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テイマー、救助

異世界に転生してきて早くも一週間。俺はすっかり今の生活に順応している。

森で見つけた洞穴を拠点にラフェルウルフこと、ロウが食料である獲物を狩り、俺が調理する。

蔦で大きい葉を結んで敷布団代わりにしてその上に寝転んでロウを抱きしめながらと眠る毎日のなか、今日もいつものようにロウが獲物を狩りに森へ、俺はロウが発見してくれた川で今晩の水の確保と魚取りに。

人間、住もうと思えばどこへでも住めるものだと最近そう思えてきた。



名前:フォーティ・ラーブル。

種族:人間。

職業:テイマー。

Lv.5

体力:15

攻撃力:8

防御力:14

敏捷性:10

魔力:9


《魔法》

治癒魔法2/10

 

能力(スキル)

苦痛耐性8/10 物理耐性7/10 鑑定2/10 調教2/10 鞭術1/10



川に向かう道中でステイタスを見てみると、やはりレベルが上がっていた。

この一週間、戦闘らしい戦闘はロウがしてくれた。昨日だってオークが現れたけど、ロウが喉笛を噛み千切って瞬殺した時は驚いた。

その時、身体が妙に軽くなった気がしてみてみれば案の定、レベルがあがっていた。

恐らくはテイマーという職業が関連している。

テイマーはモンスターを使役して戦う職業。なら、ロウが戦って勝った経験値のようなものが俺にも流れてきた可能性が高い。

つまりロウが戦えば戦う程についでに俺も強くなれる。

テイマー、ヒモ職業か………………………。

そんな馬鹿なことを考えているうちに川が見えてきた。

川の水を剣で作った桶に入れて夜の水の確保が終えると、次は魚だ。

今日こそは晩飯の食材を増やしてやる。

ロウのやつが毎回兔みたいなやつを狩ってくるからいい加減に肉以外のものが食べたい。

一週間肉だけはきつい。

取れなかったら今日はオークの肉祭りだ。

木の枝の先端で尖らせた棒を銛のように川で泳いでいる魚を刺す。

刺す。

刺す。

刺す。

……………………なかなか刺さらない。

狩猟の難しさを身を持って体験しながらも諦めずに魚を刺す。

銛があったら幾分かはマシにはなるだろうけど、ロウがいなかったら今頃俺は餓死している自信がある。

今日、ロウの肉は多めにしてあげるか………………。

「………………………鞭でも振るか」

魚が取れず、気を紛らわせる為に一日100回の素振りをする。

鞭の扱いが下手だ。せめて相手にダメージは与えられるぐらいにはならないまずい。

でも、初めはダメダメだったけどここ数日はいい感じになってきている。

木に当てるとパシン! といい音が鳴る。

多分、鞭術という能力スキルを手に入れたからだと推測する。

今までになかった能力(スキル)が出てきたことから、新しい能力(スキル)は一定以上の経験値の獲得で手に入れるもので間違いはないだろう。

筋トレとかすれば身体強化の能力(スキル)でも獲得できるか?

まぁ今は自分にできる範囲から頑張ろう。

「でも、ずっとこのままここで…………………は無理だよな」

今はこの森で生活しているが、ずっとこの森で生活するわけにはいかない。流石にずっと森で生活するには限度がある。いずれかはこの森を出て人がいる村や街に行かないといけない。

この世界の情報も知りたいし、衣食住は最低でも欲しい。

「ガウ!」

「ロウ?」

鞭の素振りをしていると珍しくロウが走って俺の所に戻ってきたと思ったらUターンする。

新手の嫌がらせ? そう思ったがロウは足を止めて俺の方を見た。

「ああ、ついてこいってことか」

ようやくロウの意図が理解できた俺はロウを追いかけるように走る。

ロウを見失わない様に走り続ける俺は結構な速力を出しているのに疲労がまるでしない。

レベルアップしたおかげか?

「バウバウ!」

「はいはい、いったい何を見つけたんだ?」

目的の場所についたのか、足を止めて吠えるロウに俺は近づいて見てみる。

「人………………?」

それも女だ。

歳は俺より下の高校生ぐらいだろう。金髪の美少女が倒れていた。

「クゥゥ~ン」

「助けてやれって?」

甘い声を出し、つぶらな瞳を潤わせて助けを懇願するロウの頭を撫でながら俺は考える。

近くに実ができている木がある。恐らくはこの木に登って落ちたのだろう。それで打ちどころが悪く気を失った。ロウが見つけなかったら今頃モンスターの餌になっていただろう。

別段助けるのはやぶさかでない。普段から世話になっているロウの頼みだ。断る理由もない。

だが、俺は女は嫌いだ。

別にこの女に恨みがあるわけではない。ただ、あのゴミ母、クソ姉、ビッチ妹のせいで俺は女が大っ嫌いになった。ある意味女は男より醜悪で陰湿だ。

正直、唾を吐き捨てて放置してやりたい。

だからそんな目ですり寄ってくるなよ、ロウ。悩んじまうじゃねえか。

俺は深く溜息を吐いて折れる。

「まぁ、しょうがねえ。お前の頼みだしな」

渋々折れて俺は彼女を助けることにした。

それにここに人がいるということは近くに人が住んでいる場所もあるということだ。そこまでの道案内とこの世界に関する情報を助けた代わりとして請求してやればいい。

万が一に性格が悪い屑女だったら鞭の練習台にしてやろう。

「【ヒール】」

魔法を使って彼女の傷を癒す。

淡い光が彼女を包み込んで彼女が負っていた傷が小さくなる。

俺が唯一使える魔法。物の試しに『ヒール』と言ってみたら使えたので怪我をしたらこの魔法で治している。でも、完全に傷を癒すことができないのが難点だ。

ある程度傷を治すと、彼女の首根っこを掴んで拠点に帰る。

「バウ………………」

別にいいだろう? ロウ。ちゃんと五体満足で助けてやるんだから。引きずるぐらい大目に見ろ。


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