出会い
昔、それはそれは大昔そこには愛と狂気の物語が存在した。
神の最高傑作の1人の人間。
いや、あれはもはや神の失敗作であろうか…神が生んだ大災厄
その名を「シュードリアル・レイン」
その顔立ちは不気味なほどに美しく、
その瞳は真っ赤に染っているが、光など映されてもいなかった。
漆黒の髪、漆黒の衣服、真っ黒な心、
黒の中で際立つ赤い瞳はとても美しくとても狂気を感じた。
それは、この世に生まれ落ちた瞬間から
瞳を開け、髪の毛を生やし、立ち上がり、人の言葉を話した。
生まれたその瞬間に「誰?」と口にしたのだ。
そのため両親はとても不気味に思った。
だが、捨てることはしなかった。親の良心からではない。
その両親はとても貧しかった。だから…
そう、売ったのだ。
産まれたばかりにもかかわらず整いすぎた顔を見て、
「これは売れる。」そう思ったのだった。
それは、貴族の家に売られた。
「母さん、ここはどこ?」
「ここは偉い人のおうちよ。あなたは静かにしているだけでいいの。」
それは、こくんと頷いた。
そして、それにとっての地獄がはじまった。
食事は1週間に1度。その理由は早く成長されては困るから。
1日1時間の主人による虐待。
それ以外は地下牢に閉じ込められていた。
ある日、「こいつは顔は綺麗だが泣かない。つまらん。殺せ。」
貴族が命令した。
そして、ナイフで心臓を貫かれた…
とそこにいた誰もが思った。
いや、確かに貫かれたのだ血も出ている。
死んでいないのだ。
ナイフで心臓を貫かれても死ななかったのだ。
傷が癒えている訳でもなく、血は流れ続けている。
なのに倒れないのだ。
「ば、化け物!早くそれを山奥へ捨ててこい!」
貴族は必死の形相で叫んだ。
「ふふっ」
それは笑ったのだ。大人たちの必死の形相を見て笑った。
そしてそれは、山奥へ捨てられた。
しばらくそれはぼーっと寝転んでいた。
「大丈夫?きみ!血が沢山出てる…大変!パパのとこに運んであげなきゃ!」
その声の主は1人の同じくらいの年の女の子だった。
そして掴まれたその手の暖かさにそれは、初めて
そう初めて、孤独を感じたのだった。
それの存在が神の失敗だったというなら
このふたりの出会いは神の大いなる間違いだった。
この2人が出会わなければ大災厄など生まれなかっだだろう…
ご想像の通りストーカー爆誕!!