死に方用意
「死に方用意」という命令が日本海軍にはあった。
要するに次の戦いで生き残ろうとは思うな。死ぬ心構えを持て。そういう命令である。
命じる側も命じられた側も辛い。
何せ生き残る可能性が0%だと言い切っているようなものである。
ただ、この命令と特攻は、本質的に異なるものであると、留意しておきたい。
「死に方用意」は、死ぬことを前提とした命令であるが、特攻の場合は100%死んで英霊になれ。確実に死んで来い、生きて帰ってくるなという命令であり、作戦自体も致死率の高いものが多い。
「死に方用意」→「特攻」と言う流れが自然な流れだが、日本海軍が命じた特攻は、死に方用意を省いていた。
実質的には、特攻は志願者のみで構成されていたとされているが、現状はそうではなかった。大戦も末期になると、特攻隊員の選抜が軍の専権事項となり、ほぼ強制的に特攻に行かされた。
特攻から逃げる事が出来ずに、無理矢理行かされたという事例も、中にはあった。
戦艦大和も最後は水上特攻という形で、出撃前に「死に方用意」を行ったとされている。
坊ノ岬沖に沈められる事になる運命の大和は、死に方用意が出来ていたため、航空機を使っての特攻とは、少し分けるべきかと思う。
死ぬ準備をしろとは、何ともお門違いな命令である。本来、軍人は戦いの中で結果を出してなんぼのものである。失敗すれば待っているのは死だ。
そんな事は、命令されるような事ではない。そんな兵隊の心の叫び声が聞こえてくるのは、悲しい事だ。




