民間の玩具艦隊
「さんとす丸」は大阪商船から日本海軍が徴用した艦船であり、戦前は貨客船として南米航路に就航していた。
かつては外洋航路に就航していただけあって、7267トンと大きく立派な船であった。
このように民間の船が、戦局の悪化によって戦争に投入される様な事例は、枚挙に暇がない。
もちろん、大した兵器は持ち合わせていない為に、もっぱら後方支援が任務であったが、それでもないよりはましという程度のものであった。
日本海軍としても、並みの海軍艦艇でさえ撃破撃沈される時代にあって、日本海軍は、簡単に落とされるのを覚悟で民間船舶を利用していた。
前述の「氷川丸」のような事例は珍しく、ほとんどの民間出身艦船はアメリカ海軍の潜水艦の餌食となった。
元々開戦前から、船の頭数は足りていなかった。絶対的にアメリカ海軍よりも少ない船数で、少しでも頭数を揃えるにはどうしても民間の力が必要だった。
それは当然の成り行きである。民間船舶は、頭数を揃えることは出来ても、戦艦や駆逐艦のようにはなれない。
戦闘力の差は明らかであるし、何よりもcrewが帝国海軍軍人ではない。
戦いの伊呂波も知らないであろうし、たとえ機関銃や大砲を着けた所で、付け焼き刃も良い所である。
そんなお寒い兵装で倒せるほどの、敵のレベルならば日本海軍がここまで苦労はしないであろう。
仮にも世界一の軍事力を有する、国力10倍のアメリカが相手なのである。
玩具を改造して勝てるような相手ではない。それでも民間船舶の導入に踏み切ったのは、国家総力戦という言葉が意味する通りである。




