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犬神憑きの末裔  作者: 山田健一郎
9/20

メイド服

俺とリンダは喫茶ソーマの開店準備をしている。

リンダは床掃除とテーブル拭き、俺はカウンターの内側でアイスコーヒーを落としている。

アイスコーヒー用に焙煎した豆をミルで粗目に粉にして、ネルの布の中に入れる。

沸騰したお湯を冷まして92度位にしてから

細めの注ぎ口のケトルでのの字を書くようにお湯を落としていく。

ネルドリップと言われるコーヒーの入れ方だ。


リンダがテーブルを拭きながら俺に聞いて来た。

「昨日のあのムカデなに?ちょー気持ち悪いんですけど」

「あれは蟲毒で作り出した蟲だ。カメの中に様々な毒虫を入れて殺し合い、食い合いをさせる。

 最後に残った1匹を呪物として使う」

「うえー気持ち悪い・・・あと前から聞きたかったんだけど、時々健ちゃんが唱えるりんぴょうとうしゃーってやつ。あれどんな意味?」

「店の中で健ちゃんは止めなさい。りんぴょうとうしゃーでは無い。


     臨・兵・闘・者・皆・陳・烈・在・前


 (のぞ)める(つはもの)、闘ふ者、皆、陣を(つら)ねて前を行くという意味の九字護身法だ」


「難しくてわかんなーい」

「やっぱりな」

「やっぱりってなによ!!きーーー」

俺はリンダに噛みつかれた。


ドアが開き若い女性が入って来た。上野舞子さんだ。

吸血鬼にされてしまい、今はこのビルに住み1階の旅行会社で働いている。19歳の和風美人だ。

リンダが西洋のお城の王女様なら舞子さんは日本のお姫様って感じだ。

「おはようございます。マスター、リンダさん。今日からよろしくお願いいたします」

「おはよー舞子さん!こちらこそ、よろしくね!」

「舞子さん、俺がネパール行ってる間リンダとよろしくお願いいたします」

舞子さんが深々と頭を下げた。

「いえ、マスターにはいつも大変お世話になっていますから、ご恩返し出来て嬉しいです」


「リンダ、舞子さんを更衣室に案内してあげて」

「はーい」


店の制服はメイド服だ。別に俺の趣味では無い。

リンダが着たいと言ったからカッパ橋まで買い揃えに行った。

俺は黒ズボンに白いワイシャツ、ソムリエエプロンを着けている。

これは俺のこだわりだ。


リンダと舞子さんがメイド服に着替えて出てきた・・・うん、いい。


「リンダ、まずトレンチの持ち方、接客の仕方、伝票の書き方から教えてあげて」

「はーい」

リンダが楽しそうに舞子さんにいろいろレクチャーしている。

「ねー、今日のランチ何だったかしら?」

「今日は サーモンのフライタルタルソース添え アボカドとハムとチーズのサラダ オニオンスープだ」

「わーい!今日のまかない楽しみー!!」

「マスターの料理、本当に美味しくて私も楽しみです」


「舞子さん、店を手伝ってくれるお礼に今日はスペシャルサービスしますよ」


「ちょっと・・・いつも私の事はリンダと呼び捨てにするのに、舞子さん舞子さんってさん付けなのはどういう事かしら?」

「はいはい。リンダさんリンダさん」

「何よそれ!!きーーー」

俺はリンダに噛みつかれた。歯形が2つになった。



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