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犬神憑きの末裔  作者: 山田健一郎
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鷹神

ここは岩手の遠野の草原、時は夕暮れ時。

男が二人対峙している。

一人は和服を着た中年男性。髪の毛はボサボサで不精ひげが生えている。

名は道灌。

道灌の正面5メートルの位置に黒装束の男が立っている。

頭には黒い平頭巾、まるで忍者だ。

両腕はだらりと垂らしている。その両手には小型の投げナイフ飛苦無とびくないが握られている。


道灌は右手を懐に入れて自然体で立っている。


「なぁ、あんた忍者かい?逢魔時おうまがときに現れるなんざ気が利くじゃねいか。

物騒なもん持ってるがわしに何用だい?」


忍者が不意に両手を振った。2本の飛苦無を投げつけると同時に道灌に向かって全力で走り出した。

道灌は右手を懐から出すと軽く振った。

鋭い金属音がして飛苦無が地面に落ちた。

道灌の手には暗器が握られている。四つの刃が付いている手裏剣の様な形をしている。

忍者は道灌に近づきざま右足で前蹴りを繰り出した。

速い!顔面につま先が当たる寸前に道灌は頭を右に振り避けた。

その刹那忍者は左足を猛烈な速度で道灌の顎に向けて吹っ飛ばした。

からくも身体を後ろにのけ反らしてその攻撃を避けた道灌は、右手に持った暗器の刃を忍者の左足のふくらはぎに深く潜り込ませ肉をえぐり取った。

忍者は蹴り上げた足の勢いを使い真後ろに一回転して着地した。

驚くべき身体能力である。


忍者の動きに躊躇が見て取れる。

道灌が容易ならざる者だと分かったのだろう。


「鷹神!!来い!!」

道灌が叫んだ。

上空から大きく黒い鷹が忍者に向かって急降下して襲いかかった!

黒い鷹が忍者の顔面を切り裂こうと爪を振り下ろした。

忍者はかろうじて右腕で顔面を守ったがその腕は装束と共にずたずたに切り裂かれた。

露わになった右腕には六芒星の刺青が彫られている。


「ほう!ソロモンの手の者か!ならば生かして連れ帰る・・・わしの拷問は痛いぞ。覚悟しておけ」


忍者は懐に手を入れテニスボール程の大きさの白い玉を取り出し地面に投げつけた。

炸裂音がして辺りは白煙に包まれた。煙幕だ。


「鷹神よ、おぬしなら上空から奴に気づかれずに後をつける事が出来よう。

奴の住処を突き止めたら戻って来い」


鷹神はうなずき飛び立った。

鷹神とは道灌が使役している式神のひとつである。


「くっくっくっく忍者かよ・・・面白くなってきたじゃねーか・・・」

道灌が誰にともなく呟いていた。


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