多大なる犠牲の果てに
もう結果は、誰の目にも明らかだった。大本営の流す嘘っぱちの情報を民衆は、既に信じていなかった。
銃後の国民も、うすうす気付いていた。日本という国は、有史建国以来、他国に負けたことは一度もなかった。
第二次世界大戦が起こるまでは。それが逆に仇となったのかもしれない。
「神風が吹く」などと馬鹿げた戯れ言を言い、他力本願に走ってしまった。
アメリカ海軍を叩くチャンスは、何度もあった。しかし、日本は陸軍と海軍が対抗しあい、何度もそのチャンスを棒に振って来た。
確かに国力の差から見ても、アメリカに対抗出来ない事は目に見えていた。それでも、僅かな可能性に掛けて開戦したことは、当時の状況や政治的なイデオロギーを考えると、仕方ない事だったと言える。
だが、始まった戦の終わらせ方がいけなかった。負け方が悪いのも仕方ない。何故なら負けたことがないからである。
軍民合わせて約300万人もの国民を犠牲にして残ったものは、屈辱と国土の占領以外何もなかった。
もっと早く、アメリカ軍に対して効果的な攻撃が出来なくなった時点で、戦争を終わらせる事が出来ていれば、少なくとも、沖縄戦や原爆投下は避けられたかもしれない。
日本人にとって、戦争とは遠い海と大陸の彼方でやるものだという、島国根性が根強い。
ロシアや中国といった大国に囲まれている地政学的な特性を持っていながらも、島国である日本人にとっては、隣の火事でしかなかった。
戦争とはなんたるかという事を理解していない、何よりの証であった。




