ちんけなプライド
伊佐野は、ある決意を持って戦いに臨む事にした。下士官である彼の決意一つで、戦況が大きく変わる事など有り得ないし、彼自身もそんな大きな野望はない。
戦場にいる一人の兵士が、何の覚悟もなく戦っていると思われているが、それは大きな間違いである。
一人一人が、物事を考えてそれなりの覚悟を持って戦っていた。伊佐野もそのうちの一人だ。
たとえちんけなプライドだとしても、命をかけて戦う為には、それが必要な事もある。
いつ死んでも、日本の為ならと粉骨砕身働ける。そんな気概のある人間は、今では絶滅危惧種だ。
たとえ小さなプライドでも、生き残ろうという気持ちがある人間と、そういう気持ちがない人間では、実際に生き残る可能性か変わって来る。
いつ死ぬかも分からない戦場にあって、常にベストパフォーマンスをして行く為には、心のどこかで覚悟という芯が無ければならない。
死をも超越する覚悟とは、一体何か?
その答えは、平時の安定した社会にいる現代人には分からない事もある。
生きるか死ぬかという、戦場にいなければ分からない事もある。一人一人の兵士が何を思っているかという、心情が昨今の戦争映画には欠けている。
歴史に名を刻んだ偉人の生きざまを知る事も、大切であるが一人一人の名も無き兵士の想いを描写する戦争の真実を、伝えるものがあっても良いと思う。
たとえ戦況が変わらなくても、一人一人の想いは決して同じではない。それぞれの兵士が置かれた状況は異なるが、それでも勝利という一つの目標に向かって、団結していたのは間違いない。
塵も積もれば山となるとは、まさにこの事を言っているのだろう。




