海軍兵学校入校以来の士官精神
海軍兵学校入校以来の士官精神というものが、日本海軍にはあった。
それが、指揮官先頭と率先垂範である。当時としては、日本に3つの難関学校があった。陸軍士官学校と、第一高等学校(現一橋大学)と、海軍兵学校であった。これらに合格し勉強が出来るという事は、大変栄誉のある事だった。
そうなれば、上流階級でありエリートであった。そんな中で、海軍士官を養成する海軍兵学校では、海軍の部隊を率いる上で、常に指揮官である自分から行動する事を美徳とした。口だけで、ああでもない、こうでもないと言いつけるのは、良き指揮官のする事ではないと。
現実の戦いにおいては、そんな事を言っていられない事もあったが、基本的には指揮官が危険な場所へと先頭をきって進む事を叩き込まれる。
率先垂範とは、お手本になれ、という事である。人の上に立つ以上は、率先して人の見本にならなくてはならない。それが日本海軍の海軍兵学校入校以来の士官精神として定着していく。
日本海軍士官心得
①功は部下に譲り、部下の過ちは自らが負う。
②部下に努めて接近し、下情に通ぜよ。しかし部下に慣れ親しむるは最も不可なり。
③自分が出来ないからといって、部下を矯正しないのは良くない。部下の機嫌をとるが如きは、絶対禁物である。
④悪いところはその場で遠慮なく叱って正せ。しかし、叱責する時はその場所と相手をよく見てやれ。
⑤世の中なんでもワングラス(一見しただけで)で評価をしてはいけない。
「おいあくま」→怒るな、威張るな、焦るな、くさるな、負けるな。
「だらり追放」→無駄、むら、無理。これらを無くすこと。
「三惚れ主義」→仕事、任地、奥さんらに惚れる。など、士官教育はかなり厳しく行われていたことが分かる。




