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ホテル大和~史上最高にして最低の戦艦~  作者: 佐久間五十六


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不沈の念

 こんな巨大な艦が沈むはずが無いという不沈の念が、大和には向けられていた。

 こんな巨大戦艦を落とせる艦船など、世界広しと言えども存在しない。そう考えるのも無理はない。

 そんな情勢であった事は確かである。事実大和を沖縄近海に沈めたのも、艦船ではなく航空機だった。

 不沈の念は、何も世間に限った事ではなく、乗り組み員であった海軍の兵士達までが、平気で大和は沈まない、そう思っていた。

 こんな巨大な戦艦を落とせるものなら落としてみろ。そんな感情に支配されるのは、日常茶飯事だった。

 もちろん、その不沈の念に合理的な根拠は1つもない。だが、大和には人々に不沈の念を抱かせる何かがあった。

 この不沈の念が集まった事で、大和はいつしか不沈戦艦として、終戦まで崇め奉られる事になるのである。

 理論上では、確かに大和に敵はいない。しかし、戦争というものには、エネミー(敵)が存在しており、なかなかどうして理論上通りには行かない。

 実際に大和が、戦場で全く敵を落とせなかったのも、それを証明するものであろう。たとえ戦果が上がらなくても、大和は生き残っているだけで充分だった。

 普通の艦船ならば、「何をやっているんだ。敵を討ち取らずにいる意味はあるのか!」

 と罵られる所であるが、大和の場合は違う。

 「今日も無事だったか。よし。これで不沈戦艦としての記録を伸ばせたな!」となる。

 山本五十六連合艦隊司令長官は、

「大和の存在が敵にプレッシャーを与え、敵を苦しめる」と言っている。不沈の念は、大和を示す最たるものである。

 何かにすがりたい気持ちも良く分かる。空母をなくし、日本海軍の至宝だった熟練搭乗員の損失。最後は未来ある大学生を特攻で亡くす。一つくらい戦艦大和に不沈戦艦であることを願う位良いじゃないかと、当時を思うと切なくなる。

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