人物紹介(おさらい)
みなさん、悪役令嬢ものを何作品か並行して眺めていると、はて、これはどの悪役令嬢だったかな? とごっちゃになることありませんか? 私はあります。
というわけで、二章開始の前に「登場人物紹介」を用意してみました。何卒ご査収ください。
●ローズ・フォルアリス
フォルア伯爵家の第三子17歳。波打つ金髪に青い目。
16歳の時、婚約者である第一王子アンセルムの生誕祝賀会にて一緒に最初のダンスを披露すべく進み出た先で、見事に婚約破棄を言い渡された人。
次兄によって勘当も追加され、辺境へと旅立つこととなる。
そしてまぁ、色々ある。
5歳の頃から王太子の婚約者として、お城と屋敷を行き来しつつ、朝から晩まで王太子妃教育に明け暮れる。
本人は朝から晩まで人の手を借りなければ生きていけない暮らしをしてた。と、主張するが、そういう生活をさせられていた。の間違いかもしれない。
実際、ほかの兄と妹は結構自由にやっている。嫡男が学院にて、自由恋愛で次期領主夫人を決めれるくらいなので。
王家のあり方にも理由はあるが、真面目な人たちが聴いたらひっくり返るほどの洗脳じみた内容の教育を受けていた。
ふわふわと愛とか恋とか夢見るものの、本人についてはそれ以前の問題で、まずもって情緒が未発達。自分が愛されるとかそういう思考回路がそもそもない。
貴族としてのあり方を重視し、必要な時に必要な振る舞いをするが、多分、素はどっちかというとぽやぽやしている。視野狭窄の気があったため、最近突然視野が広がって世界が輝いて見える。そばにいてくれる人みんながキラキラ素敵に見えている。
王太子アンセルムに対しては、愛とか恋とか夢見る以前に、軸足を置いていたほど信頼していた相手から突き放された衝撃がいまだ癒えない。多分、結婚すれば大事にしてもらえたので、幸せになれたはずの相手。恋することも愛することもできたかもしれない。やっぱり婚約しましょう、と上から命令されれば受け入れると思われる。
二人の兄とは10コ以上歳が離れており、元婚約者アンセルムとは5歳差、あと身近だった男の人といえばアンセルムの一の騎士で、20くらい年上になる。王太子妃教育の一環のお茶会で「素敵な男性といえば」と、話題にされるのは決まって彼ら。
なので、じつは恋愛対象として見れるのはそういう五歳以上年上の人たちで、歳の近い男の子たちはアウトオブ眼中。
最近決まった婚約相手については、本当に予想外の人物であったため、ただただ驚いた。
●護衛騎士フェルバート。癖のある黒髪に青い目。
元々は王太子の二の騎士。ハミルトン侯爵家の四男。
ローズがなにやら王家の思惑によって放逐されることを聞くなり、長年仕えた王太子から離反。ローズと共に辺境へ行くことを決意する。
運命を共にすることを決めた。とのこと。
生真面目で、忠実。騎士見習いの頃はちょっとした手に余る問題児で王太子つきはその頃から。
弱冠二十歳の護衛騎士。ローズ付きの中では最年長だが、経験不足の点も多々あるため、常に気を張っている。
年上のクライドがローズ付きとして加入することはあんまり嬉しくない。悪い噂が絶えない上に、無条件で利用されるローズはちょっとどうかと思う。
最近婚約が決まり、同屋敷にて暮らすこととなったが、激務が予想されるのでめくるめく新婚生活はしばらくお預け。
ローズの情緒が未発達であることは重々承知しているので、色々なあれこれについては待つつもりである。
異界渡りの巫女とは二人で内緒話をする姿が幾人からも目撃されているが、無茶苦茶する彼女の行動を押し留めていた向きが強い。
多分、会話の8割はお説教だった。
●化粧師トトリ。褐色の髪。
16歳。実はローズ付きの中では最年少。物凄い美少年。
元々は辺境の劇団所属の化粧師。毎日激務の中で腕を磨いてきた。15になったしそろそろ独り立ちしようかなーと思っていたところへ、異界渡りの巫女に出会い、慕い、ついていくことにした。ローズは顔立ちと雰囲気の関係上、お化粧のしがいがあるので気に入っている。
侍女の格好を好んでする。別に女の子になりたいというわけではなく、ちょっと変わった美的感覚の持ち主。劇団にいたためか、場の空気感とか切り取った瞬間の美しさとか演出を大事にする。たぶん、婚約者アンセルムを引き摺り下ろした一件で一番活躍したと思われる。
映え、を大事にするタイプ。侍女の真似事しいしいローズの周りにいるのはそういう感じ。普通に恋愛対象は女の子だし、結婚願望もあるけど。まぁまだ先の話だよね。
惚れた腫れたについての修羅場を見たり聞いたり巻き込まれたのは、たぶん一番多いと思う。愛憎渦巻く劇団員と、異民族と戦う騎士団のめくるめく夜の物語については内緒。ローズとその周囲を眺めながらニコニコできているので、清い身体。
どっかの誰かみたいに隠密行動はできないし、暗躍もしない。護衛も大立ち回りもできない。変装くらいは得意かもしれない。
●宮廷魔術師セファ
17歳。冬生まれ。銀髪に薄い茶の目。
辺境で静かに暮らしていた。色々な理由から引きこもっていたため、知人も友人も少ない。
それなりにのんびり過ごしていたところへ、突如やってきたのが異界渡りの巫女。あれよあれよという間に異民族の集落をいくつか救い、融和の立役者として王都へ。もろもろの功績と類まれな才能から宮廷魔術師になり、塔に工房をもらい、魔術学院の特別講師(偉い)(朝一の授業だが人気)(若くて美形で才能の塊なので信奉者急増中)の打診を最近受け入れた。講義は週に一回だが、学院にも研究室をもらったため、午前中はそこで生徒からの質問状などの事務仕事を真面目にこなす。
なんでこんなことになっているのか一番よくわかってない。
辺境で幸せだったかといえばそうでもないので、連れ出してくれた異界渡りの巫女には感謝しているし、望む限りついていこうと思っていた。なのに突然いなくなってしまって、立場だけが残って、途方に暮れている。これからどうすればいいのか、なにがしたかったのか聞けるものなら聞いてみたい。
ひとまず、同じ顔なのによっぽど不安な振る舞いをするローズの友達に収まった。不遜でわがままかと思えば、ちょっと不安になる程いろいろわかっていなくて、自分の幸せに鈍感なローズが心配。幸せそうな顔が可愛いローズを見守ろうかな、という気持ちになっている。
友達になってほしい、といったローズの言葉を違えたくないな、と思う。
●下級文官クライド。茶髪に灰色の目。
30歳手前くらい。ワルワド伯爵家の三男。
ローズの次兄の友人。学院時代からの仲で、まだ婚約前のローズと出会う。婚約してから教育に明け暮れるようになった彼女とは、一時距離が空いたが、文官になってちょっとずつ出世するうち、時間と手段とお金が増えたのでローズの周囲に出没するようになった。
体を張ることは不得手なので、情報を集めることで有利に振る舞おうとしている。人妻と仲良し。
ローズが過去にやらかした件については、実はそこまで気にしていないけれどそれを盾に要求すると面白いように飲んでくれるのでつい持ち出しがち。猫をかぶって生きているが、次兄やローズの前では脱ぐ。罵っても罵っても堪えた様子がないのでつい過剰になってしまう。時々言い過ぎたかなぁと思うが、とくにとりなすつもりも改めることもない。
●辺境氏族長イシルイリル。赤毛に翠の目。
今は氏族の氏長だが、次期異民族族長。
各集落で困ったことが起きており、その対処のためにローズを貰い受ける約束をしてた。異界渡の巫女がそれを突っぱね、想定していたのとは別の手段で解消・王国との融和が成ったため、娶る話がたち消えとなった。
それでも再びやってきたのは、何か理由があるのか、それとも個人的な執着か。はてさて。
ローズ以外にもたくさんの奥さんがいる。すでにいる。
●異世界からの来訪者リリカ
異世界からやってきた黒髪の女の子。特別な知識も技能も持ち合わせていない一般人。黒髪ロングと日本人の顔立ちにありがちで、だいぶ下の年齢に見られがち。
自分が握手を求めて触れたローズが、荒地に飛ばされたことが軽くトラウマになっていることは多分誰も知らない。しばらく誰の手も触れれなかったそうな。
●フォルア伯爵家
両親と二人の兄と、妹の6人家族。王太子との婚約以来、長女ローズとは最低限の交流しかしていない。高位の貴族にしては珍しく、「人に優しく、上に立つものとして痛みを理解し、助力は惜しまないこと」という教育を子ども達に施していた。
●ハミルトン侯爵家
軍部の偉い人。奥さんは若いけどなんか若いまま男の子四人産んでる。それでも若く美しくコロコロと笑っているので幸せ。口下手で息子達とどう関わっていいかわからないなりに、奥さんを頼りにしている。役目として、王家と対立派閥を担う。下の家格の者達が反発心を爆発させないようにコントロールする役割もある。
兄達はどうやら末の弟が婚約したらしいとざわざわしている。そのうち押し寄せてくるかもしれない。来ないかもしれない。
●王家
結界を維持している王家。王と王妃と第一王子と第二王子がいる。現在、第二王子が王太子。
●神殿
周辺諸国の信仰を集める。総本山。一部が腐敗しているらしい。異世界からの来訪者リリカを召喚し、後ろ盾になっている。
●異界渡の巫女
使命のために、異界を渡り、鍵となる人間に憑依し、世界の運命を変える。
何もかも全部放り出して、ずっとローズでいたかった。
今更ながら、登場人物紹介です。
6/1より第二章連載再開ですので、直前準備号と言うことで、よろしくお願いします。