君の好きな僕
何度も考える、君は、僕のどこが好きなのかを。
冬の到来を感じさせる冷たい風が僕の体を透き通る。
寒い。今日もまた夏服のズボンを履いてきてしまった。でも左手だけは、暖かい。人の暖かさだ。
彼女は、僕に言う
「今日は、いつもより寒いね。」
「まぁ冬…だしな」
会話が終わる。気温同様冷たい会話。気がついている彼女には、非がない悪いのは、僕だ。
なぜこんなにも愛想のない僕を彼女は、好きでいてくれるのだろう?疑問に思う。だかこの疑問は、声に出ることは無く心の中でゆっくりと消えていく。
そんな日々を繰り返していたある日の夜。もう時計は、深夜0時を過ぎている。彼女は、僕に話しかける
「私のどこが好きか とかって聞いてもいいかな?」
なんて答えるのが正解なのか そんな事を考えてしまった。僕は、いつもそう考える。自分の思いを表に出さず心の中で押し殺す。
「多分僕の事が好きな君が好きなんだと思う」
具体的な事は、何も言わない。相手を褒めたりはしない 今までだってそうだった。でも今日は、少しだけ違った。
「だから聞きたい君は、僕のどこが好きなんだ?」
今までとは違い押し殺していた疑問が声に出た。
彼女は、少し驚いたようだ。そして数秒目を瞑った後話し始める。
「いっぱいあるよ 例えば歩道を歩くとき自然と車側を歩いてくれたり 話すときは、いつも目を見て話してくれるよね 私の話を最後までしっかり聞いてくれて返事は、愛想ないかもしれないけど心がこもってるのがわかる 手をつないでいるときは、とってもあったかい まだまだたくさんあるんだよ!言いきれないくらい」
彼女は、得意げに言う。彼女の笑顔を見たとき目が覚めた。
「夢か…」
今日も寒い。彼女は、いつも通り学校の正門手前の電柱に寄っかかって待っている。
「おはよう!今日も寒いね!」
冬の風が僕の背中をすっと押した気がした。
「僕は、僕の好きな君が好きだ」
多分あの夢は、いつかの会話を思いだしただけなのだろう。そう思えたからこそこう言えたのだろう。