているので別にいいんじゃ……。あぁはいはいわかったわかった。
なんだかんだで、ローズの行く末を見送るまでは自分のことを後回しにしそうな人である。あんまり人に理解されないタイプ。
エマの学院時代を知っており、彼女の実家が没落した際、母につないでその身柄を引き取った。ということをエマ本人は知らないかもしれない。ローズを追いかけようとしたエマの無謀を引き止めたのも彼だったりする。エマの動向からしばらくローズの様子を探っていたけれど、どうもセファが本気らしいことが伺えて、最近は放置気味。母とリコリスがローズの行方を探しているらしいけれど、辿り着けないなら辿り着かない方がいいと思っている。
●フォルア伯爵夫妻
まっとうに愛していた長女が想像もしていないところからかっさらわれて、ちょっと心が不安定な妻とその夫。
もともと貴族の常識に囚われぬ合理的な方策を取りがちで、他家から敬遠されていた。アクセルベタ踏みで突き進む妻と、外交的手腕に長け様子を見ながら調整する夫の組み合わせ。
伯爵夫人についての複雑な事情は省くが、端的にいうと国王陛下の従妹で妃最有力候補だった。国王が伯爵夫人に甘く、王妃からは今でも目の敵にされている。国王は伯爵夫人に懸想していたけれど、それを袖にしてフォルア伯爵の元に押し掛けた、と当時を知る者たちの間でまことしやかにささやかれている。ただの噂かもしれない。
仮に国王が伯爵夫人と愛のない結婚をするつもりだったというなら、その性質はまっとうに息子の第一王子に受け継がれていると言える。
■七人の魔法使い■
●黒の魔法使い
セファの師匠。森の香りを纏う若い男。黒髪に翠の瞳。
基本的に自分の好きなことしかしないし、常に傍に美女を侍らせている問題児。黒の王国出身だけれど青の王国の魔術学院で講師をしている。
なんだかんだ幼少期より気にかけていたセファのことが可愛い。愛の伝わらない可愛がり方かもしれない。ちょーっと結界王国各国に隠れて化け物級の魔術師を英才教育してみようかなーとか考えていたかもしれない。
魔物の研究が専門。
黒の王国を管理する。
●赤の魔法使い
黒の魔法使いの師匠。ちゃらんぽらんな黒の魔法使いに手を焼いているものの、その実力は認めている。
制御できない膨大な魔力の扱いに厳しく、開発した魔術陣の運用に関して厳しい制限を設けている。最近開発した携行魔術陣の扱いは特に慎重で、回数、行先、目的など、勝手な運用はできないよう式を組んだものを信頼のおける魔術師にのみ試用依頼している。ちなみに黒の魔法使いは対象外となった。
勝手な運用の際は、現存する四人の魔法使いによる査問会が開かれることも。
赤の王国を管理する。
●緑の魔法使い
最も長命な魔法使い。男性。魔女カフィネの大災を生き残った。
緑の王国を管理する。
●青の魔法使い
女性。魔女カフィネの大災を生き残った。
青の王国を管理する。
●紫と白銀と黄金の魔法使いについて
空席。紫の王国と、白の王国、中央神殿を管理する。
白銀の魔法使い候補として、白銀の魔術師セファの名が挙がっている。
ひとまずは、火、木の週二日更新を目指して、調整していきたいと思います。年末までにもう一区切りしたいので、後半駆け足に…なれるといいなぁ(無理そう
引き続き、楽しんでいただけますように。