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犬神憑きの末裔  作者: 山田健一郎
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ボダナート

俺はカトマンズに降り立った。

ひさしぶりだ。相変わらずの喧騒だ。車もバイクもクラクションを鳴らし放し。誰も信号を守らない。


ネパールのカトマンズでは旧石器時代から人が住んでいたことが明らかになっている。

ドゥマカールの遺跡で発見された木具を放射性同位元素で測定した結果、

紀元前2万7400年ごろのものと推定された。


レンガ造りの街並みは中世の世界に迷い込んだような印象を受ける。

街のいたるところに小さな寺院があり、日本人にとって懐かしい思いを抱かせる町だ。

かつてこのカトマンズこそが「ネパール」と呼ばれていた。

今でも農村部の人たちは「カトマンズへ行く」ことを「ネパールへ行く」と言う。 


俺はオートリクシャー(三輪タクシー)を拾いボダナートへ急いだ。


ボダナートは、ネパールのカトマンズ近郊の、高さ約36mのネパール最大のチベット仏教の巨大仏塔ストゥーパである。


世界のチベット仏教の中心地であり、中心にはブッダのお骨(仏舎利)が埋められている。

ボダナートの「ボダ(ボゥッダ)」は「仏陀の」「仏教の」「知恵の」を意味し、「ナート」は「主人」「神」などを意味する。

三重の基壇と直径27mの石造りドームからなり、その上には四方を見渡すブッダの知恵の目が描かれている。

塔頂からはタルチョーという万国旗を思わせる旗が八方に掛かり、独自の雰囲気を醸し出している。


だが・・・おかしい。普段は信者、参拝客、観光客でごった返しているはずなのに人っ子一人いない。

この付近一帯に強大な結界が張られていて普通の人間は近づけないようだ。

異常事態だ。


俺は建物の裏に回った。

そこには普通の人間には見ることの出来ない、地下への通路への入り口がある。

強力な結界が張られているが俺には造作もない。

俺は地下へ降りて行った・・・・・

何か嫌な予感がする。この地下への階段がまるで地獄へ通じる道に感じる。

階段を一歩一歩降りていくたびに強い圧力を感じる。


階段を降りしばらく歩くと目の前に頑丈な鉄の扉が現れた。

俺は真言を唱えた。

「ノウマンタリマクバサラダンカン!」

右手の手の平を扉に押し付けた。

扉が開いた。

異様な空気の流れが俺を包んだ。

奥の部屋の中は地獄に繋がっていた。


俺は意を決して部屋の中に入っていった。そこは大広間だ。

中に人が一人・・・・・・・・・宙に浮いていた。



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