日本海軍の最充実配置
日本海軍には、最充実配置と呼ばれる出世の近道なる、出世の最良配置なるものが存在した。
まずは、海軍兵学校の一号生徒(首席)。その中でも伍長が良い。一号生徒とは、一番成績が優秀な人物の事を指す。海軍兵学校の生徒とはいえ、立派な大日本帝国海軍軍人である。だから、伍長の一号生徒でなければ最良とは言えない。
艦艇に乗れば旗艦の航海士。旗艦とは、連合艦隊の司令部及び人材がいる。言うなれば、連合艦隊の心臓部分である。大和や武蔵のような大型艦艇の場合もあるし、旗艦の艦艇は、時代と共に変わって行く。
それから、大艦のケプガン。ケプガンも海軍軍人としては、最良の配置と言えた。大艦ではならない事は言うまでもない。人数の少ない艦艇よりも、大艦の方が、確かに評価は上がる。だからといって、小艦に配置されたと言って、嘆く事はないだろう。
駆逐艦は立派な小艦であるが、駆逐艦の先任将校も、最良の配置とされている。駆逐艦と言えば、その代名詞はブリキ缶と言われるほど、装甲の薄い小艦も良い所である。換えなどいくらでもあると、使い捨ての駆逐艦ではあるが、駆逐艦の艦長も最良の配置とされていた。
これらいずれもが、自身が置かれた立場では一番の権限が、認められていたポジションではある。
勘違いをして欲しくはないが、権限が認められていたという意味での最良配置という事であり、この配置に居れば出世間違いなしとか、死亡する確率が少ないという訳ではない。
例えば、駆逐艦の艦長などは、あるいは駆逐艦の先任将校などは、日本海軍で最も戦死率が高いとされるポジションであった。大艦のケプガンも、旗艦の航海士だって決して楽な配置ではない。
要するにどの分野の職種にいても、それなりの覚悟と、冷静な判断力が、求められという事だ。




