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犬神憑きの末裔  作者: 山田健一郎
18/20

洞窟

神崎悟、松田留美の二人が森の中を歩いている。


松田留美が不安そうに神崎を見上げて問いかけた。

「神崎さん、私たちはなぜ森の中を歩いているのかしら?さっきまで洞窟の中にいましたよね?」

「さっきから同じところを堂々巡りしてますね。留美さんも気づいていると思いますが、これは明らかに我々が幻術に囚われているという事だと思います」


「私の考えも同じです。今から幻術を仕掛けてる術師と対峙します。その間、私は無防備になりますので神崎さんに守って頂けますか?」


神崎は目を輝かせた。

「もちろんですとも!! 留美さんの身も心も私が守って見せます!!!」


「神崎さん、では術式に入ります」

松田留美がしゃがみ込み両手で印を結びマントラを唱えだした。

「オーム アモーガ ヴァイローチャナ マハームドラー マニ パドマ ジヴァラ プラワルッタヤ フーム」


森の景色が歪み始めた。

だんだんと周りの風景がぼやけてくる。


松田留美が苦しそうに身体を小刻みに揺さぶりだした。

目から血が流れだした。


神崎が自分の髪の毛をちぎり空間に漂わせた。

髪の毛が空間のある一点に集まっていく。


神崎が携帯していた鞄からスローイングナイフの束を取り出した。

両手の上に広げて念を込める。

ナイフにはあらかじめ真言が彫り込まれている。

「急急如律令!!」


ナイフが、神崎が思念した地点に向けてすごい速度で次々と飛んでいく。


不意に視界が開けた

洞窟の中だ。

森の中から洞窟に戻った。

目の先5メートル程の所に、顔面に多数のナイフを突き立てた赤鬼が座り込んでいた。

息絶えている。


神崎が松田留美を抱きかかえハンカチで目の血をぬぐった。

「大丈夫ですか!! 留美さん!!」








リンダが洞窟を歩いている。


「ふえーん・・・みんな・・どこーーー??? なんで私一人ぼっちなの?怖いよー」



しばらく歩くと少女に抱かれている犬神健が横たわっていた。

その少女はセーラー服を着た中学生のようだ。


リンダが近づいた。

「その人を放しなさい。あなたは魔物ね。匂いでわかるわ」


「いやですわ。この人は私の物・・・うふふ」


リンダが少女の目前まで迫りファイティングポーズで構えた。

「もう一度言うわ。その人から離れなさい!」


少女が強く犬神健を抱きしめた。


「サンクチュアリークラッシュー!!!」

リンダが魔法の力を拳に込めて渾身の右ストレートを少女の顎に叩き込んだ。

少女が吹っ飛びその正体を現した。

黒い鬼が意識を失い倒れている。


リンダが犬神健の身体の上に乗り頬を張り飛ばした。

「しっかりしなさい!!」


犬神健の意識が戻った。



「リンダか?・・・・・・・・俺は・・・」


「健ちゃん!大丈夫?」


「ああ・・・顔がひどく痛むがそれ以外は大丈夫だ」


「皆とはぐれてしまったみたいなので、早く洞窟の先に向かいましょう」


俺達は洞窟の奥へと歩いて行った。
















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