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ホテル大和~史上最高にして最低の戦艦~  作者: 佐久間五十六


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海軍軍人の懐事情

 国立大学出身者の平均的初任給が75円(昭和18年)は、つけそばが15銭、ラムネが1銭5厘の時代であり、海軍委託学生が月に40円を支給されていた事を考えると、少尉以上の士官にも40円以上の給与が支給されていたのは間違いない。

 命懸けで任務に当たっているんだ。それ相応の対価があるのは、当然の事だと割り切る人間がいてもおかしくはない。

 当時は海軍に行けば食いっぱぐれる事はない。と言われたほど海軍という場所は、国民にとっては優良な就職先であった。

 衣食住は保証され、月給がありその他に航海手当てや航空機乗りなら航空手当てがついた。福利厚生もバッチリ。それはそれは、学のない人間でも努力次第で、上を目指せる。

 だが、戦争が始まれば前線に駆り出されて、いつ死ぬか分からないというリスクはあった。これは現代の自衛隊にも言える。

 人件費か費用の大部分を占めてしまい、良い武器の開発に支障を来している。もっとも、一度航海に出てしまえば、戻ってくるのは数ヶ月先という事も珍しくない。そのため、海軍の兵隊になると、とにかくお金が貯まった。

 もちろん、その金をどう使うかは兵隊の自由である。飲みに行くのも良し、女性に使うもよし。親元にし送るは尚良し。

 だが、この当時の海軍軍人に貯金をするという概念は、微塵もなかった。自分がいつ死ぬかも分からないのに、お金だけ残すはもったいない。そう考える人間が大勢を占めていた。

 貯まるお金の工面は、立派な海軍軍人の務めでもあった。お金にだらしがない兵隊は駄目である。

 決してずは抜けた高給とりではなかったが、それでも命をかける者に対しては、国家は最大限の努力をして国民の附託に答なければならない。と、思う。

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