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レイン

「起きた?」



目を開けるとひょこっとその女の子が現れた。



ブロンドの髪でクリクリした大きな黄色の目。



僕とは大違いだとおもった。



そこはとても小さな部屋だったが、



ゆらゆらとだんろの炎がゆれとても暖かかった。



「君の名前は?」



女の子は尋ねた。



ふるふるとそれは首を振った。



「わからないの?」



またふるふると首を振った。



「言いたくないの?」



またまたふるふると首を振った。



「口に出さなきゃわからないよ?


いっつもパパ言ってるんだ。


言いたいことは素直に言いなさいって。」



そして

「…い」



それが口を開いた。



「え?もっかい言って?」



それの声は消え入りそうで女の子の耳には入らなかった。



「…よ」



「ないよ」



女の子はえっ!と驚いた。



そしてしばらく黙り込んだ末に



「そっか。」



と優しく微笑んだ。



齢6歳の女の子にしては気の利いた返事だ。



「あのね私の名前はシュードリアル・シーフォ

シーフォってよんで!」



そして女の子はまた黙った。



うーん…と何かを考えている様子。



「レイン、君の名前はレインにしよう。」



女の子は微笑みながらどう?と聞く。


「れ、レイン?なにそれ?」


女の子は饒舌に話し始めた。


「レインって言うのは雨って意味なんだけど、


君はさ、晴れとか太陽みたいな子じゃないんだよ。


ううん。太陽は君に似合わないんだよ。


太陽って明るくて暖かいけど眩しくて見れないし、夏は痛いほど暑いでしょ?


でも


私雨好きなんだ。


ぽつぽつの雨もザーザーの雨も。


ぽつぽつの雨はずーっと見ていたくなるし、


ザーザーの雨は外はうるさいかもしれないけど、


お部屋の中が静かになるの。


君はそんな感じなの。


君はずーっと見ていたいくらい綺麗でしょ?


それに君は静かでとっても落ち着くんだ。


だからレイン。

君の名前はシュードリアル・レイン」



レインはこくんと頷いた。



レインは綺麗という意味が分からなかった。



意味自体は知っている。



だけど綺麗って言うなら…



「シーフォの方だ…」



「なんのこと?」



シーフォはきょとんとした顔をして首を傾げる。



ほら、その行動も綺麗…ではないかも



…かわいい。うん、かわいいんだ。



「シーフォはかわいい。」


シーフォはボッと頬を染めた。


「な、私はかわいくないよ…!か、可愛いって言うのは私のママみたいな人のことで…」


シーフォは照れたように早口で話す。


レインはふるふると首を振った


「ううん。かわいい。」


シーフォは頬を染めて、


「そ、そっか私ママみたいになれてるのかな」



てへっと笑ったその顔も…



「ママ?」



シーフォはニコニコしながら母親について話し始めた。



「あのね、私のママは人じゃないんだって。


でも身体は私たちと一緒なんだって。


パパが説明してくれたけどよく分からないよね?


私も分からないんだ。


でもパパはいっつもママのことを可愛いって言うの。


愛してるってママのことも私のことも。


ママは君みたいにとってもとっても綺麗なんだ。


だからママみたいになりたいなってずっと思ってるんだ


でもね


ママは私が4歳になったらどこかへ行っちゃったの。


私のこと嫌いになったんだ。


私が悪いことしたから…」



シーフォは悲しそうな顔をした。



レインはブンブンと首を振った。



「もういいよ。もう言わなくていいよ。」



シーフォの悲しい顔なんて見たくなかった。



シーフォはこくんと頷いた。



「シーフォのパパは?」



シーフォはハッとした顔をした。



「そういえば!パパどこいったんだろう?」



その時、



ガッシャーン!



外から音がした。



レインがピクっと反応した。



シーフォには分からないだろう。



これは魔力だ。



誰かが外で魔術を使用しているんだ。



何故レインが魔力に反応できたのかそれは分からない。



シーフォはすくっと立ち上がった。



「し、シーフォ、ダメだよ。外危ないよ」



たがシーフォはドアまで歩き



「たぶんパパ外にいるの!パパが危ない!」



とシーフォは外に飛び出した。



レインも何故か癒えている傷に気づかず走り出した。


そこにはシーフォの父親と大柄な男が10人どいた。


男により周りの木々がなぎ倒されたようだ。



「あぁ、シュードリアルさんあなたねぇ

いい加減いつまで国王の命令を

無視し続けるつもりですか?」


その男は国からの使いのようだ。



「私は君たちに開発している魔術を教える気は無いよ。


どうせ戦争に使う気だろう?


私には娘もいるんだここを引っ越す気もないよ。


どうやらブロンドの髪で緑の瞳をした


シーフォの父親は国からの命令を


無視し続けるつもりらしい。


「いい加減にしてくれないですかねぇ。


国王はあなたが力を持ちすぎていることにも


注意を置いているんですよ。


ですからねぇ。


これ以上命令に背くようなら殺せ。と言われているんですよ。」



シーフォの父親ははぁとため息をついた。



「君たちが私を殺せるわけ…


「だめ!パパを殺しちゃだめ!」


シーフォは父親に駆け寄っていった。


だが、ひょいっと男に捕まえられてしまった。


「あぁ、これがあなたの娘ですかぁ。」


何故か捕まえられただけなのにシーフォは気を失っている。


「私の宝物を離せ。お前は何をしでかしているか分かっているのか。」


さっきまでとは違い眉間にしわをよせキレている。


レインはパニックに陥っていた。


『殺される。シーフォが殺される。

ダメだ、それだけはダメだ、どうする

どうすればいいどうすればシーフォは死なない』


レインは一瞬でひとつの考えに至った。


『殺せばいい。あいつを殺せばいい。』


「死ね。」


レインは片手を男の方に向けた。


そこから白い雷を出した。


そう。レインは使ったこともない魔術を使ったのだ。


普通の人に出来ることではない。


やはりレインは異常だったのだ。


「ぎ、ぎゃぃゃゃゃ!」


男は雷に痺れシーフォを放した。


シーフォの父親はレインの方を見た。


「ほう、これはすごい」


レインが使ったのは高等魔術だ。


国の騎士団長が使用するレベルの魔術だ。


『これはすごい才能がでてきたぞ。ふっ、面白いですね』







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