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犬神憑きの末裔  作者: 山田健一郎
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道灌

俺は北海道から東京に渡った。

スミスさんのもとで働く事にしたからだ。他に行くあてもない。

スミスさんから聞いた話では俺みたいな境遇の人間が他にもいるらしい。しかも人外の者にも似たような悩みを持つ者がいるとの事だ。俺は幽霊ビルに住みそこで働く事になった。スミスさんはビルのオーナーだ。

相当な資産家らしい。人外の者達にとっても、神のような存在らしい。

俺の仕事はソーマの作成と喫茶店の店長をやることだ。

その喫茶店で料理を作る。高校、大学と飲食店の厨房でアルバイトをしていたため料理は得意だ。趣味でもある。俺の修行が始まった。



あれから10年か・・・・・

今日のランチはスパゲティシノアーズ(豚肉と玉ねぎとスパゲティをジンジャーソースで炒めたもの)

とポテトサラダ、スープ、コーヒーか紅茶のセットだ。ここで使うマヨネーズ、ドレッシング、ホワイトソースなどはすべて俺の手作りだ。味にはこだわっている。

ランチは普通に人間用だ。厨房の奥ではリンダがジャガイモの皮を剥いている。

「なぁリンダ、お前本当に歳とらないな。10年前と同じだもんな」

「だって私エルフだから。人間とは歳のとり方が違うわよ。健ちゃんはすっかりオジサンね!ウフフ」

「健ちゃんは止めろ。店の中ではマスターと呼びなさい」

「ハイハイ、マスタージャガイモはこれくらいでいいかしら?」

ドアを開けて中年の男が入ってきた。知り合いの陰陽師だ。名は道灌。着物を着ている。カウンターに座った。髪はぼさぼさで不精ひげが生えている。

「ランチをくれ。食後にコーヒーを」

道灌は懐から竹筒を取り出しカウンターに置いた。

「管狐だ。犬神憑きのお前なら楽に使役出来るだろう」

俺は竹筒を受け取った。この道灌とはいろいろな情報のやり取りや、今回のように魔物なども貸し借りしている仲だ。管狐とは飯綱とも呼ばれる妖怪の一種である。

「なぁ犬神の。管狐をどう使うつもりだ?」

「式神として飛ばす。今この国は病んでいる。大きな呪いが発動されようとしている。あんたも感じているだろ?」

「そうか・・・まぁ気を付けろ」

道灌は新聞を読み始めた。相変わらず愛想のない奴だ。


最近凶悪な事件が増えてきた。頭がおかしい奴らが増えている。最近おかしな夢を見る。肉体の感覚が消えて魂が何かに囚われてこことは違う世界に連れて行かれる。呪われた身体のせいか?管狐の入った竹筒をしまい、俺はランチを作り始めた。





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