母
宜しくお願いします 最近きなこが美味いです。
漫画の持ち込みは結構シビアだ。
スパスパと流れるように読まれたり、ひどいケースでは新人の目の前でシュレッダーにかける編集者もいたくらいだ。
だから丁寧に見てくれたのはすごくすごく嬉しい。
読み終えた真木川さんは笑顔でにこやかに言った。
「滝本、馬鹿にするのも大概にしろよ」
「え?真木川さん?」
「帰ってくれ」
僕は家に帰るとリュックから原稿を取り出して床に叩き付けた。
「なんだよ・・・なんなんだよ!!」
そして泣き崩れた。
最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪。
封筒をゴミ箱に捨ててポテトをかじりながら、ひたすらテレビを眺めていた。 ドアを開けて母さんが入ってきた。
「奏、この机の上にある紙は何・・・?ゴミ箱の封筒、漫画の原稿よね」
「母さん・・・」
「雪と同じ様になりたいの!?いい加減にしてよ!!雪もあんたも漫画漫画、おかしいんじゃないの!!」
「雪を馬鹿にするな・・・僕は才能はないし、くだらない漫画しか描けない。でも漫画はくだらなくない!」
僕はコートを着てゴミ箱から封筒を取り出してほこりをはらう。
「どこいく気、奏」
「病院だよ、雪に会いに行く」
母さんは眉間にシワをよせガリガリの体をよたつかせた。
まるで絶望に飲み込まれるように。
ありがとうございます