帝国海軍軍人の文化
「芸者」は「singer」の頭文字をとって「エス」と呼んだ。従って「芸者遊び」を「エス・プレイ」と称していた。
このように、士官が使う隠語は、流石にイギリス海軍の伝統を受け継いでるだけあって、英語から捻り出したものが多いが、ローマ字を使った珍妙なものもある。
たとえば「女房」は「kakaa」(カカア)→「ケーエー」
「もてる」は「moteru」(モテル)→(エム)
「もててもてて困る」→「motete motete komaru」から「エムエムケー」であった。
「インチ」→馴染み(intimate)
「レス」→料亭(restaurant)
「ヴァー」(virgin)といった隠語もあった。まだまだ紹介しきれていない用語や、隠語があるのだが、どの世界にもその業界でしか使われていないような、特殊な用語が有ることは確かであり、大日本帝国海軍だけが、特別だった訳ではないだろう。
このような文化が育まれた背景には、恐らく海軍という組織の特殊性もあるだろう。とにかく国家の為の安全保障には欠かせない軍隊だからこそ制約も多い。そんな中で自然と作られていった文化であるからこそ、一般国民から見れば、特殊なものに見えてしまうのであろう。
そんな中で育まれたモノを知る事は決して損な事ではないだろうと思う。そして何よりも帝国海軍という組織は、血の通った人間の集団であり、決して人殺しを望むようなcrazyな殺人者集団でもなければ、異常な人間達でもなかった。
よく、日本軍悪玉論が世間では聞かれる事が多いが、それは基本的な根拠と合理性に欠ける根も歯もない噂、デマゴーグでしかないだろう。
それよりも日本軍の兵士が、どのような生活をして、どのような風俗の中で生きているのかを知る事の方がよほど大切な事である。




